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2013年10月7日月曜日

土地収用

今回は土地収用について書きます。

土地収用とは

土地収用は、道路や鉄道の建設など、公共の利益となる特定の事業を行うために、法律に基づいて強制的に土地の所有権を取得することです。

土地収用の要件や手続き、補償金などについては土地収用法で定められています。

同法による事業以外でも、市街地再開発などの都市計画事業、住宅地区改良事業などを公的セクターが行う場合には収用権が認められています。

土地所有者との協議が整わない場合は、収用委員会の裁決によって実行することができます。

土地収用の補償

憲法第29条第3項に基づき、私有財産権を公共のために用いることが正当な補償の下に行われなければならないこととなっており、これを受けて土地収用法第6章において、損失の補償に関する規定が設けられています。

土地収用法における損失補償は、基本的には完全補償です(最高裁判所昭和48年10月18日判決)。

土地収用の手続

起業者は、事業のために土地を収用し、又は使用しようとするときは、国土交通省又は都道府県知事の事業認定を受けなければならず、認定を受ける前に、国土交通省令で定める説明会等で事業の内容を利害関係人に説明しなければなりません(土地収用法第15条の14、第16条、第17条)。 
利害関係人は,意見書を提出したり,公聴会開催を請求をすることができます(法第23条、25条) 。

裁決に不服がある場合

損失の補償について不服がある場合は、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して6か月以内に、裁判所へ当事者訴訟を提起できます。
この場合、訴訟を提起する者が、起業者であるときは土地所有者又は関係人が、土地所有者又は関係人であるときは起業者が、それぞれ被告となります。  
損失の補償以外についての不服は、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して30日以内に国土交通大臣に審査請求をすることができます。  
また、損失の補償以外について不服がある場合、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して3か月以内に、神奈川県(代表は神奈川県収用委員会)を被告として、裁判所へ抗告訴訟を提起することができます。


なお、採決に不満があるために裁決書や補償金の受領を拒否しても、所定の手続き(公示送達、供託など)がとられた場合、土地所有者及び関係人は、裁決書と補償金を受領したものとみなされます。  したがって、裁決は有効ですので、土地所有者及び関係人は、明渡期限までに物件を移転し、起業者に土地を明け渡す義務が生じることになります。