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2013年11月5日火曜日

メールアドレスの誤送信

パソコンの初心者の方がよく陥るやってはいけないことがあります。 それは、全員のメールアドレスを「宛先欄」(=To:)には入れて送信することです。  これは絶対にやってはいけません。 何故なら、全員に全員のアドレスが伝わってしまいます。

メールアドレスの誤送信の法的問題点

特定の個人を識別できるメールアドレスは、「個人情報」に該当します。

 「個人情報」とは、特定の個人を識別できる情報です。一見識別できないメールアドレスでも、他の情報と容易に照合することができ、特定の個人を識別できる場合は、個人情報に当たります。しかし、記号の羅列のようなメールアドレスであれば、検索しても通常は個人を特定できないので、個人情報に該当しないでしょう。個人情報に該当しないメールアドレスを他人にわかる形で一斉送信しても、違法とはいえません。

しかし、企業の内部において個人を特定できるアドレスと特定できないアドレスを別々に分類して管理するということは通常はありえません。また、アドレス自体が通称のような働きをして個人を識別する情報の1つとして取り扱われることも多くなっています。企業としては、すべてのメールアドレスが個人情報に該当するとの前提で取り扱うべきでしょう。

このような考え方に立つと、メールアドレスが大量に漏えいする事故は、個人情報保護法上、安全管理措置義務(法20条)に違反したということになります。法では、安全管理措置義務違反について、直ちに何らかの制裁が想定されているわけではありません。しかし、民法の不法行為の規定を根拠に、漏えいされた顧客から損害賠償を請求されることは考えられます。   

 問題は、一斉送信され、自分のアドレスが他人にわかってしまうこと、および他人のアドレスを知ってしまうことについての不快感です。不快感は、一般的には法的に保護されません。

例えば、自宅の郵便ポストに、見たくもないチラシが入っていて、不快感があっても、違法ではありません。そのチラシを捨てれば良いだけです。個人情報保護法ができる前、同窓会名簿も売買されていましたが違法ではありませんでした。

ただし、今後、法規制ができたり、現時点で特定できないメールでも将来特定できる状況になれば、違法となるでしょう。

結論として、明らかに個人が特定できるメールアドレスでやり取りをした場合、これは個人情報保護法に違反する可能性があるが、個人を特定できない場合には、違法性はありません。

事実の公表・報告

漏えい事故が発生した場合には、できる限り事実を公表することが求められていますし(法7条に基づき作成された基本方針)、主務大臣が個人情報の管理、利用のあり方について報告を求めてきたり(法32条)、取扱いに関し勧告や命令を受けることも考えられます(法34条)。いずれにしても企業の信頼を 大きく損ねることは間違いありません。


送信したメールを取り消す方法

 送信したメールを取り消す


お詫び文例

個人情報(メールアドレス)の漏えいに関する報告とお詫び

この度、弊社におきまして、お客様にメールにてお知らせをした際、送信業務の不手際により、お客様のメールアドレスが他のお客様のメール内に表示される、と いうトラブルが発生致しました。

該当のお客様におかれましては多大なるご心配とご迷惑をおかけ致しました事、深くお詫び申し上げます。

弊社はこれまで個人情報保護強化に取り組んで参りましたが、このような事案を招いた事を深く反省し、今後は管理体制の見直しと従業員への個人情報保護教育を徹底し、再発 防止に努めて参ります。

今回の件につきましては、あらためて以下の通りご報告申し上げますとともに、ご迷惑をお掛け致しましたお客様に深くお詫びを申し上げます。

記

1.事案の概要

(流失日時・経緯を書きます。)

平成●年●月●日(金)午後●時●分、●●に関する案内メールを送信した際に、個人のメールアドレスを「BCC」に設定して送信すべきところを「CC」で送信したため、全員のメールアドレス(●名分)が表示されて送信されました。 

流出先はメールを受信された同じく●名の方です。

2.対応状況

上記電子メールの送信直後に担当職員がこれに気づき、本件に該当する関係者の方々に対し、直ちに御報告とお詫びを申し上げるとともに当該電子メールの削除をお願いいたしました。
*現在のところ、この件に関して二次被害は確認されておりません。

3.今後の対応

(再発防止策を書きます。)

① 個人情報を含む重要なメールや複数先宛へのメール送信時の作業手順を見直し、全従業員に周知徹底致します。[複数の個人のメールアドレスあて送信する場合には、複数の職員によるダブルチェックを徹底することにより、個人情報の漏えい防止を徹底してまいります。] [今後このような事態が生じないよう、送信前に文書送信者以外の者が宛先及び送信内容を再度確認するなど、厳重かつ適正な管理を徹底してまいります。]
② 個人情報取り扱いについてのリスクの認識を全従業員に徹底し、必要かつ適切な措置 を講じます。
③ 本件に関し何らかの被害が発生した場合は、警察や当局の指導に基づき対応致します。

〈 本件に関するお問い合わせ先 〉
株式会社 ●●
 TEL:●●●-●●●-●●●●
メールアドレス:●


参考資料

2013年11月1日金曜日

産業医面談

産業医とは

産業医とは、事業者との契約に基づき、企業内等で労働者の健康管理を行う医師のこと。労働安全衛生法は、常時50人以上の労働者を使用する事業場には産業医を置くことを義務づけています。

事業者は、労働契約上、業務による過度の疲労や心理的負荷によって労働者の心身の健康を損なわないよう注意する健康配慮義務を負っています。産業医の役割は、事業者がこの義務を果たすことができるよう事業者を補助することにあります。そのため、産業医は治療等の医療行為は基本的に行わず、労働者の健康診断や面接、職場巡視を実施して労働者の健康状態を把握し、事業者に意見を述べることを主な職務としています。

 したがって、産業医が労働者から職場でのパワハラやセクハラ、過重労働による心身の不調について相談を受けた場合には、これらの健康管理情報は配属先の上司などへの報告の対象となり得ます。事業者は、医師の意見を参考にしながら、労働者との面接指導を実施し、必要に応じて、労働者の就業場所や作業内容の変更、労働時間の短縮、休業命令、復職命令等の措置を決定します。


 同意なしに報告される

それでは、産業医に相談した内容はすべて報告されてしまうのでしょうか。

産業医も、一般の医師と同様に守秘義務を負います。秘密漏示罪を定める刑法134条は、医師が正当な理由なく業務上知りえた他人の秘密を漏らした場合には6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処すとしており、これは産業医にも適用されます。

また労働安全衛生法も、産業医が健康診断等の実施によって知りえた労働者の秘密を漏らすことを禁じています。

したがって、産業医であっても、労働者の同意がない限り、労働者の健康管理情報を上司に伝えてはならないのが原則です。

他方で産業医は、労働者に健康上の問題があることを知ったときには、事業者にこれを指摘・報告する義務も負っています。また状況によっては事業者に積極的な情報提示を行って、自覚を促すべき場合もあります。

この点について厚生労働省は、可能な限り本人の同意を得ることを基本としながらも、(1)同意を得ることが困難であり、開示することが労働者に明らかに有益である場合、(2)開示しないと公共の利益を著しく損なうことが明らかな場合等には、労働者の同意がなくてもその健康管理情報を上司その他の関係者に報告することができるとの意見をまとめています。

たとえば、(1)労働者が自傷行為に及ぶ可能性が高い場合や、(2)健康診断の結果、伝染病が発覚し、直ちに対応しなければ他の労働者に健康被害が生じる危険がある場合などです。

また労働者の同意の有無にかかわらず、報告が許される情報の内容やその報告先は、事業者が健康配慮措置を講じるために必要となる最小限の範囲にとどまります。たとえば、労働者の血液検査結果の詳細な数値や疾病の具体的診断名、セクハラ、パワハラの具体的な当事者名等の情報は必ずしも健康配慮措置のために必要ではありません。

産業医は労働者に対して守秘義務を負う以上、上司らに報告する必要性があると判断したとしても、まずは労働者にその旨を説明し、同意を得るべきです。それができない事情があったとしても、可能な限り相談者が特定されることのないようにする等の配慮が必要です。

労働者としては、産業医の役割と立場を理解し、産業医の診察、面接を受けた際には、上司らに報告される内容について事前に産業医に確認し、報告してほしくない相手と内容についてはその旨を明確に伝えておくことが大切になります。

2013年10月23日水曜日

ストリートビューとプライバシー・肖像権

ネット検索でおなじみ、米グーグル社が作成したストリートビューのサービスが、2008年8月より国内の主要都市に関して始まりました。

ストリートビューとは、数メートルおきの地点ごとに、公道上から実際に撮影された360度のパノラマ画像を、地図などと組み合わせて自由に閲覧できるようにしたシステム。

たとえば、初めて足を運ぶ待ち合わせ場所の下見代わりには、便利です。思い出の場所が現在どうなっているか、クリックひとつで眺めにいくのも楽しいですね。

ただ、世の中の景色を手当たり次第に呑みこみ、全世界の人々に共有させてしまうストリートビューは、「すごい」「面白い」と同時に「マズい」「怖い」ともいえます。公開されている画像は、駅前などの公共の場だけではないからです。ストリートビューのカメラは、住宅街の細い路地にも入り込んで、そこに見えるものすべてを記録、データ化してしまいます。

自宅がいつの間にかネットで公開されていて気持ち悪いという声が噴出しているのも当然の成り行きでしょう。 また、通行人が道ばたで転倒している瞬間などのストリートビュー画像を収集して面白がるような輩もいます。画像に写りこんだ通行人の顔には、ボカシが入るよう編集されていますが、不完全です。運悪くそのまま公開されている気の毒な人も少なくありません。

ストリートビューの法的な問題点は主に2つあります。

プライバシー

まず、自宅の様子が公開されるという「プライバシー」の問題。人格権と直結する大切な概念ですが、公道から見える建物の外壁や、庭を囲む柵などの撮影については、プライバシーを持ち出しづらいのが現状です。室内の様子が写りこまない限り合法といえます。

ただ、自宅の外観も、他の情報と組み合わせて個人が特定できるなら「個人情報」であり、個人情報保護法に反すると指摘する余地はあります。

肖像権

一方で、顔を撮影するという「肖像権」の問題。人の容貌も、原則として本人の許可なく記録することはできません。その了解を得なければ、被害者が慰謝料を請求する理由としても十分です。ストリートビューのプロジェクトには、肖像権と対峙できるほどの重要な社会的意義(報道・言論の自由など)が託されているとも思えません。まして、窓際で着替えている様子や、ラブホテルから出てくる男女を、その容貌が判別できるかたちで公開するなどは、プライバシー侵害とも結びつき、ストリートビューの不法行為性の疑いはより色濃くなります。