ページ

2015年2月7日土曜日

不正競争防止法:企業の不正利益、没収へ 秘密盗用で改正案

 政府は企業が他社の秘密を盗んで不正に得た利益について、国が没収する制度を新たにつくる方針である。不正競争防止法の改正案に盛り込み、いまの通常国会に出す。犯罪で得た利益が企業に残らないようにし、産業スパイの「やり得」を防ぐ。

 改正案では、他社の技術や製造のノウハウを盗用した場合、これまで法人に適用していた罰金の上限(3億円)を引き上げるほか、不正な利益そのものも没収できるようになる。海外だと米国で同様の規定がある。最近では米デュポン社の技術を盗んだ中国企業に対し約30億円の違法収益を取り上げる判決が出た。

 今後は日本でも、刑事訴訟でまず検察が不正利益を推定して没収額を求めることになる。裁判でその金額が妥当かどうかを判断し、国に納める金額を決める。

 たとえば東芝は、韓国の半導体大手SKハイニックスに技術を不正利用された。昨年の民事訴訟での和解で約330億円をSK側が東芝に支払うことになった。今回の法改正後に同様の事件が起きれば、刑事訴訟でも数十億円から数百億円の規模で不正利益を没収する可能性がある。