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2013年10月20日日曜日

撮影禁止の建物を合法的にブログ掲載する方法

撮影禁止・制限がされている建造物を撮影し、それをブログに掲載したり出版したりした場合、どのような法律的な問題が生じるのでしょうか。

著作権

建造物に著作権が認められるのは例外的。また、仮に著作権が認められても、著作権法46条の規定により、写真撮影して出版物などに掲載しても著作権侵害とはなりません。

「パブリシティ権」の問題

神社仏閣などを撮影し、広告に使うケースを考えてみましょう。神社仏閣の写真が顧客の目にとまり、業者に儲けをもたらす可能性があります。そこで、そのような顧客吸引力を保護するために「パブリシティ権」という概念があります。

しかし、現時点での最高裁判所の判断は、芸能人やスポーツ選手など、人間のみに認めるというものです。神社仏閣のパブリシティ権は法律上保護されていません。

『敷地』管理権の侵害

撮影禁止ルールを破って写真を撮る行為は、神社仏閣の『敷地』管理権の侵害として、問題が処理され得ます。写真撮影を制限する対応は、その神社や寺院などが持つ敷地の管理権(「所有物の使用、収益」)を根拠に許されるわけです。

民法206条は、一般論として「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めています。

地主が自分の土地を使ってトクをしようとする行為は、原則として他の誰にも差し止められません。これは「私的所有権絶対の原則」と呼ばれ、国家にも干渉されない神聖な権利だとされています。

宗教団体が利益を追求しない存在であったとしても、あるいはその建造物が文化や歴史と結びついた公共財であったとしても、敷地を所有していれば、その所有権は絶対であり、敷地内でルールに反して撮影すれば、不法行為として、損害賠償を求められる可能性があります。

ただ、撮影禁止の施設であっても、公道からの撮影であれば、プライバシー侵害など別の問題が生じない限り、法律上許されます。撮影料を請求されても支払うかどうかは自由です。

なお、敷地内から撮影する場合、不法行為の成否は、敷地管理者が看板などを立てて、撮影禁止のルールを明示しているかどうかが分かれ目になります。

 撮影禁止の看板が設置されていなかったため、敷地内での撮影が不法行為にならないとされた判例があります。私有地に根を下ろすカエデの大木を、カメラマンが地主に断りなく撮影し、写真集にまとめて出版したケースに対してです。

このケースでは、「撮影には許可が必要」との看板が設置される以前に、カメラマンがカエデの大木を撮影し、土地所有者の許可を得ずに出版したことに対し、原告の土地所有者が所有権の損害だとして、出版差し止めと損害賠償を求めましたが、原告が敗訴しました。

撮影時に看板が設置されていれば、損害賠償が認められた可能性が高いでしょう。