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2014年4月12日土曜日

会社の機密を漏えいした社員に、どこまでの処分ができるのか?



 今回は、会社の機密を漏えいした社員に、どこまでの処分ができるのかについて考えてみたいと思います。

 近年、パソコンが一般的に普及したこともあり、社員が会社の機密事項にふれる機会は多いと思います。機密事項とは、他社の情報や、会社のノウハウなどさまざまです。

 ここで、社員が会社の機密事項を漏らした場合の対応について考えます。

①機密漏えいは防止が第一

 当然のことですが、機密漏えいは起こらないのが一番です。就業規則に機密保持についてしっかりと定めたり、機密保持誓約書などを結び、漏えいが起こらない体制をしっかりと整備しましょう。


 就業規則にこのように定め、社員がもし機密漏えいを行った場合は懲戒の対象とすることを周知しておく必要があります。



②もし機密漏えいが起こってしまったら・・・

 もし、実際に機密漏えいが起こってしまったら、会社としては厳格な処分、すなわち減給、けん責、あるいは解雇をしてもよいでしょう。

 処分の度合いについては、これも就業規則の懲戒規定によることになりますが、漏れた情報の内容、動機や目的、経営への影響などを総合的に勘案して行うべきでしょう。もし、実際に会社に損害が生じていなくても、機密を漏らしたという事実のみをもって懲戒の対象となり得ます。労働者は労働法によって保護されており、よほどの理由がなければ解雇は難しいです。しかし、機密漏えいは程度によっては懲戒解雇にもなり得ます。厳格な態度で臨みましょう。

 もっとも、故意でない情報漏えいで会社に損害を与えたとしても、その責任をすべて従業員が負わされることはありませんし、会社の内部管理責任も問われます。悪質性の低いミスを理由とした解雇は、裁判になれば会社が不当解雇で敗訴するリスクが高いでしょう

 その他考えられる責任追及は、民事責任、刑事責任・行政法上の責任です。

 民事責任で考えられるのは、漏えいのせいで業績が落ちたから損害賠償しろ、というものです。例えば、新製品について情報を流したために売り上げが激減した、というような場合があるでしょう。

 刑事責任や行政法上の責任では、信用毀損罪で告発されるとか、風説を流布して株価に影響を与えたとして、証券取引等監視委員会に呼び出され、課徴金を科されることなどが考えられます。また、もし漏れた情報が厳重に管理されていた情報であれば、窃盗罪が適用されることもあります。場合によっては犯罪に該当するケースもありますので、会社としてはそこまで視野に入れた対応が必要となります。


③ まとめ

 社員による会社の機密漏えいは、防止が一番なので、まずは就業規則などで機密漏えいに関する規定をしっかりと定め、社員に周知することが肝要です。そのうえで、もし機密漏えいが起こってしまった場合は、漏れた情報の内容、動機や目的、経営への影響などを総合的に考えて、処分を行ないます。