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2013年11月18日月曜日

著作権①

  1. 著作権とは、「著作物を創作した著作者に独占的に認められる、著作物の利用に関する財産権」である。
    1. 個人の財産権は、憲法29条により保障される。
  2. 著作物の所有権が買主に移転しても、当然には(別途著作権移転の特約がない限り)、著作権は移転しない。
    1. 著作権は、知的財産権に属するが、主として産業上利用される権利ではないため、産業財産権ではない。
    2. 著作権は民法の特別法であるから、著作権に関する契約場面など著作権法に特に規定がない場合には、民法が適用される。
  3. 著作権法1条(目的)「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
    1. 著作権法では、侵害者に対する刑罰(懲役刑や罰金刑)についても規定している。
  4. 著作権も財産権であるから、その譲渡(売買や贈与)のほか、相続によって移転する。
  5. 著作権法においても契約は当事者間の合意のみによって成立するのであり(著作権法では、著作権の譲渡や利用許諾の方法を特に規定していないため)、著作権の譲渡契約や著作物の利用許諾契約も、当事者間の合意のみによって、合意が成立した時に、契約書など必要とせずに成立する(法61条、63条)。 
    1. 所有権と著作権は別個の権利であるから、所有者が所有物(動産)を質入れするのに、著作権者の承諾は必要ない。
  6. 著作権には「登記」という制度はないものの、「登録」の制度があり、著作権譲渡による著作権の移転は、「著作権移転の登録」をしなければ、第三者に対抗することができない(法77条)。
  7. 不当利得については著作権についても同様であり、例えば、利用許諾を与えていないのに著作物を利用して利益を受けた受益者に対し、著作権者は、不当利得の返還を請求することができる。
  8. 不法行為責任については著作権法においても同様であり、著作権等の侵害を理由として著作権者等が「損害賠償」や「名誉回復のための措置」を請求するには、侵害者側の「故意又は過失」を必要とする(著作権法115条、117条)。
  9. 著作物の要件
    1. 思想又は感情の表現であること
      1. 動物や機械による絵や写真は、人の思想や感情が創作的に表現されたものではなく、著作物ではない。
    2. 創作的なものであること
    3. 表現したものであること
    4. 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること
  10. アンケートの集計結果や事務的な文書、論評を伴わない事実のみを伝えるニュースや記事等は、情報の有用性や作成労力に関わらず、著作物ではない(法10条2項)。
  11. 著作物の例示
    1. 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
    2. 音楽の著作物
      1. 楽譜上に音符等によって書かれていることは要件とされていない。「音」のみで表現された即興演奏や即興歌唱、打楽器のリズムも音楽の著作物に含まれる。
    3. 舞踊又は無言劇の著作物
    4. 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
      1. 幼稚園児の描いた絵であっても、人の手による創作的な表現物であるから美術の著作物である。 
    5. 建築の著作物
      1. 著作物となり得る建築物は、全ての建築物ではなく、宮殿や寺院など美的要素を含む芸術的価値のある建築物(歴史的価値は問わない。)である。
    6. 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
    7. 映画の著作物
      1. 人が関与していない防犯カメラの映像は、その内容に関わらず映画の著作物ではない。 
      2. 父親が撮影したホームムービーの映像は、通常、被写体やアングルの選定に創作性が認められ、かつ、ディスク等に固定されており、映画の著作物である。
    8. 写真の著作物
    9. プログラムの著作物
      1. 文字や文法が著作物とはされないのと同様に、プログラムを作成するために用いられるプログラム言語、規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)には、独立した著作物としての保護が及ばない(法10条3項)。
  12. 二次的著作物とは、基となる他の著作物A(「原著作物」)に「創作的な変更等」を加えて、新たにBとして創作された著作物のことであり、著作権法においては、二次的著作物とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作された著作物をいうと定義されている(法2条1項11号)。 
    1. ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件 最判昭和53年9月7日
    2. 小説のイメージのみを利用し、表現部分を利用していない楽曲は、小説の二次的著作物とはならない。
  13. 編集著作物とは、著作権法においては、編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものと定義されている(法12条1項)。
    1.  選択したなら配列に工夫がなくても編集著作物。
  14. データベースとは、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成 したもの」である(法2条1項10の3)。 「データベースの著作物」とは、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するもの」である(法12条の2第1項)。
  15. 共同著作物=「二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」(法2条1項12号)
  16. 保護を受ける著作物(法6条)  
    1. 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物 
    2. 最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。) 
      1. 外国人の著作物であって、最初に日本国内で発行されたものでなくとも、最初の発行日から30日以内に日本国内で発行され又は同じ条約加盟国の国民の著作物であれば、日本の著作権法の保護対象となる。
    3. 前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物