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2013年5月1日水曜日

釣りゲーム、グリーの敗訴確定 DeNAの著作権侵害なし

 今回は、 携帯電話向け釣りゲームを模倣されたとして、ゲームサイト運営のグリーが同業のディー・エヌ・エー(DeNA)など2社に配信差し止めや損害賠償 を求めた訴訟について書きたいと思います。

  問題となったのは、DeNAが2009年にモバゲーで配信を始めた「釣りゲータウン2」。グリーは2007年配信の同社の「釣り★スタ」に似ていると主張していました。


<グリーとDeNAの訴訟を巡る主な流れ>

2007年5月    グリー、「釣り★スタ」配信開始
2009年2月    DeNA、「釣りゲータウン2」配信開始
2009年9月    グリー、DeNAなどを相手に「釣りゲータウン2」の著作権侵害訴訟を東京地裁に提起
2011年11月    グリー、DeNAに対し取引妨害を理由に東京地裁に訴訟を提起
2012年1月    DeNA、グリーに対し損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に提起
2012年2月    DeNAなど2社に配信差し止めなど求める東京地裁判決
2012年8月    一審・東京地裁判決を取り消す知財高裁判決

<裁判の要点>

  一審・東京地裁判決は
(1) 水中だけが真横から描かれている点
(2) 画面の中心に同心円がある点
(3) 黒い魚影と釣り糸がある点
などが両ゲームで共通すると指摘して著作権侵害を認め、DeNAなどに約2億3千万円の賠償を命じていました。

  これに対し、二審・知的財産高裁は、両ゲームの共通部分は「表現上の創作性がない」と判断。「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として、著作権侵害には当たらないとしました。

 上告審で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は、グリーの上告を退ける決定をしました。DeNAによる著作権侵害を認めず、 グリーの逆転敗訴とした二審・知的財産高裁判決が確定しました。決定は16日付でした。

<一審・東京地裁判決>

   今年2月の一審・東京地裁判決は「携帯向け釣りゲームは多数あったのに、水中に同心円を置き、魚の位置で釣り糸を巻くタイミングを表現したゲームはなかった」として著作権侵害を認定、DeNAなどに2億3千万円の支払いを命じました。


<二審・知的財産高裁>

 控訴審でDeNA側は「共通部分はありふれた表現で、創作的表現とは言えない」などと反論していました。

 判決理由で高部真規子裁判長は、グリー作品の表現上の本質的な特徴が、DeNA作品から直接感じられる場合に著作権侵害に当たると指摘し、両社のゲームを比較検討しました。

  魚を引き寄せる場面について(1)水中だけ真横から描かれている(2)画面のほぼ中央に三重の同心円がある(3)黒い魚影や釣り糸が描かれている――など両作品には共通部分はあるが「表現上の創作性がない」と指摘。その上で「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として著作権侵害には当たらないと結論づけました。


 ゲームの操作手順なども共通していますが、「実際の釣り人の一連の行動に沿って構成したもので、ありふれた表現にすぎない」と判断しました。