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2013年10月15日火曜日

レシピと著作権

1.レシピの著作権

 レシピの著作権についてはどのように考えれば良いでしょうか?

  レシピは、著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。

 もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。

 したがって、例えばブログなど、インターネット上で公開されているレシピについて、作成者に無断で写真を流用するような行為は、著作権侵害の可能性があるので、注意が必要です。


2.レシピ本の著作権

 会社の栄養士がレシピ本を出版した場合、栄養士は著作権者として印税をもらえるのでしょうか?

 まず、レシピ本は著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。

 もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。

 次に問題となるのは、「職務著作」です。「職務著作」とは、会社の職務として作成した著作物について、法人等が著作権者としての地位を得ることができる制度(著作権法第15条)です。作成したのが個人でも、会社が資金を出してリスクを取ったなら、その成果を会社に帰属させるべきという考え方に基づいています。

 類似の制度として、特許法の規定する「職務発明」があります。職務発明の場合、特許はまず発明者個人に帰属し、それを会社に譲渡することになります。一方、職務著作は最初から著作権が会社に帰属します。譲渡する代わりに相当の対価を得られる職務発明と違い、職務著作の場合は会社が作成者に対して特別な対価を支払う義務はありません。

 したがって、レシピ本も、社員である栄養士が職務として作成した場合は、法的には印税は会社のもので、分け前を支払う必要はないということになります。

 どこまでが職務著作で、どこからが自分のものといえるのでしょうか。

 職務著作には、以下の5つの要件があります。

 《職務著作の要件》  
① 法人等の発意に基づき創作された著作物であること  
② その法人等の業務に従事する者が創作した著作物であること  
③ その法人等の職務上創作した著作物であること  
④ その法人等の著作名義で公表された著作物であること  
⑤ その法人等内部の契約や就業規則等に別段の規定がないこと 

 上記の要件のうち、注意が必要なのは②です。労働法上、派遣社員やアルバイトは会社と雇用関係にありませんが、会社の指揮命令で動いていれば著作権法上、業務に従事する者とみなされやすいです。

 ④「著作の名義」も、難しい問題を孕んでいます。会社名か個人名、どちらかで発表されていれば著作権者は明確ですが、「○○社××部長○田×朗」のように両方の名が入っていると話がややこしくなります。 ケースバイケースですが、両方の名が入っている場合は、著作の内容についてどちらが責任を取るのかというところが判断の分かれ目になるでしょう。もし自分の著作物であることを示したいなら、自分の名を著者として入れておくべきです。本であれば『これは私の個人的見解であり、所属する組織を代表するものではありません』と一言入れておくと、個人の著作であることがより明確になるでしょう。