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2014年10月1日水曜日

契約書作成の意義

 契約の成立には原則として契約書のような書面の作成は必須ではない。私人である当事者間では,原則として,契約書を作成しなくても,すなわち口頭の合意であっても契約が成立する。それにもかかわらず,契約書を作成する意義は何か。

 第1に,契約の内容を書面(契約書)にすることによって,将来起きるかもしれな い紛争を避けることができる(将来の紛争予防)。

 第2に,契約とは,合意により人と人との 聞の権利義務関係を形成するものであり,当 事者聞に一種の法律を制定するようなものであるから,その重要性に照らして,書面により客観性を確保し,その内容について一義 的に明確にしておくことが望ましい。また, 紛争にならなかったとしても,人間は誰しも が忘れやすいという経験則を尊重して,書面 化することが望ましい。

 第3に,コンブライアンスの観点がある。実務上は,法令を順守したことに ついて何らかの書面を残すのがコンブライア ンスの観点上からも要請される傾向にあり, その重要な側面として契約書を作成す る傾向が強くなっている。

 契約の種類や実現される経済的な利益に 応じて契約書の分量も変化する。