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2014年5月24日土曜日

英文契約作成③

平易な言葉能動態を使用しましょう。

平易な言葉名詞ではなく動詞で行為を表現しましょう。

- Instead of: 'the parties reached agreement'
- Say: 'the parties agreed'


- Instead of: 'the Purchaser shall make payment'
- Say: 'the Purchaser shall pay'


平易な言葉二重否定を避けましょう

  

2014年5月23日金曜日

英文契約作成②


さて、ここで簡単なクイズです!
 
次のフレーズを簡易なフレーズに言い換えてみましょう。

- As to the manner in which
- Contained herein
- Due to the fact that
- In the event that
- We hereby confirm that we are in receipt of the following documents


さて、回答は・・・






- As to the manner in which:How
- Contained herein:In
- Due to the fact that:Because
- In the event that:If
- We hereby confirm that we are in receipt of the following documents:We have received
 
 

2014年5月22日木曜日

英文契約作成①

なぜ明確なドラフティングが重要なのでしょうか?

あなたのドラフティング力はどのくらいでしょうか
- どのようにあなた自身の作成能力を考えますか?

- あなたはどのようなフィードバックを受けていますか?
- あなたにとって最大の課題は何ですか?


「分かりやすい言葉」とは、あなたにとって何を意味するのでしょうか? 

かつて、消費者・一般人を保護しようとする観点から,Plain English(プレイン・イングリッシュ、平易な英語)を使って契約書を作成 しようと提唱されました。


平易な言葉:基本的なルール
- 短い文や段落を使用してください
- 長ったらしい冗長表現は避けてください
- 通常の意味普通の言葉を使用してください
必要な場合を除く)
古風かつ専門用語は避けてください
- 能動態を使用してください
- 名詞ではなく動詞で行為を表現してください
- 論理的な順序読みやすい形式をとりましょう


平易な言葉短い文
- 文章が長ければ長いほど、文法的な複雑さは増し、誤解のリスクが増えます。

- '25単語 'ルール


平易な言葉通常の意味での一般的な言葉を使う
- 例えば以下のような古風な言葉を避けましょう。

aforementioned
hereinafter
forthwith
henceforth

- 例えば以下のようなラテン語の使用は必要な場合に限りましょう。

pro rata
pari passu - フランスの法律用語には注意しましょう。
e.g. give, devise and bequeath



長ったらしい冗長表現は避けてください
 - Obviously/clearly/apparently/absolutely/very
- Must necessarily
- Duly signed
- As you would appreciate
- In view of the fact that
- Exressly agrees
- That particular requirement

- The actual position
- Basically

2014年5月20日火曜日

パソコン遠隔操作事件②

パソコンの遠隔操作事件で、これまで無罪を主張してきた元会社員Kが一転して「私が真犯人で、一連の事件はすべて自分の犯行だ」と認めました。

Kは保釈を取り消され20日午後、東京拘置所に勾留されました。

パソコンの遠隔操作事件では、インターネット関連会社の元社員Kが威力業務妨害などの罪に問われていて、今年3月に保釈され裁判では一貫して無罪を主張してきました。

しかし、弁護団によりますと、19日夜になってKが一転して一連の事件はすべて自分の犯行だと認めたということです。

また、今月16日に報道機関などに送られた自分が真犯人と主張するメールもKが送ったことを認めたということです。

Kは19日午前10時20分すぎに弁護団と電話で話したあと連絡がとれなくなっていましたが、午後9時半に弁護士に「自分が犯人です」と電話で伝えてきたということです。

そして「死のうと思って山の中をさまよったり電車に飛び込もうとしたが踏みきれない」と自殺をほのめかしたことから弁護士が思いとどまるよう説得し、20日朝保護して東京地検に連絡したということです。

弁護団によりますと、Kは犯行を認めた理由について16日のメールの送信に使ったとみられる携帯電話をその前日、東京の荒川河川敷に埋める様子を警視 庁の捜査員が目撃していたと報道されたことを知り「もはや言い逃れができないと思った」と説明しているということです。

Kは22日、裁判に出廷する予定になっていますが、弁護団が「これまでの無罪主張を撤回し、みずからの関与を洗いざらい話すべきだ」と伝えたところKは了承したということです。

東京地検は、裁判所が保釈の取り消しを認めたことから20日午前11時ごろ弁護士事務所にいた被告を拘束しました。

そして、午後1時20分ごろ身柄を東京拘置所に移して再び勾留しました。

 主任弁護人の佐藤博史弁護士は記者会見で「裏切られたという感情はない」と語りつつ、「完全にだまされた」とも述べ、刑事弁護人としての複雑な感情をのぞかせました。

 
これについては、弁護士ドットコムで興味深い記事が掲載されています。

「佐藤弁護士が批判される理由はない」 ベテラン弁護士が語る「刑事弁護人」の心得

パソコン遠隔操作事件


 パソコンの遠隔操作事件では、インターネットの掲示板などに殺害や爆破の予告を書き込んだとして、インターネット関連会社の元社員が威力業務妨害などの罪に問われています。

 被告人は、今年3月に保釈されましたが、その後の裁判で一貫して無罪を主張しています。 この事件について今月16日、被告人が裁判に出廷中に、報道各社などに自分が真犯人と主張する人物からメールが届きました。 メールには、「自分が被告のパソコンをウイルスに感染させたうえで、他人のパソコンを遠隔操作したのが事件の真相だ」などと記され、被告人が逮捕されるように仕向けたとする内容でした。

 ところが、捜査関係者によりますと、メールが送られる前日に被告人が東京・江戸川区の荒川の河川敷を訪れて何かを埋めるのを捜査員が目撃し翌日にその場を掘り返したところ携帯電話が見つかり、中にメールの文面や送信した痕跡が残っていたということです。

 メールは裁判の出廷中に送られるよう、タイマー機能を使って送られた疑いがあり、捜査当局は、真犯人の存在を示すために、被告自身がメールを送ったと判断したということです。 そのうえで、このメールの送信は他人の犯行に見せかけるための工作で、保釈条件にも違反したとして、東京地検は被告人の保釈の取り消しを裁判所に請求しました。請求が認められれば、彼は再び収監されることになります。
 

 また、メールの中には特定の団体を脅すような内容が記されていたことから、東京地検と警視庁は、被告人との関連を調べるため、容疑者を特定しないまま脅迫の疑いで、東京・江東区の自宅を捜索しました。

 被告人はメールについて先週の会見で、自分が送ったことを否定したうえで、「犯人しか知りえないような内容が書かれており、信ぴょう性は高いのではないか。これをもって裁判を終わりにしてほしい」と話していました。


 仮に真犯人からのメールであるとすると,内容的にもメールを出す時期的にも不自然ですよね。
もっと世間の注目を集める方法や意表をついた内容があるのに、この程度の内容でこのタイミングというのは。

 土中から掘り出したスマホに真犯人メールが残っていた、被告人のDNAが付着していた、といった話しも報道されていますが、これらは警察リーク情報の丸呑みなので、ちょっと割り引いて考える必要があります。

 それにしても、あの程度の内容のメールしか送れなかったということは、仮に被告人が送ったとしも、そのことは被告人が真犯人である証拠にはならないということかもしれません。その行動が、早く自由の身になりたいという気持ちから出たものだとしたら、哀れですね。

 なお、今回のメールが自作自演であることを捜査機関が立証したとしても、本訴の公訴事実を立証することにはなりません。真犯人メールに秘密の暴露の内容があれば別ですが、もし真犯人メールに秘密の暴露の内容があれば、リークなんかしないで法廷に出すでしょう。 仮に真犯人メールが自作自演だとしても、本人による犯人隠避罪は成立しません。ありうるとすれば、脅迫。捜査機関サイドは、メールの中には特定の団体(皇居ランナー等)を脅すような内容が記されていたことから、脅迫の疑いで立件しそうな勢いです。


 現在、保釈中であるにもかかわらず、弁護人や家族も連絡がとれていないとのことです。どこに行ったのか,気になります。

2014年5月19日月曜日

ウナギ産地偽装、社長に有罪判決 静岡地裁

 台湾産ウナギを静岡県産と偽って販売したとして、不正競争防止法違反の罪に問われた加工販売店の社長に静岡地裁は15日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡しました。法人としての同社は罰金100万円としました。

  村山浩昭裁判官は判決理由で「業者や消費者を欺き、本県特産のウナギに対する信頼を損なったのは悪質」と指摘する一方で「返金に応じて弁済しており、再発防止のチェック体制を整備している」と述べました。

 判決によると、被告人は昨年4月から5月にかけ、台湾産ウナギの加工品約100キロを静岡産と偽って静岡市の業者に約68万円で販売したそうです。

2014年5月18日日曜日

ダイビング事故、元ガイドに無罪判決

 沖縄でのダイビング中の事故を防げず客に障害を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた元ダイビング店経営者でガイドとして引率していた被告人(53)に、札幌地裁(田尻克已裁判長)は15日、無罪の判決を言い渡しました。求刑は罰金30万円でした。

  判決理由で田尻裁判長は「被告人が客の近くにいたとしても客の異常に気付けたとは言えず、仮に対処したとしても客がおぼれた可能性は残る」と指摘しました。

 弁護側は「被告人は適切に客の状態を観察しており事故は防げなかった」と無罪を主張していました。

 被告人は2009年4月20日、沖縄県座間味村の海で女性客を引率中、そばで注意を払う義務を怠って先に進んだ結果、客がパニック状態に陥って溺れたのに気付かず、低酸素脳症などの傷害を負わせたとして那覇地検に起訴されました。客の女性は腕などに障害が残ったそうです。

 なお、那覇地裁が被告人の住所を管轄する札幌地裁へ移送したため、札幌地裁で判決が出されたようです。

2014年5月16日金曜日

サムスンに995万円のみ請求権 アップル訴訟で知財高裁

 アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による一連の裁判で、知的財産高等裁判所はスマートフォンなどの通信技術の特許についてサムスンの主張を一部で認め、ライセンス料に相当する990万円の賠償を求めることができるという判決を言い渡しました。

 スマートフォンやタブレット端末の技術を巡り、アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による裁判は世界各地で続いています。

 このうち今回の訴訟の対象は、アップル製のスマホ「iPhone 4」などに使われているサムスンの通信技術です。

 通信技術の特許に関する裁判では1審の東京地方裁判所が去年、アップルの勝訴としたため、サムスンが控訴していました。

 控訴審判決で、知的財産高裁(飯村敏明裁判長)は、「サムスンによる損害賠償請求は、ライセンス料相当額を超える部分では認められない」との判断を示しました。

 損害賠償請求権をすべて認めなかった一審・東京地裁判決を変更し、ライセンス料相当額として995万円だけの損害賠償請求権を認め、サムスンはアップル側にそれ以上は請求できないとしました。

 一方でアップルの一部機種に対する販売禁止などの仮処分は、「権利濫用になる」として、請求を却下した一審判決を維持しました。

 この裁判で知財高裁は「審理の参考にするため」として、他社に特許を使わせる際の条件などについて一般の意見を募集しました。日本の裁判所では初めて一般から意見を募集するという取り組みです。弁護士や研究者などから合わせて58通の意見が寄せられました。判決では「貴重で有益な資料」になったと述べました。

2014年5月15日木曜日

知財保護の自民提言

 報道によれば、自民党が、15日、営業秘密の保護など知的財産の活用に関する提言をまとめたそうです。

<内容>

・ 秘密を漏洩した関係者らの罰金刑の引き上げ
・ 被害を受けた企業の裁判での立証負担の軽減策
・ 特許権などの取得にかかる審査期間(2012年度は30カ月)を今後10年以内で14カ月以内と半減させるよう審査体制を整備

 知財立国としての日本。競争も厳しい世界です。ぜひとも頑張ってよい制度を作ってほしいものです。

2014年5月14日水曜日

忘れられる権利

  報道によれば、13日、インターネットに掲載された個人情報の削除を求める、いわゆる「忘れられる権利」を巡って、欧州連合(EU)の最高裁に当たる欧州司法裁判所(ルクセンブルク)が、検索大手グーグルに個人情報削除命令を出したそうです。

 欧州司法裁判所は、ネット検索結果として表示される過去の報道内容に、今も自分の名前が表示されるのは不当だと訴えていたスペイン人男性の訴えを認め、米グーグルに対し男性の個人情報を削除するよう命じる判決を下しました。同裁判所は「検索企業は一定の条件下で、個人名での検索で表示される結果からリンクを削除する義務がある」と指摘しました。

 この裁判では、プライバシー保護を優先するか、表現や情報の自由を優先するかが問われていました。

 原告のスペイン人男性は、1998年の新聞に掲載された自分の債務に関する記事を巡り、2010年に同国の情報保護当局に苦情を申し立てました。債務はすでに完済しているにもかかわらず、グーグルで検索するとこの記事が表示されるのは、情報保護の権利侵害に当たると訴えていました。

 当局は、新聞に対する請求は退ける一方で、グーグルに対しては、原告に関するニュースをこれ以上広める権利はないと判断し、検索結果からリンクを削除するよう命じたのです。
 
 これを不服としてグーグルが上訴し、スペインの高裁を経て欧州司法裁判所に判断が持ち越されていました。 13日の判決では、グーグルのような検索エンジンは情報の「管理者」に当たると認定し、請求があれば望まれないリンクを削除する義務があると判断。 「インターネット検索エンジンの運営者には、第三者によって公開されたウェブページに表示される個人情報の処理に関する責任がある」と指摘しました。

 グーグル社は、これまで情報を削除するかどうかの判断は個々のウェブサイトに委ねられると主張しており、判決に対して遺憾であると表明し、今後の対応について検討するとしています。

 EUは、情報保全に関する規則に個人の「忘れられる権利」を明記する方針で、判決はこれを先取りして認めた形です。これにより、個人は時間が経過し、現状にそぐわなくなった過去の情報の削除を求めることが可能となりました。

  EU域内に効果が及ぶ同裁判所の判断は、この権利を巡る今後の議論にも大きな影響を与えそうです。これにより、グーグルの検索事業は個人からの削除請求にさらされる恐れがあります。

<欧州の個人情報保護>

 個人情報保護に関しては、EUが一番厳しいです。 日本企業が海外進出するといってもアジアやアメリカとEUでは難易度が違います。社員の個人情報に関する規制がまるで違うからです。

 「忘れられる権利」も、そのような状況下で保証された権利です。個人情報保護やプライバシーに敏感な欧州では、忘れられる権利の必要性が活発に議論されています。

<表現の自由>

 この問題にかかっている利害は、欧州司法裁判所のニーロ・ヤースキネン法務官によって、裁判所に事前にはっきりと説明されていました。同氏は、「忘れられる権利」の法制化には「表現と情報の自由といった極めて重要な権利を犠牲にすることが伴う」と述べていました。

  さらに、検索エンジンにこのような義務を負わせることは、パブリッシャーの権利を侵害し、「私的関係者による公開コンテンツの検閲に至る」と付け加えていました。




2014年5月13日火曜日

リベンジポルノ


  報道によれば、元交際相手の女性の裸の画像をインターネットの掲示板に投稿したとして、名誉毀損の罪に問われた男性被告(46)に対し、名古屋地裁(山田亜湖裁判官)は13日までに、懲役10月(求刑懲役1年)の実刑判決を言い渡したそうです。

 山田裁判官は判決理由で「ネットへの画像掲載は回収の見込みが乏しく、被害者の精神的苦痛は大きい」と指摘。「女性が離れていき、警察からストーカー扱いされたことに怒りを募らせて犯行に及んでおり、動機は身勝手」と述べました。

 判決によると、蛭田被告は昨年8月、携帯電話を使って、以前交際していた女性の顔や裸を撮影した画像を実名付きでネット掲示板に投稿。不特定多数の人が閲覧できる状態にし、女性の名誉を傷付けました。

 「リベンジ(復讐)ポルノ」とは、恋人や配偶者への愛情表現として自分の裸などを撮って送った写真が、別れた後で腹いせにインターネットに投稿されるよ うなケースです。近年、社会問題化しています。昨年10月に東京都内で起きたストーカー事件を機に、リベンジポルノの危険性が知られるようになりました。

  こうした写真の送信は10年ほど前から米国で広まりました。リベンジポルノの土壌は日本でも広がりつつあります。スマートフォンの普及で気軽に写真を送れるようになり、若者を中心に被害が広がっているようです。

 ネットに出て困る写真は『撮らない、撮らせない』が大切です。ネット上に載ると消すことはほぼ不可能ですから。



2014年5月12日月曜日

FCPA(アメリカ贈賄禁止法)の摘発が急増

 米司法当局が外国公務員に対する企業などの贈賄行為を禁止する海外腐敗行為防止法(FCPA)による摘発を強めています。最近10年で摘発件数は約10倍に急増しました。当局が積極的な法令解釈で摘発対象を広げているためです。

<FCPAとは>

 FCPAは米企業の外国の公務員に対する贈賄問題を機に1977年に施行されましたが、その後20年摘発事例は極めて少なかったようです。2000年代前半の法改正後、にわかに摘発が始まり、90年代後半に年間数件だった摘発が、2010年ごろには30件超に膨らみました。背景にあるのは、法律を管轄する司法省と米証券取引委員会(SEC)による積極的な法令解釈です。

 たとえば、FCPAの規制対象は原則として米企業ですが、外国企業も米企業と共謀したり、不正な支払いの一部を米国内で行ったりした場合には適用されます。当局は「米国内の行為」に「米銀を経由して資金をドル決済することも含まれる」と解釈し摘発しています。

 外国公務員への贈賄規制で米国ほど厳しい国は少ないです。そのため、米企業が競争上不利にならないよう、当局は米企業以外への適用に熱心です。

 米当局は外国公務員の定義も解釈を広げてきました。法令は「政府、その部局、機関、もしくは関連機関の職員・従業員」と規定していますが、当局は実務で「国営、実質的に支配する会社の従業員も含まれる」としているのです。

 アルカテル・ルーセントは10年、マレーシアの通信会社TMBの従業員に不適切な支払いをしたと摘発されました。この件ではマレーシア政府のTMBへの出資比率は43%にすぎませんでした。しかし、米当局は同国財務省がTMBの支出に拒否権を持つことなどから、TMBの従業員を公務員とみなしたのです。

 FCPAの適用範囲が裁判所で争われる事例が少ないことも、当局が積極的な摘発を続ける背景となっています。当局が解釈を広げても、摘発対象となった企業や個人の多くが「不訴追」や「訴追延期」を条件に和解金を払う司法取引に合意してしまうからです。

 FCPAや独禁法の執行は、民主党政権下では厳しくなる傾向があります。商習慣が異なるアジアや中東などで活動する日本企業は、特にFCPAを巡る議論に敏感になるべきです。

 米連邦控訴裁判所では現在、米通信会社幹部がハイチの国有電話会社の従業員に賄賂を贈った容疑を巡って裁判が行われています。国有会社の従業員が公務員にあたるかどうかが争われており、今後の判決次第では、増加する一方の米当局による摘発動向に影響を与える可能性もありそうです。

<日本企業も対象に>

 日本企業の摘発もあります。日本企業には、法令順守の徹底が求められています。

  丸紅は今年3月、インドネシアの公務員への贈賄容疑で米当局の摘発を受け、罰金約90億円で和解したと発表しました。昨年4月にはパナソニックの米国子会社が外国政府関係者への贈賄の疑いで当局の調査を受けていると米メディアが報じました。

 丸紅は火力発電所の設備を受注するため、インドネシアの国会議員や国有電力会社幹部に賄賂を贈ったとされます。問題とされた事業は日本の円借款で日本企業が手掛けるプロジェクトだったようですが、仏重電アルストムの米国法人と企業連合を組んだため、FCPAの摘発対 象とされました。

2014年5月10日土曜日

認知症徘徊事故訴訟

  愛知県大府市で2007年、自宅を出て徘徊(はいかい)中に電車にはねられて死亡した認知症患者の男性(当時91)の家族に、JR東海が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、名古屋高裁であった。長門栄吉裁判長は男性の妻と長男に約720万円の賠償を命じた一審判決を変更、妻のみに約360万円の支払いを命じた。

 長男の賠償責任は認めなかった。


<高裁判決>

  判決によると、男性は07年12月7日、大府市のJR共和駅構内で電車にはねられ死亡。自宅で妻と長男の妻が介護していたが、男性は2人が目を離した間に外出した。JR東海は振り替え輸送費や人件費などを家族側に請求していた。

 長門裁判長は判決理由で、当時85歳だった妻に関して「1945年の婚姻以降、同居して生活してきた夫婦。自立した生活を送れない男性を監督する義務があった」と述べた。

 男性の認知症はかなり進行し、目を離すと外出する恐れがあったうえ、いったん外出すると追いかけることは困難だったと指摘。妻が家屋の出入りを知らせるセンサーの電源を切ったままにしていたことなどを挙げ、「男性に対する監督は十分でなかった点がある」として妻の監督に過失があったと判断した。

 長男については20年以上も別居生活を送っていたことなどを挙げ、監督者に該当しないとして賠償責任を認めなかった。

 「利用客への監視が十分で駅ホームの扉が施錠されていれば、事故を防止できたと推認される」などとしてJR東海側にも安全に配慮する責務があったと判断し、賠償額は一審から5割減額した。

<そして上告>

 JR東海は8日、男性の妻に約360万円の支払いを命じた二審・名古屋高裁判決を不服として上告した。

 同社の柘植康英社長は15日の会見で、最高裁に上告した理由について「遺族だけが上告した場合、最高裁での争点が、男性の妻に監督義務があるかどうかだけに限定され、長男に責任がないという前提で議論される可能性があるため」と述べた。高裁判決で指摘された安全対策については、柘植社長は「非常停止ボタンの整備など、これまでも多くの対策を取ってきている。ホームの安全対策はこれからも行っていく」と語った。

 男性の妻は9日、自身に約360万円の支払いを命じた二審・名古屋高裁判決を不服として上告した。 妻の代理人は「家族が十分介護してきた中で義務が尽くされていないとされ、承服できない」とのコメントを出している。

<社会への影響>

 認知症のため徘徊して事故に遭う場合が増えている。深刻な問題だ。認知症患者の急増が見込まれるなか、家族の責任を引き続き認めた司法判断は介護現場に影響を与えそうだ。家族が四六時中、見守るには限界がある。社会全体で対応すべき時だ。