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2014年9月18日木曜日

グーグル検索の逮捕記事表示について、原告男性の請求棄却

 検索サイト「グーグル」で自分の名前を検索すると過去の逮捕記事が表示され、名誉を傷付けられたとして京都市の40代の男性が「グーグル」の日本法人に対し、検索結果の表示中止と慰謝料など約1100万円を求めた訴訟の判決が17日、京都地裁でありました。
 京都地裁は、日本法人に表示阻止義務はないとして、名誉毀損に当たるかどうかは判断せず、男性の請求を棄却しました。
 今回の判決で、京都地裁は「サイトを管理、運営するのは(親会社で米国法人の)グーグルインク」と指摘し、「被告側に表示阻止義務を生じさせる法律上の根拠は認められない」と結論付けたそうです。

2014年8月14日木曜日

京都地裁判決

京都地裁判決の要旨(2014年8月7日)

 原告 X

 被告 ヤフー株式会社

 主文

 1 原告の請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は原告の負担とする。

 事実及び理由

第1 請求

 1 被告は、原告に対し、1100万円及びこれに対する平成25年5月1日(不法行為の日の後の日)から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え

 2  被告は、被告の運営するインターネット上のウェブサイト「Yahoo! JAPAN」において、原告が逮捕された旨の事実を表示してはならない。

 3 被害は、被害の運営するインターネット上のウェブサイト「Yahoo! JAPAN」において、原告が逮捕された旨の事実が記載されているウェブサイトヘのリンクを表示してはならない。

第2 事案の概要

 本件は、原告が、インターネット上で検索サービス等を提供するウェブサイト「Yahoo! JAPAN」(以下「本件サイト」という)を運営する被告に対し、本件サイトで原告の氏名を検索語として検索を行うと、原告の逮捕に関する事実が表示されるところ、これにより原告の名誉毀損(きそん)及びプライバシー侵害が行われているとして、不法行為に基づき、損害賠償金1100万円及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、人格権に基づき、本件サイトにおける、原告が逮捕された旨の事実の表示及び同事実が記載されているウェブサイトヘのリンク)の表示の各差し止めを求める事案である。

 1 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)

 (1)当事者等

 ア 原告

 原告は、40代の男性であり、平成24年11月にサンダルに仕掛けた小型カメラで女性を盗撮したとして、同年12月に京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕され、その後、同条例違反につき平成25年4月に執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 イ 被告

 被告は、情報処理サービス業及び情報提供サービス業等を目的とする株式会社であり、本件サイトを運営している。

 (2)本件サイト及び検索サービスの概要

 ア 本件サイトにおいては、利用者が単語等を入力すると、それに関連する検索結果が表示されるというインターネット上での検索サービスが提供されている。

 上記検索結果は、(1)検索ワードをその記載内容に含むウェブサイトヘのリンク、(2)スニペットと呼ばれる、リンク先サイトの記載内容の一部が自動的かつ機械的に抜粋されたもの、(3)リンク先サイトのURLのセットが羅列された一覧形式で表示される。

 イ 本件検索サービスにおいては、所定のプログラムに従ってウェブサイトを検索するというロボット型全文検索エンジンが採用されており、自動的かつ機械的にインターネット上の無数のウェブサイトの情報が収集され、利用者が本件サイトで検索ワードを入力すると、上記収集情報の中から抽出された検索ワードに関連する検索結果が表示されるという形でサービスが提供されている。

 (3)原告に関する検索結果

 本件検索サービスを利用し、検索ワードとして原告の氏名を入力すると、その検索結果として、原告の氏名が記載されたウェブサイトヘのリンクとスニペット、当該サイトのURLとがセットになったものが複数表示される。その中には、本件逮捕事実が記載されたウェブサイトへのリンク、スニペット及びURLが複数含まれており、スニペットのみで本件逮捕事実を認識し得るものも複数存在する。

 2 争点及び争点に関する当事者の主張

 (1)本件検索結果の表示は原告の名誉を毀損するものとして、被告に不法行為が成立するか(争点1)

(原告の主張)

 本件検索結果の表示は、原告の社会的評価を低下させるものとしてその名誉を毀損するものであり、原告が無名の一私人であること、本件逮捕事実に係る犯罪が軽微なものであること、原告が同事実により既に執行猶予判決を受けていることなどからすると、違法性が阻却されることもない。その具体的理由は以下のアないしウのとおりである。

 ア 本件検索結果の表示による事実の摘示

 本件検索サービスによる検索結果は、(1)被告が、ニュースまとめサイト等のサーバーに保存されている情報を被告のサーバーに複写・保存する、(2)本件検索サービスの利用者が本件サイトで検索ワードを入力すると、被告は、捜索ワードにふさわしい情報を被告のサーバーに保存された情報の中から検索して、該当情報の一部を利用者のパソコンに送信する(その送信された情報が利用者のパソコンに表示される)という過程を経て表示されているところ、上記(1)、(2)は被告の行為そのものである。リンクについては、利用者が該当惰報の内容の全部を認識するにはクリックという行為が介在することになるが、かかる形式論でリンクの表示につき被告の行為性が否定されるものではない。

 したがって、被告がリンク及びスニペットを表示する行為は、単にリンク先サイトの存在及び所在を示すものではなく、事実の摘示そのものであるといえる。

 そして、本件検索結果の表示のうちスニペット部分には正に本件逮捕事実が摘示されているし、リンク部分もクリック一つでリンク先サイトに記載されている本件逮捕事実が目に触れられるようにしていることからすると、社会通念上、本件逮捕事実を摘示したものと評価できる。

 被告は、本件検索結果の表示は被告の意思が何ら介在しないから、表現行為に該当しない主張するが、本件検索結果の表示は被告が採用している検索エンジンによって行われているのであるから、被告の意思に基づくものであるといえる。そもそも、名誉毀損が成立するには、単に特定人の社会的評価を低下させる「事実の摘示」で足りるのであり、「意思内容の反映」、「表現」である必要はない。

 イ リンク先サイトの存在について

 リンク先サイトの存在によって、被告の行為が免責されることはない。リンク先サイトにおいて本件逮捕事実に関する情報が表示された時点では名誉毀損が成立しなかったとしても、これとは別の時点で、別の方法で本件逮捕事実を表示する行為については、独自に当該表示行為そのものについても名誉毀損の成否が検討されるべきである。

 ウ 違法性阻却について

 同種被害の防止の観点から犯行に対する注意を喚起する社会的必要性が高いとしても、軽微な犯罪について、執行猶予判決の言い渡し時以降においてまで犯人の実名を公衆に認知させる必要はないから、原告の実名を含む本件逮捕事実は公共の利害に関する事実とはいえない。

 また、本件検索結果の表示に係る被告の行為は、自動的かつ機械的になされているというのであるから、一片の公益目的も認められない。

 したがって、違法性阻却は認められない。

(被告の主張)

 ア 本件検索結果の表示は、本件逮捕事実の記載があるウェブサイトの存在及びURLを示すものにすぎず、本件逮捕事実を摘示しているわけではないから、名誉毀損の要件としての事実の摘示を欠いている。本件検索サービスは、単なる情報へのアクセス手段としての機能を有するにすぎないものであり、被告の意思内容の反映とはいえない。したがって、表現行為とはいえない検索結果の表示によって名誉毀損が成立する余地はない。本件逮捕事実が記載されているリンク先サイト(新聞記事等)につき名誉毀損が成立しないのに、本件検索サービス等の上記記事へのアクセス手段が違法となるというのは、常識にも反する。

 本件検索結果の表示のうちスニペット部分についても、自動的かつ機械的にリンク先サイトの情報を−部抜粋して表示しているにすぎないことに照らすと、被告が表現行為として自らの意思内容を表示したものとはいえないから、事実の摘示には当たらず、名誉毀損となるものではない。

 イ 仮に、本件検索結果の表示が「本件逮捕事実の記載があるウェブサイトの存在及びURL」という事実の摘示(表現行為)に当たると解されたとしても、本件逮捕事実の記載があるウェブサイトがインターネット上に存在するという事実は、真実である。また、現代の人々の生活にとってインターネットからの情報収集が不可欠であり、検索サービスがそのための必須のツールになっていることに照らせば、上記ウェブサイトを含め、あるウェブサイトの存在という事実には公共性があり、かつ、そのような情報を提示する行為に公益目的が認められることは明らかである。

 したがって、本件検索結果の表示については違法性が阻却される。

 ウ インターネット上には無数の言論が存在するところ、あらゆる言論に自由にアクセスできることは表現の自由の根本的要請である。本件検索サービスによる特定の検索結果につき名誉毀損が成立するとなると、被告は、当該検索結果において表示されたリンク先サイトへのアクセス制限を強制されることになるが、これは表現の自由の根幹を揺るがすものといわざるを得ない。

 (2)本件検索結果の表示は原告のプライバシーを侵害するものとして、被告に不法行為が成立するか(争点2)

(原告の主張)

 本件検索結果の表示は原告のプライバシーを侵害する。その理由については、争点1の主張のとおりである。

(被告の主張)

 原告の主張は争う。

 本件逮捕事実については、その発生からまだわずかな期間しか経過しておらず、みだりに公開されない利益としてのプライバシーの保護の対象となるものではない。また、被告は、本件検索結果の表示により、単に本件逮捕事実の記載があるウェブサイトの存在及び所在(URL)を示しているにすぎず、本件逮捕事実を公表しているものではないから、プライバシー侵害は生じ得ない。

 仮に、プライバシー侵害の問題が生じ得るとしても、上記ウェブサイトの存在及びURLという情報には公共性があり、かつ、そのような情報を提示する検索結果の表示という行為の目的及び方法に相当性が認められることは明らかであるから、違法性はない。

 (3)損害及び因果関係(争点3)

(原告の主張)

 ア 原告は、本件逮捕事実により勤務先を懲戒解雇となった後、平成25年4月に執行猶予判決を受け、心機一転して再就職のための活動をしようと考えていた。ところが、本件サイトで原告の氏名を検索すると、検索結果として、原告が逮捕された旨の記事が多数表示されたことから、企業等の採用担当者がインターネットで原告の氏名を検索すると本件逮捕事実を知ることになり、原告を採用することはないであろうと、将来を絶望するに至った。潜在顧客が原告の氏名を検索することを考えると、個人事業を営む道も絶たれたといえる。これらに限らず、原告が名乗った相手がインターネットで原告の氏名を検索することで、本件逮捕事実を知られるのではないかとの不安から、原告は通常の社会生活を送ることができない状態である。

 以上のことからすると、被告の名誉毀損行為及びプライバシー侵害行為によって原告が被った精神的損害は、1000万円を下回ることはない。また、弁護士費用としては100万円が相当である。

 イ 一般公衆は、インターネット上に多数存在する本件逮捕事実に関するウェブサイトの存在も所在も知らないのであり、被告の本件検索サービスによって初めて、本件逮捕事実に関するウェブサイトを目にし、そのため、原告に多大な精神的損害が生じるのであるから、被告の行為と原告の精神的損害との間の因果関係は明白である。

 また、被告以外の他社の検索サービスがあるからといって、上記因果関係が否定されるものではない。

(被告の主張)

 原告が主張する損害については立証がなされていない。

 また、仮に本件検索結果の表示がされなかったとしても、本件逮捕事実が記載されているリンク先サイトはこれが削除されるまで存在し続け、誰でも閲覧できる状態にあるし、被告以外の他社の検索サービスも存在するのであるから、本件検索結果の表示と原告が主張する損害との間には相当因果関係が認められない。

(4)本件差止請求の可否(争点4)

(原告の主張)

 平成26年5月に、欧州連合司法裁判所において、検索サービス最大手の会社に対し、他人に知られたくない情報が掲載されているサイトへのリンクを削除することを命じる判決が言い渡された。

 本件においても、憲法上の幸福追求横に由来する個人の名誉、プライバシー保護の観点から、本件差し止め請求が認められるべきである。

(被告の主張)

 争う。

当裁判所の判断

 1 争点1(本件検索結果の表示は原告の名誉を毀損するものとして、被告に不法行為が成立するか)について

 (1)本件検索結果の表示による事実の摘示

 ア 前提事実のとおり、本件検索サービスの仕組みは、被告が構築したものであるから、これによる検索結果の表示は、被告の意思に基づくものというべきであるが、本件検索サービスの目的(リンク先サイトの存在及びURLを利用者に知らせること)や、表示される検索結果が基本的には、被告が左右することのできない複数の条件(利用者が入力する検索ワードの内容、リンク先サイトの存在及びその記載内容等)の組み合わせによって自動的かつ機械的に定まること等にかんがみれば、被告が検索結果の表示によって本件検索サービスの利用者に摘示する事実とは、リンク先サイトの存在及びURL並びにその記載内容の一部(スニペットとして表示される、当該サイトの記載内容のうち検索ワードを含む部分)という事実に止まるものと認めるのが相当であり、本件検索サービスの一般的な利用者の通常の認識にも合致するといえる。

 前提事実のとおり、本件検索結果の表示は、原告の氏名を検索ワードとして本件検索サービスにより検索を行った結果の一部であり、ロボット型全文検索エンジンによって自動的かつ機械的に抽出された、原告の氏名の記載のある複数のウェブサイトヘのリンク、スニペット(本件逮捕事実が記載されたもの)及びURLであるから、これによって被告が摘示する事実は、「原告の氏名が記載されているウェブサイトとして、上記の複数のリンク先サイトが存在していること」及び「その所在(URL)」並びに「上記の複数のウエブサイト中の原告の氏名を含む部分の記載内容」という事実であると認めるのが相当であり、本件検索サービスの一般的な利用者の通常の認識にも合致するといえる。

 イ 原告は、本件検索結果の表示は正に本件逮捕事実の摘示である旨主張する。

 しかし、上記判示のとおり、本件検索結果の表示のうちリンク部分は、リンク先サイトの存在を示すものにすぎず、本件検索サービスの利用者がリンク部分をクリックすることでリンク先サイトを開くことができるからといって、被告自身がリンク先サイトに記載されている本件逮捕事実を摘示したものとみることはできない。また、スニペット部分に本件逮捕事実を認識できる記載があるとしても、スニペット部分は、利用者の検索の便宜を図るため、リンク先サイトの記載内容のうち検索ワードを含む部分を自動的かつ機械的に抜粋して表示するものであることからすれば、被告がスニペット部分の表示によって当該部分に認識されている事実自体の摘示を行っていると認めるのは相当ではなく、本件検索サービスのー股的な利用者の通常の認識とも合致しないというべきである。本件逮捕事実も、検索ワード(原告の氏名)を含んでいたことから検索ワードに付随して、無数のウェブサイトの情報の中から抽出され、スニペット部分に表示されたにすぎないのであるから、被告がスニペット部分の表示によって本件逮捕事実を自ら摘示したとみることはできないというべきである。

 ウ 以上のとおり、被告が本件検索結果の表示によって摘示する事実は、検索ワードである原告の氏名が含まれている複数のウェブサイトの存在及びURL並びに当該サイトの記載内容の一部という事実であって、被告がスニペット部分の表示に含まれている本件逮捕事実自体を摘示しているとはいえないから、これにより被告が原告の名誉を毀損したとの原告の主張は、採用することができない。

 エ したがって、被告が本件検索結果の表示によって原告の名誉を毀損したとはいえないから、被告に原告に対する不法行為が成立するとはいえない。

 もっとも、上記判示のとおり、本件検索結果の表示のうちスニペット部分には本件逮捕事実を認識できる記載が含まれていることから、被告が本件検索結果の表示によって本件逮捕事実を自ら摘示したと解する余地がないではない。

 また、被告が本件検索結果の表示をもってした事実の摘示(検索ワードである原告の氏名を含む本件逮捕事実が記載されている複数のウェブサイトの存在及びURL並びに当該サイトの記載内容の一部という事実の摘示)は、本件逮捕事実自体の摘示のように原告の社会的評価の低下に直結するとはいえないものの、そのような記載内容のウェブサイトが存在するということ自体が原告の社会的評価に悪影響を及ぼすという意味合いにおいて、原告の社会的評価を低下させる可能性があり得る。

 そこで、後記(2)においては、仮に、被告に本件検索結果の表示による原告への名誉毀損が成立すると解する場合、その違法性が阻却されるかどうかにつき検討する。

 (2)違法性阻却の可否

 ア 民事上の不法行為たる名誉毀損については、(1)その行為が公共の利害に関する事実に係り、(2)専ら公益を図る目的に出た場合には、(3)摘示された事実が真実であることが証明されたときは、上記行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当である(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決)。

 イ 以下、本件検索結果の表示による事実の摘示につき上記ア(1)ないし(3)が認められるかどうかにつき、検討する。

 (ア)(1)について

 本件逮捕事実は、原告が、サンダルに仕掛けた小型カメラで女性を盗撮したという特殊な行為態様の犯罪事実に係るものであり、社会的な関心が高い事柄であるといえること、原告の逮捕からいまだ1年半程度しか経過していないことに照らせば、本件逮捕事実の適示はもちろんのこと、本件逮捕事実が記載されているリンク先サイトの存在及びURL並びに当該サイトの記載内容の一部という事実の摘示についても、公共の利害に関する事実に係る行為であると認められる。

 (イ)(2)について

 前提事実によれば、本件検索結果の表示は、本件検索サービスの利用者が検索ワードとして原告の氏名を入力することにより、自動的かつ機械的に表示されるものであると認められるから、その表示自体には被告の目的というものを観念し難い。

 しかしながら、被告が本件検索サービスを提供する目的には、一般公衆が、本件逮捕事実のような公共の利害に関する事実の情報にアクセスしやすくするという目的が含まれていると認められるから、公益を図る目的が含まれているといえる。本件検索結果の表示は、このような公益を図る目的を含む本件検索サービスの提供の結果であるから、公益を図る目的によるものといえる。

 (ウ)(3)について

 前提事実のとおり、本件逮捕事実は真実である。また、本件検素結果の表示は、本件検索サービスにおいて採用されたロボット型全文検索エンジンが、自動的かつ機械的に収集したインターネット上のウェブサイトの情報に基づき表示されたものであることに照らせぽ、本件逮捕事実が記載されているリンク先サイトの存在及びURL並びにその記載内容の一部は事実であると認められる(なお、リンク先サイトが削除されていたとしても、同サイトが存在していたことについての真実性は認められる)。

 したがって、仮に、被告が本件検索結果の表示をもって本件逮捕事実を摘示していると認められるとしても、または、被告が本件検索結果の表示をもって、本件逮捕事実が記載されているリンク先サイトの存在及びURL並びにその記載内容の一部という事実を摘示したことによって、原告の社会的評価が低下すると認められるとしても、その名誉毀損については、違法性が阻却され、不法行為は成立しないというべきである。

 2 争点2(本件検索結果の表示は原告のプライバシーを侵害するものとして、被告に不法行為が成立するか)について

 (1)被告が本件検索結果の表示によって原告のプライバシーを侵害したかどうかは、本件検索結果の表示によって被告が適示した事実が何であったかにより異なりうるが、仮に本件検索結果の表示による被告の事実の摘示によって原告のプライバシーが侵害されたとしても、(1)摘示されている事実が社会の正当な関心事であり、(2)その摘示内容・摘示方法が不当なものでない場合には、違法性が阻却されると解するのが相当である。

 (2)これを本件についてみるに、争点1における違法性阻却につき判示したのと同様の理由により、本件逮捕事実の摘示はもとより、本件逮捕事実が記載されているリンク先サイトの存在及びURL並びにその記載内容の一部という事実の摘示も、社会の正当な関心事ということができ((1))、その摘示内容・摘示方法も、本件検索サービスによる検索の結果として、リンク先サイトの存在及びURL並びにその記載内容の一部を表示しているにすぎない以上、その摘示内容、摘示方法が不当なものともいえない((2))。

 (3)したがって、本件検索結果の表示による上記事実の摘示に係る原告のプライバシー侵害については、違法性が阻却され、不法行為は成立しない。

 3 争点3(損害及び因果関係)及び争点4(本件差し止め請求の可否)

 本件検索結果の表示による被告の原告に対する名誉毀損及びプライバシーの侵害については、成立しないか、または、その違法性が阻却されるというべきであるから、争点3については判断の必要がない。

 また、上記1及び2で判示したところに照らせば、本件検索結果の表示によって原告の人格権が違法に侵害されているとも認められないから、争点4に係る原告の本件差し止め請求については理由がない。

 4 結論

 よって、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

2014年7月19日土曜日

永住外国人の生活保護認めず 最高裁が初判断


 永住資格を持つ外国人が生活に困窮した場合、日本人と同様に生活保護法の適用対象となるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は18日、対象になるとした二審・福岡高裁判決を破棄し、原告側逆転敗訴の判決を言い渡した。同法が適用対象と定めた「国民」に永住外国人は含まれないと初めて判断した。

 原告は永住資格を持つ中国籍の女性(82)。2008年、大分市に生活保護を申請したが、預金があるとして却下された。一審・大分地裁は外国籍を理由に訴えを退けたが、二審・福岡高裁は「永住外国人は生活保護法を準用した法的保護の対象」と判断した。

 同小法廷はこの日の判決理由で「生活保護法が永住外国人に適用されると理解すべき根拠が見当たらない」と指摘。「行政措置によって事実上の保護対象となり得るにとどまる」と結論付けた。

 旧厚生省は1954年、外国人に対しては生活保護に準じた行政措置を実施すると通知し、90年に対象を永住外国人に限定。現在は自治体の裁量で生活保護費が支給されている。女性も11年10月に申請が認められ、現在は給付を受けている。

2014年5月19日月曜日

ウナギ産地偽装、社長に有罪判決 静岡地裁

 台湾産ウナギを静岡県産と偽って販売したとして、不正競争防止法違反の罪に問われた加工販売店の社長に静岡地裁は15日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡しました。法人としての同社は罰金100万円としました。

  村山浩昭裁判官は判決理由で「業者や消費者を欺き、本県特産のウナギに対する信頼を損なったのは悪質」と指摘する一方で「返金に応じて弁済しており、再発防止のチェック体制を整備している」と述べました。

 判決によると、被告人は昨年4月から5月にかけ、台湾産ウナギの加工品約100キロを静岡産と偽って静岡市の業者に約68万円で販売したそうです。

2014年5月16日金曜日

サムスンに995万円のみ請求権 アップル訴訟で知財高裁

 アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による一連の裁判で、知的財産高等裁判所はスマートフォンなどの通信技術の特許についてサムスンの主張を一部で認め、ライセンス料に相当する990万円の賠償を求めることができるという判決を言い渡しました。

 スマートフォンやタブレット端末の技術を巡り、アメリカのアップルと韓国のサムスン電子による裁判は世界各地で続いています。

 このうち今回の訴訟の対象は、アップル製のスマホ「iPhone 4」などに使われているサムスンの通信技術です。

 通信技術の特許に関する裁判では1審の東京地方裁判所が去年、アップルの勝訴としたため、サムスンが控訴していました。

 控訴審判決で、知的財産高裁(飯村敏明裁判長)は、「サムスンによる損害賠償請求は、ライセンス料相当額を超える部分では認められない」との判断を示しました。

 損害賠償請求権をすべて認めなかった一審・東京地裁判決を変更し、ライセンス料相当額として995万円だけの損害賠償請求権を認め、サムスンはアップル側にそれ以上は請求できないとしました。

 一方でアップルの一部機種に対する販売禁止などの仮処分は、「権利濫用になる」として、請求を却下した一審判決を維持しました。

 この裁判で知財高裁は「審理の参考にするため」として、他社に特許を使わせる際の条件などについて一般の意見を募集しました。日本の裁判所では初めて一般から意見を募集するという取り組みです。弁護士や研究者などから合わせて58通の意見が寄せられました。判決では「貴重で有益な資料」になったと述べました。

2014年5月10日土曜日

認知症徘徊事故訴訟

  愛知県大府市で2007年、自宅を出て徘徊(はいかい)中に電車にはねられて死亡した認知症患者の男性(当時91)の家族に、JR東海が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、名古屋高裁であった。長門栄吉裁判長は男性の妻と長男に約720万円の賠償を命じた一審判決を変更、妻のみに約360万円の支払いを命じた。

 長男の賠償責任は認めなかった。


<高裁判決>

  判決によると、男性は07年12月7日、大府市のJR共和駅構内で電車にはねられ死亡。自宅で妻と長男の妻が介護していたが、男性は2人が目を離した間に外出した。JR東海は振り替え輸送費や人件費などを家族側に請求していた。

 長門裁判長は判決理由で、当時85歳だった妻に関して「1945年の婚姻以降、同居して生活してきた夫婦。自立した生活を送れない男性を監督する義務があった」と述べた。

 男性の認知症はかなり進行し、目を離すと外出する恐れがあったうえ、いったん外出すると追いかけることは困難だったと指摘。妻が家屋の出入りを知らせるセンサーの電源を切ったままにしていたことなどを挙げ、「男性に対する監督は十分でなかった点がある」として妻の監督に過失があったと判断した。

 長男については20年以上も別居生活を送っていたことなどを挙げ、監督者に該当しないとして賠償責任を認めなかった。

 「利用客への監視が十分で駅ホームの扉が施錠されていれば、事故を防止できたと推認される」などとしてJR東海側にも安全に配慮する責務があったと判断し、賠償額は一審から5割減額した。

<そして上告>

 JR東海は8日、男性の妻に約360万円の支払いを命じた二審・名古屋高裁判決を不服として上告した。

 同社の柘植康英社長は15日の会見で、最高裁に上告した理由について「遺族だけが上告した場合、最高裁での争点が、男性の妻に監督義務があるかどうかだけに限定され、長男に責任がないという前提で議論される可能性があるため」と述べた。高裁判決で指摘された安全対策については、柘植社長は「非常停止ボタンの整備など、これまでも多くの対策を取ってきている。ホームの安全対策はこれからも行っていく」と語った。

 男性の妻は9日、自身に約360万円の支払いを命じた二審・名古屋高裁判決を不服として上告した。 妻の代理人は「家族が十分介護してきた中で義務が尽くされていないとされ、承服できない」とのコメントを出している。

<社会への影響>

 認知症のため徘徊して事故に遭う場合が増えている。深刻な問題だ。認知症患者の急増が見込まれるなか、家族の責任を引き続き認めた司法判断は介護現場に影響を与えそうだ。家族が四六時中、見守るには限界がある。社会全体で対応すべき時だ。

  

2014年2月24日月曜日

スマホなどを巡る米アップルと韓国サムスン電子の特許訴訟

 報道によれば、スマホなどを巡る米アップルと韓国サムスン電子の特許訴訟で、首脳級の和解協議が合意に至らなかったそうです。

 2013年11月、米カリフォルニア州北部地区連邦地裁で、サムスンに9億3000万ドル(約950億円)の賠償を命じる陪審評決が出ました。

 その後、同地裁が和解協議を命じました。これにより、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)と、サムスンでスマホ部門を統括する申宗均(シン・チョンギュン)社長らが、仲裁者立ち会いの下で2月第1週に面会しました。

 その後もそれぞれが仲裁者に連絡をとり和解の道を探りました。しかし、ついに合意はできなかったようです。

 両社が21日付で提出した状況説明書類の中で、和解決裂を明らかにしたそうです。書類には「両社には(和解の)意思が残っている」とあり今後、協議を続ける可能性もあるようです。

 近く、2013年11月の陪審評決に近い内容の判決が出る見通しです。3月には同地裁で別の商品を対象にした両社の特許訴訟の審理も始まります。和解が成立しない限り、これらの日程に従って係争が続くことになります。

2013年10月25日金曜日

「応訴」しないとどうなるか

今の日本では、騒音、水漏れなどささいなトラブルでも「訴えてやる!」と息巻く人が確実に増えています。

もし、そんな人に訴えられたらどうなるのでしょうか。

いくら「自分には何も非はない」と思っていても、訴えられたら必ず「応訴」しなくてはなりません。訴えられた人が裁判所からの呼び出しを無視していると、基本的に原告、つまり訴えた側の主張がすべて認められてしまうからです。

といっても、一般常識から考えて多すぎる額の損害賠償の請求などは、裁判所によって減額されることになりますが、常識の範囲内で最も不利な扱いを受けてしまうでしょう。

仮に賠償額が低くても、関係者が支払う代償はそれだけではありません。弁護士に書面作成や法廷での弁護を頼まなければならないし、何度も裁判所に呼び出されるという手間もバカにならないのです。