- 著作権とは、「著作物を創作した著作者に独占的に認められる、著作物の利用に関する財産権」である。
- 個人の財産権は、憲法29条により保障される。
- 著作物の所有権が買主に移転しても、当然には(別途著作権移転の特約がない限り)、著作権は移転しない。
- 著作権は、知的財産権に属するが、主として産業上利用される権利ではないため、産業財産権ではない。
- 著作権は民法の特別法であるから、著作権に関する契約場面など著作権法に特に規定がない場合には、民法が適用される。
- 著作権法1条(目的)「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
- 著作権法では、侵害者に対する刑罰(懲役刑や罰金刑)についても規定している。
- 著作権も財産権であるから、その譲渡(売買や贈与)のほか、相続によって移転する。
- 著作権法においても契約は当事者間の合意のみによって成立するのであり(著作権法では、著作権の譲渡や利用許諾の方法を特に規定していないため)、著作権の譲渡契約や著作物の利用許諾契約も、当事者間の合意のみによって、合意が成立した時に、契約書など必要とせずに成立する(法61条、63条)。
- 所有権と著作権は別個の権利であるから、所有者が所有物(動産)を質入れするのに、著作権者の承諾は必要ない。
- 著作権には「登記」という制度はないものの、「登録」の制度があり、著作権譲渡による著作権の移転は、「著作権移転の登録」をしなければ、第三者に対抗することができない(法77条)。
- 不当利得については著作権についても同様であり、例えば、利用許諾を与えていないのに著作物を利用して利益を受けた受益者に対し、著作権者は、不当利得の返還を請求することができる。
- 不法行為責任については著作権法においても同様であり、著作権等の侵害を理由として著作権者等が「損害賠償」や「名誉回復のための措置」を請求するには、侵害者側の「故意又は過失」を必要とする(著作権法115条、117条)。
- 著作物の要件
- 思想又は感情の表現であること
- 創作的なものであること
- 表現したものであること
- 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること
- アンケートの集計結果や事務的な文書、論評を伴わない事実のみを伝えるニュースや記事等は、情報の有用性や作成労力に関わらず、著作物ではない(法10条2項)。
- 著作物の例示
- 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 音楽の著作物
- 楽譜上に音符等によって書かれていることは要件とされていない。「音」のみで表現された即興演奏や即興歌唱、打楽器のリズムも音楽の著作物に含まれる。
- 舞踊又は無言劇の著作物
- 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 建築の著作物
- 著作物となり得る建築物は、全ての建築物ではなく、宮殿や寺院など美的要素を含む芸術的価値のある建築物(歴史的価値は問わない。)である。
- 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 映画の著作物
- 写真の著作物
- プログラムの著作物
- 文字や文法が著作物とはされないのと同様に、プログラムを作成するために用いられるプログラム言語、規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)には、独立した著作物としての保護が及ばない(法10条3項)。
- 二次的著作物とは、基となる他の著作物A(「原著作物」)に「創作的な変更等」を加えて、新たにBとして創作された著作物のことであり、著作権法においては、二次的著作物とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作された著作物をいうと定義されている(法2条1項11号)。
- 編集著作物とは、著作権法においては、編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものと定義されている(法12条1項)。
- データベースとは、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」である(法2条1項10の3)。 「データベースの著作物」とは、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するもの」である(法12条の2第1項)。
- 共同著作物=「二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」(法2条1項12号)
- 保護を受ける著作物(法6条)
- 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物
- 最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)
- 前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物
- 著作権の目的とならない著作物(法13条)
- 憲法その他の法令
- 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
- 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
- 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
- 著作者=「著作物を創作する者」(法2条1項2号)
- 著作者は、著作物を創作した時に自動的に「著作者」となり、その地位や権利を取得するのに登録その他特別な方式を必要としない。
- 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代 えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
- 職務上作成する著作物の著作者: 法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除 く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等と する。
- 映画の著作物の著作者: 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美 術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、職務著作の規定の適用がある場合は、この限りでない。
- 公表権: 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
- 氏名表示権
- 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。
- その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
- 同一性保持権
- 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けない。
- 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。
- 著作者人格権の一身専属性
- 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
- 著作権に含まれる権利の種類
- (複製権) 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
- (上演権及び演奏権)著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
- (上映権) 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。
- 公衆送信権 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
- 公衆伝達権 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
- 口述権 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。
- 展示権 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
- 頒布権 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
- 譲渡権
- 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつて は、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
- 貸与権 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除 く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。
- 翻訳権、翻案権等 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
- 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を 専有する。
- 映画の著作物の著作権の帰属
- 映画の著作物の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
- 映画製作者=映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。
- 私的使用のための複製
- 著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用す ること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、その使用する者が複製することができる。
- 翻訳、編曲、変形又は翻案
- 作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示することはできない。
- 付随対象著作物の利用
- 検討の過程における利用
- 技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用
- 図書館等における複製等
- 国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この項及び第三項において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
- 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部。第三項において同じ。)の複製物を一人につき一部提供する場合
- 図書館資料の保存のため必要がある場合
- 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料(以下この条において「絶版等資料」という。)の複製物を提供する場合
- 前項各号に掲げる場合のほか、国立国会図書館においては、図書館資料の原本を公衆の利用に供することによるその滅失、損傷若しくは汚損を避けるために当該原本に代えて公衆の利用に供するため、又は絶版等資料に係る著作物を次項の規定により自動公衆送信(送信可能化を含む。同項において同じ。)に用いるため、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十三条の二第四項において同じ。)を作成する場合には、必要と認められる限度において、当該図書館資料に係る著作物を記録媒体に記録することができる。
- 引用
- 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
- 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
- 教科用図書等への掲載
- 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供される児童用又は生徒用の図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。以下同じ。)に掲載することができる。
- 前項の規定により著作物を教科用図書に掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、同項の規定の趣旨、著作物の種類及び用途、通常の使用料の額その他の事情を考慮して文化庁長官が毎年定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
- 教科用拡大図書等の作成のための複製等
- 教科用図書に掲載された著作物は、視覚障害、発達障害その他の障害により教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習の用に供するため、当該教科用図書に用いられている文字、図形等の拡大その他の当該児童又は生徒が当該著作物を使用するために必要な方式により複製することができる。
- 前項の規定により複製する教科用の図書その他の複製物(点字により複製するものを除き、当該教科用図書に掲載された著作物の全部又は相当部分を複製するものに限る。以下この項において「教科用拡大図書等」という。)を作成しようとする者は、あらかじめ当該教科用図書を発行する者にその旨を通知するとともに、営利を目的として当該教科用拡大図書等を頒布する場合にあつては、前条第二項に規定する補償金の額に準じて文化庁長官が毎年定める額の補償金を当該著作物の著作権者に支払わなければならない。
- 学校教育番組の放送等
- 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、若しくは有線放送し、又は当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。
- 前項の規定により著作物を利用する者は、その旨を著作者に通知するとともに、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
- 学校その他の教育機関における複製等
- 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
- 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
- 試験問題としての複製等
- 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
- 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
- 視覚障害者等のための複製等
- 公表された著作物は、点字により複製することができる。
- 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。
- 聴覚障害者等のための複製等
- 聴覚障害者その他聴覚による表現の認識に障害のある者(以下この条及び次条第五項において「聴覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で次の各号に掲げる利用の区分に応じて政令で定めるものは、公表された著作物であつて、聴覚によりその表現が認識される方式(聴覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この条において「聴覚著作物」という。)について、専ら聴覚障害者等で当該方式によつては当該聴覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、それぞれ当該各号に掲げる利用を行うことができる。ただし、当該聴覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者により、当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。
- 営利を目的としない上演等
- 時事問題に関する論説の転載等
- 新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
- 政治上の演説等の利用
- 公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
- 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正 当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地 域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力 することによるものを含む。)を行うことができる。
- 前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。
- 時事の事件の報道のための利用
- 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。
- 裁判手続等における複製
- 著作物は、必要と認められる場合には、その必要と認められる限度に おいて、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、 この限りでない。
- 裁判手続
- 立法又は行政の目的
- 行政庁の行う特許、意匠若しくは商標に関する審査、実用新案に関する技術的な評価又は国際出願に関する国際調査若しくは国際予備審査に関する手続
-
行政庁若しくは独立行政法人の行う薬事に関する審査若しくは調査又は行政庁若しくは独立行政法人に対する薬事に関する報告に関する手続
- 行政機関情報公開法 等による開示のための利用
- 公文書管理法 等による保存等のための利用
- 国立国会図書館法 によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製
- 放送事業者等による一時的固定
- 美術の著作物等の原作品の所有者による展示
- 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。
- 公開の美術の著作物等の利用
- 美術の著作物等の展示に伴う複製
- 美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第二十五条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる。
- 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等
- プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等
- プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。
- 保守、修理等のための一時的複製
- 送信の障害の防止等のための複製
- 送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等
- 情報解析のための複製等
- 電子計算機における著作物の利用に伴う複製
- 情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用
- 複製物の目的外使用等
- 著作者人格権との関係: 著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
- 保護期間
- 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
- 著作権は、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。)五十年を経過するまでの間、存続する。
- 著作者が死亡した日の属する年の翌年から起算する。
- 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過 していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
- 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
- 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
- 継続的刊行物等の公表の時
- ベルヌ条約等の条約の加盟国で、その本国において定められる著作権の存続期間が第五十一条から第五十四 条までに定める著作権の存続期間より短いものについては、その本国において定められる著作権の存続期間による。
- 著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。
- 保護期間が満了したとき。
- 著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九百五十九条 (残余財産の国庫への帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
- 著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第二百三十九条第三項 (残余財産の国庫への帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
- 著作権の譲渡
- 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
- 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
- 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
- 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)若しくは信託による変更又は処分の制限
- 著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
- 共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。
- 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
- 著作権は、これを目的として質権を設定した場合においても、設定行為に別段の定めがない限り、著作権者が行使するものとする。
- 登録
- 無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる。
- 著作権者又は無名若しくは変名の著作物の発行者は、その著作物について第一発行年月日の登録又は第一公表年月日の登録を受けることができる。
- プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
- 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
- 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)若しくは信託による変更又は処分の制限
- 著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
- 出版権
- 複製権者は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
- 出版権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更若しくは消滅(混同又は複製権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
- 出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。
- (著作隣接権)
- 実演家
- 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)。
- 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者。
- 実演家の権利
- 氏名表示権
- 同一性保持権
- 録音権及び録画権
- 放送権及び有線放送権
- 送信可能化権
- 有線放送に対する報酬請求権
- 二次使用料を受ける権利
- 譲渡権
- 貸与権等
- レコード製作者
- レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)
- レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者
- レコード製作者の権利
- 複製権
- 送信可能化権
- 二次使用料を受ける権利
- 譲渡権
- 貸与権等
- 放送事業者
- 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信
- 放送事業者 放送を業として行う者
- 放送事業者の権利
- 複製権
- 再放送権及び有線放送権
- 送信可能化権
- テレビジョン放送の伝達権
- 有線放送事業者
- 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信
- 有線放送事業者 有線放送を業として行う者
- 有線放送事業者の権利
- 複製権
- 放送権及び再有線放送権
- 送信可能化権
- 有線テレビジョン放送の伝達権
- 権利侵害
- 侵害とみなす行為
- 輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
- 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為
- 著作権が「侵害」された場合の対抗措置
- 「民事」の対抗措置
- あっせん
- 差止請求 著作権の侵害を受けた者は、侵害をした者に対して、「侵害行為の停止」を求めることができます。また、侵害のおそれがある場合には、「予防措置」を求め ることができます(第112条、第116条)。
- 名誉回復等の措置の請求 著作者又は実演家は、侵害者に対して、著作者等としての「名誉・声望を回復するための措置」を請求することができます(第115条、第116条)。 例えば、小説を無断で改ざんして出版されたような場合、新聞紙上などに謝罪文を掲載させるなどの措置がこれに当たります。
- 損害賠償請求 故意又は過失により他人の権利を侵害した者に対して、侵害を被った者は、侵害による損害の賠償を請求することができます(民法第709条)。侵害を被っ た者は損害の額を立証しなければなりませんが、それを軽減するために、侵害による損害額の「推定」ができる規定が設けられています(第114条)。
- 不当利得返還請求 他人の権利を侵害することにより、利益を受けた者に対して、侵害を被った者は、侵害者が侵害の事実を知らなかった場合には、その利益が残っている範囲で の額を、知っていた場合には、利益に利息を付した額を、それぞれ請求することができます(民法第703条、第704条)。 例えば、自分で創作した物語を無断で出版された場合、その出版物の売上分などの返還を請求できます。
- 刑事の対抗措置
- 著作権の侵害は「犯罪行為」であり、権利者が「告訴」を行うことを前提として,「3年以下の懲役」又は「300万円以下の罰金」という罰則規定が設けられています(第119条第1号)。
- 条約
- 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
- TRIPs協定
- 著作権に関する世界知的所有権機関条約