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2014年5月16日金曜日

サムスンに995万円のみ請求権 アップル訴訟で知財高裁

 アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による一連の裁判で、知的財産高等裁判所はスマートフォンなどの通信技術の特許についてサムスンの主張を一部で認め、ライセンス料に相当する990万円の賠償を求めることができるという判決を言い渡しました。

 スマートフォンやタブレット端末の技術を巡り、アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による裁判は世界各地で続いています。

 このうち今回の訴訟の対象は、アップル製のスマホ「iPhone 4」などに使われているサムスンの通信技術です。

 通信技術の特許に関する裁判では1審の東京地方裁判所が去年、アップルの勝訴としたため、サムスンが控訴していました。

 控訴審判決で、知的財産高裁(飯村敏明裁判長)は、「サムスンによる損害賠償請求は、ライセンス料相当額を超える部分では認められない」との判断を示しました。

 損害賠償請求権をすべて認めなかった一審・東京地裁判決を変更し、ライセンス料相当額として995万円だけの損害賠償請求権を認め、サムスンはアップル側にそれ以上は請求できないとしました。

 一方でアップルの一部機種に対する販売禁止などの仮処分は、「権利濫用になる」として、請求を却下した一審判決を維持しました。

 この裁判で知財高裁は「審理の参考にするため」として、他社に特許を使わせる際の条件などについて一般の意見を募集しました。日本の裁判所では初めて一般から意見を募集するという取り組みです。弁護士や研究者などから合わせて58通の意見が寄せられました。判決では「貴重で有益な資料」になったと述べました。