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2015年1月18日日曜日

休眠会のみなし解散


 
2014年12月24日までに、登記していても経営実体のない休眠会社の整理を進める法務省は、これまで5~12年おきだった職権による「みなし解散」を来年度以降は毎年実施する方針を固めました。登記の電子化で実態を把握しやすくなったことがきっかけで、休眠会社が犯罪に悪用されるのを防ぐ狙いもあります。

 みなし解散は、役員変更などの登記が一定期間以上行われない休眠会社を、法務省の判断で解散させる制度です。

 法務省の大臣が対象会社を官報で公告した後、2カ月以内に役員などの登記をするか、法務局に「事業を廃止していない」と届け出ないと解散とみなされます。

 法務省は1974~2002年、一部の例外を除きおおむね5年に1回、みなし解散の手続きを取りました。

 整理作業は2014年11月に始まりました。

  役員の任期を延長した2006年の会社法施行で、休眠会社の定義が「最後の登記から5年経過」から「12年経過」に変更されたため、上川陽子法相は2014年11月、12年ぶりに公告しました。法務省の調査によれば、法人登記はされているものの、実際には企業活動をしていない休眠会社が国内に約8万8000社あります。会社法に基づき、株式会社約177万社から登記情報が12年以上更新されていない企業約8万8000社を洗い出し、解散手続きに入る旨を通知しました。

 法務省民事局によると、通知したうち「宛先不明」として返送されたのは約6万社で、大半がみなし解散となる可能性が高いです。2002年には約11万社の休眠会社を確認し、うち約8万社がみなし解散となりました。

 かつては法務局の職員が膨大な登記資料を手作業で精査していたため「事務量や予算規模を考えると数年おきが限界」(民事局)でしたが、2008年に登記のオンライン化が完了し休眠会社の抽出が容易になりました。

 休眠会社の分割や転売は新たに会社を設立するよりも低コストで、審査が甘いなどの問題もあり、詐欺や脱税など経済事件の温床になっているとの指摘が出ています。


 法務省は、2015年1月19日までに事業継続の届け出を受け付けます。2015年1月19日までに、廃業していないことを示す届け出書の提出か、役員などの登記情報の更新が行われない限り「みなし解散」の登記を行います。みなし解散後、3年たつと解散が確定します。


 整理作業は2002年以来ですが、来年度以降は毎年作業を行う予定です。


休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施について(法務省)

    まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は,平成27年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。


休眠会社を毎年整理へ 法務省、15年度から

    日本経済新聞 電子版(2014年12月24日)