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2013年8月4日日曜日

ネットと著作権④

  • 掲示板サイトの利用規程は、利用ごとに同意してもらうか、同意したことをログとして保存し、クッキーなどで一度同意していることを確認できると良い。
  • 独占的か非独占的かに関わらず、著作権の使用権では第三者による不正使用に対抗しにくい。
  • 掲示板の書き込みの無断再利用に対抗するには、掲示板運営者は著作権の譲渡を受けるか、著作権の独占的使用権を得ると良い。
  • 投稿者が書き込みを他で利用することを認めたい場合は、投稿者から著作権の譲渡を受けた後、投稿者にその書き込みの使用権を許諾する方法がある。
  • 著作権の譲渡を受けた場合、掲示板運営者は書き込みの著作権保有者としての責任を問われる可能性がある。

2013年8月3日土曜日

ネットと著作権③

  • 私的複製は、自分自身が使う分を自分自身で複製することを意味する。
  • 技術保護手段のあるDVDのコピーは違法。
  • オフ会で少人数かつ無償でDVDを鑑賞するのは家庭内に準じて許される可能性が高いが、それを目的に不特定多数を招集してはいけない。
  • オフ会の写真を参加者の承諾なく公開すると、肖像権の侵害に当たる可能性がある。
  • オフ会の写真を公開するなら顔を隠し、誰だかわからないようにするべき。
  • カメラ映像でライブでインターネット配信する場合、顔がはっきりわかるほど鮮明であれば肖像権の侵害に当たる。
  • 家庭用ゲーム機のゲームソフトは20歳未満が遊ぶことが多いため、ライセンス契約の表示がない。
  • コンピュータソフトウェアのライセンスに同意できない場合は販売店に返品できる。
  • 東京リーガルマインド(LEC)不正コピー事件: ソフトを違法にコピーされて損害を受けたとして、米Microsoftと米Apple Computer、米Adobe Systemsが大手資格試験予備校の東京リーガルマインド(LEC)に損害賠償を求めた訴訟。 3社は2000年4月、LECが3社のソフトを違法にコピーして著作権を侵害したとして、総額約1億1400万円の損害賠償を求めて東京地裁に訴訟を起こした。東京地裁は2001年5月、3社の訴えを認めてLECに約8500万円の支払いを命じた。控訴審で、ソフト3社とLECの和解が2002年12月11日に成立した。和解条件は明らかにされていない。 3社が加盟するソフトウェア著作権保護団体・ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)によると、控訴審で東京高裁が勧告した和解案は「一審判決を踏まえたもの」で、「円満に和解した」としている(違法コピー訴訟でMSら3社とLECが和解)。

2013年8月2日金曜日

ネットと著作権②

コピペはどこまでOKか?
  • リンクのみの引用は原則として著作権侵害にはならない。
  • 見出しも著作物である可能性はあるが、実際の多くの見出しは短く、著作物の要件を満たさない場合がある。
  • ニュースサイトの見出し全部を複製するのは、不法行為として損害賠償請求される可能性がある。
  • Yomiuri On-Line事件: 自己のホームページ(以下「YOL」)上の記事見出しを不正に使用した、として  読売新聞社が有限会社デジタルアライアンス社を相手取って起こした訴訟。   結論としては、著作権侵害を否定した上で、不法行為の成立を認め、  被告側に損害賠償の支払いを命じた。
  • 記事の全文引用は、引用した人の意見が無ければ複製権の侵害にあたる。
  • ビジネス書要約事件(コメットハンター事件): ビジネス書などの要約を有料で提供するサービスを行っていた業者が要約された本の著作権者から訴えられた事件。
  • 官庁の発表する報告や資料は、出典を明記すれば原則として自由に転載できる。
  • リンク先に違法な情報が記載されている場合、リンク単独でも問題があると考えた方が無難。
  • FL マスク事件: 画像にモザイクを入れたり消したりすることが簡単にできる画像処理ソフト・FLマスクを販売するとともに、FLマスクによりモザイクを入れ た猥褻画像を提供しているホームページへのリンクをしていたというケースを、猥褻図画公然陳列罪の幇助犯として摘発した。
  • リンクとともに違法な行為を助長するような意見を書き込めば、問題になる可能性がある。
  • ディープリングは同一性保持権の侵害という考え方もできる。
  • 未成年の「犯罪者」に関する情報を掲示板などに書き込むものは少年法の精神に反している。
  • 少年法
 (記事等の掲載の禁止)
第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

  • 著作権の侵害に、企業サイトと個人サイトの区別はない。
  • 個人サイトの運営者が私人の場合、事実であっても名誉を毀損すれば罪になる(刑法230条、231条、233条)。
  • 新聞に掲載されている個々の宝くじの当選番号や「3-1」などの試合の得点、レース結果は単なる事実であり、著作権では保護されない。
  • 個々の結果は事実であっても、まるごと無断転載すれば複製権の侵害に当たる可能性がある。
  • 試合の得点、レース結果の予想は意見である。そのまま転載すれば、著作権侵害又は不法行為による損害賠償を請求される可能性がある。
  •  脱ゴーマニズム宣言事件:小林よしのり著『ゴーマニズム宣言』を批判した書籍『脱ゴーマニズム宣言』(上杉聰著)の発刊を巡って争われた事件。漫画において引用が認められる範囲について明確な基準を引き出した。 
  • パロディは主に公正な引用かどうかが議論される。
  • 歌詞の行き過ぎたパロディは翻案権の侵害になる。元歌の品位を落とすかどうかにかかわらず、人格権(同一性保持権)の侵害の可能性もある。
  • パロディ曲を人格権の侵害で差し止めや損害賠償の請求ができるのは、人格権を持つ作詞家や実演家のみ。
  • キャラクターを模倣した書き込みは、よく似ていれば複製権の侵害、あまり似ていなくても翻案権や同一性保持権の侵害に当たる。
  • 政治家などの公人の人格権は一般人よりも小さく評価される。似顔絵は本人が許容する範囲であれば問題にならない。
  • スポーツ選手などの有名人の場合、商業的価値を損なうような似顔絵はパブリシティ権の侵害に当たる可能性がある。また、人格権の侵害や侮辱罪に当たる可能性もある。
  • 精巧なアスキーアート(AA)は写真と同じ扱いになり、複製権の侵害にあたる。
  • 一般に、アニメの決め台詞のような短い文章は著作権で保護されない。
  • 決め台詞とアスキーアート(AA)が同時に書き込まれている場合は著作権の侵害に当たるかもしれない。
  • いわゆるネタバレは翻案権や公表権の侵害に当たる可能性がある。ファイル共有ソフトで著作物がダウンロードできる情報を掲示板に書くと、書き方によっては問題になる。

2013年8月1日木曜日

ネットと著作権①

著作権の基礎
  • 著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならない。一般に短すぎるものは認められない。
  • 投稿者が明示されない2chのような掲示板の書き込みでも著作物になりうる。
  • 著作物とは言えない書き込みの集まりでも、スレッド全体でストーリーになっているなどの創作性があれば、共同著作物になる可能性がある。
  • 著作権は原則として、創作後、著作者の生存期間+死後50年間存続する。ただし、法人の著作権は原則として公表後50年(映画の著作物は70年)。
  • 絵画の単純な機械的な複製など、撮影者の個性がない写真に著作権は発生しない。
  • オリジナルの著作権が消滅していても、新たに撮影した写真に個性があれば、撮影者の著作物になる。
  • 著作者の権利には、著作人格権と著作権(著作財産権)がある。
  • 一般的に著作権と言えば財産権を指す。
  • 著作権に含まれる複製権などの権利は譲渡できるが、著作人格権は譲渡できない。ただし、特定の遺族は一定の条件で人格権を行使できる。
  • 発明は著作権ではなく特許で保護される。

コンテンツと著作権
  • 引用は、引用元が「主」で引用が「従」でなければならない。
  • 引用は、カギ括弧で囲むなどして引用であることがわからなければならない。
  • 引用か「パクリ」は、形式や割合で決まるのではなく、文脈における必要性など、Case-by-caseで判断される。
  • スレッドが共同著作物だとすると、著作者全員の同意がなければ共同著作権を行使できない。
  • ホテル・ジャンキーズ事件:  ホームページ上の掲示板に書き込まれた投稿文章に著作物性が認められるかが争われた裁判事件で、投稿文章がその表現および内容に照らして、筆者の個性が発揮されているといえる場合には著作物性が認められる、と判示された(2002年4月東京地裁)。
  • 翼システム事件: 1996年(平成8年)にシステムジャパンを相手に自社の自動車整備業用システムのデータベースを複製しており著作権侵害または不法行為であると主張、損害賠償を求めた。2001年(平成13年)に東京地方裁判所の中間判決で著作権侵害には当たらないと判断されたものの不法行為を構成するものと認められた
  • 掲示板の過去ログの転載や「まとめサイト」は、複製権や公衆送信権を侵害している可能性が高い。
  • 日本国外にサーバーがあったとしても、日本でアップロードすれば日本の法律が適用される。万国著作権条約。
  • 掲示板の運営者は、過去ログの無断転載について、損害賠償請求できる。 
  • 著作権と商標権は別の制度。
  • 法律上商標を登録できることと、社会的にその商標が受け入れられるかは別の問題。
  • 著作権者が不明の場合、文化庁に著作権使用料相当額を供託することで、作者不明の著作物を利用できる制度がある。
  • 国旗や国章など、公的なマークなどは商標登録できない。
  • 映像表現の利用による翻案権侵害の成否 -NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」事件- 〔知財高判平成17年6月14日平成17年(ネ)10023号(東京高裁平成17年(ネ)486号)、 判時1911号138頁(控訴棄却)(東京地判平成16年12月24日、平成15年(ワ)25535号(請求棄却)、 最三決平成17年10月18日平成17年(オ)1414号、平成17年(受)1646号、(上告棄却))〕この事件は,映画「七人の侍」の脚本家兼監督である 故黒澤明の相続人が,NHKの大河ドラマ 「武蔵 MUSASHI」第1回について,同番組の脚本 等が「七人の侍」の映画の脚本及び映画そのものを無断で 翻案したと主張して,著作権侵害等を理由に損害賠償請求 などを求めた事件です。 ちなみに「武蔵 MUSASHI」の原作は吉川英治の 「宮本武蔵」です。  結論としては,原告側の請求が棄却されました。
  • 著作権を侵害しているかどうかは、その著作物の外面的な表現に加えて、内面的な表現(本質的特徴)がどこまで似ているかで判断される。
  • キャラクターなどが商標登録されている場合、著作物を真似ることは商標権の侵害にもなる。 
  • ネットコミュニティーで生まれたキャラクターの著作権を主張することは、通信記録などの客観的証拠が必要。
  • 原作の著作権が消滅していたとしても、翻案した作品にオリジナリティがあれば新たな著作物として保護される。
  • 歌手や演奏者、レコード会社や放送局など、著作物を再現することに関わる人には、複製権や送信可能化権といった著作隣接権が認められている、
  • 別の著作物を参考にする場合、原作の表現との同一性が高ければ複製、ある程度感じられれば翻案、全く感じられなければ独自創作になる。