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2013年10月13日日曜日

善管注意義務

東電や勝俣前会長に法的な責任はあるのでしょうか。

原子力損害の賠償に関する法律第三条によると、原子力事業者は原子力損害に対して無過失責任を負うことになっています。しかし、但し書きに「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」と免責規定があります。

今回の震災が「異常に巨大な天災地変」にあたれば東電に賠償の責任はないことになります。もっとも、これは議論のありうるところで、全電源喪失は予見可能だったから、異常に巨大な天災地変とはいえないという見解もあります。

また、勝俣前会長を含めた現・旧役員27人は、善管注意義務等に違反して損害を生じさせたとして、計約5兆5000億円の賠償を求める株主代表訴訟を起こされました。善管注意義務とは、善良な管理者が負う注意義務のことです。業務を委任された人は、通常人が期待する程度の注意を払い、考えられるリスクに対して対策する義務を負います(民法644条)。