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2013年10月6日日曜日

民事訴訟の期間・費用

今回は民事訴訟の期間・費用について考えてみたいと思います。

1.第一審の判決がでるまで、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?

事案の性質にもよりますが、裁判所の「民事第一審訴訟事件等の概況」によれば、平成22年における民事第一審訴訟事件の平均審理期間は6.8ヶ月とされています。

2.では、判決が執行されるまで、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?

民事裁判の判決も、賠償されなければ、十年で時効となり、判決書自体が紙くずとなってしまいます。

3.ちなみに、皆さんは、どの程度の訴額だったら訴えを考えますか?

2012年の一人当たりの名目GDP(USドル)は46,706.72USドル(世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング)。およそ460万円です。

例えば約70万円の訴額だったら、日本人の一人当たりの名目GDPの0.15倍程度ですね。これくらいなら訴えますか?

4.訴訟費用

以下ではざっくりわかりやすく訴額100万円で考えたいと思います。

民事訴訟における訴訟費用は、裁判所に納める訴訟費用と、証人等に対する給付に区分され、裁判所に納める訴訟費用はさらに、手数料と手数料以外の費用に分けられます。

法律で定められている訴訟費用は,基本的には敗訴者が負担することになります。訴訟費用には,訴状やその他の申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料のほか,書類を送るための郵便料及び証人の旅費日当等があります。

訴えの提起手数料は、訴訟の目的の価額が百万円までの部分 その価額十万円までごとに 千円です。例えば、訴額10万円だと 1,000円、訴額100万円だと10,000円。

上記訴訟費用は,訴訟を追行するのに必要なすべての費用を含むわけではなく,例えば,弁護士費用は訴訟費用に含まれません。一番かかるのが弁護士費用ですが、勝敗にかかわらず、弁護士費用はあくまで自己負担になるわけです。

では、実際の弁護士費用とはどのくらいの額になるのでしょうか?

この点、「訴訟費用 -お金をかけずに裁判を起こすことはできるか」が参考になります。

仮に100万円を請求する民事裁判を起こしたとして、多くの事務所が採用する旧報酬規程により、単純計算すると、  

法律相談料 5250円/30分  
内容証明郵便作成 3万1500円~  
着手金 100万円×8%×消費税  
報奨金 100万円×16%×消費税 

 などが主な費用です。


これらをざっと計算すると、全面勝訴した場合約25万円となり、敗訴した場合、報奨金は支払う必要がないが、着手金は自己負担です。

つまり、一部勝訴で50万円の支払いが判決として認められたとすると、手元に残るのは30万円あまりとなります。

さらに自分の経費や本来の訴訟費用など、諸費用を入れると手元に残るものはなくなってしまうのが現実のようです。

さらに、実は、相手負担が認められる訴訟費用に関しては、実際に請求するには別途訴訟費用を確定する手続きが必要なこともあって、勝訴しても、相手に請求することはまれのようです。仮に1000万の訴訟をしても印紙代は5万円なので、最終的に敗訴した側に請求しないことが多いのです。

このように、訴訟をするなら弁護士費用も訴訟費用も結局は自己負担になると考えておくべきでしょう。

ただし、60万円以下の金銭支払いを求める訴訟に適用される少額訴訟については、弁護士を頼むこともなく自身でも簡単に進めることができます。裁判日数も1日と短いのが基本なので、費用を抑えたい。すぐに結果を求めたいときに有効です。

また、弁護士を頼まずに本人訴訟をするという方法もあります。裁判所には交通事故や敷金返還訴訟など、よくある裁判の訴状の定型フォーマットが用意されています。