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2013年10月30日水曜日

ネット上で会社の内部情報を漏えいしたら

今回は、社内の人間しか知らない内部情報をインターネットの掲示板に匿名で書き込んだところ、会社の上層部がそれをたまたま見つけて大騒ぎになったという場合について考えてみたいと思います。

アクセスプロバイダへの発信者情報開示要求

会社の犯人捜しは、まずアクセスプロバイダへの発信者情報開示要求から始まります。しかし書き込みの内容が殺人予告など犯罪性のあるものでない限り、プロバイダがすぐ開示に応じることは考えにくいです。なぜならインターネット上のやりとりは通信の秘密として法律上保護されているものです。これを簡単に漏らしてしまうプロバイダなど、誰も使わなくなってしまうでしょう。

そこでプロバイダは自らの信用問題として、「開示してほしければ裁判を起こしてください。開示せよという判決が出たら従います」と突っぱねることになります。書き込まれた側はわざわざ裁判を起こすのは面倒臭いと考え、たいていの場合は泣き寝入りとなります。

ただし、書き込みの内容が人に危害を加える予告であったり、信用毀損や風説の流布など株価に影響を及ぼすようなものであれば、プロバイダによっては開示に応じる可能性もあります。


会社のパソコンを使って書き込みをした場合

もし会社のパソコンを使って書き込みをした場合は、会社のサーバーを調べれば、誰のしわざかほぼ判明します。ただし、社員のプライバシーに関わることなので、会社も調査に踏み切るのは慎重になるでしょう。

会社が社員のメールやアクセスログなどを調べることに入社時の誓約書で同意していたり、就業規則に書いてあれば、いくらプライバシーの侵害を叫んでも無駄です。

発覚した場合の責任
 この場合、発生するのは民事責任、刑事責任・行政法上の責任、労働契約上の処分の3つです。

民事責任で考えられるのは「この書き込みのせいで業績が落ちたから損害賠償しろ」というものです。これは新製品についてウソの情報を流したために売り上げが激減した、というような場合はともかく、会社への不満を言った程度ではそれほど大きな金額を請求されることはないでしょう。

刑事責任や行政法上の責任では、信用毀損罪で告発されるとか、風説を流布して株価に影響を与えたとして、証券取引等監視委員会に呼び出され、課徴金を科されることなどが考えられます。

しかし会社員にとって一番怖いのは、3つめの労働契約関係の処分、すなわち減給、けん責、あるいは解雇です。とりわけ解雇されると再就職にも差し支えます。

労働者は労働法によって保護されており、よほどの理由がなければ解雇は難しいです。とはいえ、ここまで開き直るには精神力が必要です。

居酒屋でグチをこぼすのとネットに会社の悪口を書くのは、法的にまったく重みが違うということを意識しましょう