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2020年7月20日月曜日

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」(デジタルプラットフォーム新法案)

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」(デジタルプラットフォーム新法案)は、オンラインモールなどのデジタルプラットフォーマーに対する新たな規律を設けるという趣旨。

2020年5月、法案が成立した。

米アマゾングーグル、アップル、国内では楽天やヤフーが対象となるとみられ、出店者との取引の公正性・透明性を高めるよう促すのが狙いだ。年度内の施行をめざす。

背景


デジタルプラットフォーマーは、年々その社会経済的な影響力を増してきており、われわれの生活にさまざまな便益をもたらしているとされる一方、デジタルプラットフォーマーとこれを利用して商品やサービスを販売する事業者との間でのトラブル、特に競争政策上の問題が生じるようになってきている。



2019年、公正取引委員会が、オンラインモールやアプリストア等を対象に、「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査」を行っている(結果は2019年年10月31日に公表)。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/oct/191031_2.html

デジタルプラットフォーマーについては、優越的地位の濫用、他のデジタルプラットフォーマーの排除、競合する利用事業者の排除、競争制限的な企業結合(M&A)といった競争政策上の懸念があり、調査の結果、実際にそうした問題が把握されている。

 例えば、利用規約の変更に対して利用事業者に同意を求められることなく一方的に変更がなされたり、手数料を引き上げられたり、新しい決済システムを導入されたりしたといった問題などが、典型例として取り上げられている。

オンラインモールなどは一度そこを利用して商品の販売を始め、依存度が高くなると、容易に別のオンラインモールに乗り換えるのは困難なようで、一方的な条件などの変更があっても受け入れざるを得ない。

 また、オンラインモールでの価格を他のオンラインモールと同等またはそれよりも優位に設定するよう要請を受けたといった、拘束条件付取引となる可能性のある事例も把握されている。

 今回のデジタルプラットフォーム新法案は、こうした実態や調査結果を踏まえて立案されたものである。


基本的な考え方


基本的な考え方は、デジタルプラットフォーマーの役割を積極的に評価した上で、その自主的かつ積極的な取り組みを前提に、規制は最小限にとどめ、プラットフォーマーと商品等の提供利用者(商品やサービスを提供する事業者等)との相互理解を促進する


新法では、国民生活や経済への影響が大きく、売上高などが一定規模ある企業を政令で「特定デジタルプラットフォーム」と規定。まずはモール型ネット通販やアプリストア運営会社を対象とする。

 対象企業には、出店者との契約を解除した場合に判断基準を明かすことや、契約変更をする場合は事前に知らせることなどを義務づけるこうした取り組みの状況を、年に1回経済産業相に報告させる。違反した場合、改善命令や勧告などの行政処分をする。


こうした問題が独占禁止法の「優越的地位の濫用」となるおそれがある場合は、経済産業大臣は公正取引委員会に対応を要請する。事前規制や積極的な対応は規定されていない。


基本理念として、対象事業者の自主的な取り組みに期待しつつ規制を必要最小限にすることを明示的に規定している。