日経新聞の15日の記事によれば、13年度の違法音楽ファイル削除要請は、前年度比2.66倍に上ったそうです。
日本レコード協会は2014年4月14日、2013年度における違法音楽ファイル削除要請件数の実績を発表しました。
同協会は2013年4月1日から、インターネット上の違法な音楽配信対策の強化と適法コンテンツ利用促進を目的とする新組織「著作権保護・促進センター(CPPC:Copyright Protection and Promotion Center)」を協会内に設置しています。
CPPCの違法音楽ファイルの探索により、日本レコード協会の2013年度の違法音楽ファイル削除要請件数は81万3447件(2012年度比266%)となったそうです。
削除要請先の内訳は、全体の70%(56万8774件)が動画サイトに対するもので、30%(24万4673件)がストレージサイトに対するもの。スマートフォンアプリからのリンク保存先となっていた一部ストレージサイトの違法音楽ファイルを徹底的に削除させたことにより、同アプリからの当該ストレージサイトの利用が激減するという効果が出てきているそうです。
現在、CPPCは世界20か国・約120サイトに対し削除要請を実施しています。このうち削除要請の98%以上が海外サイト事業者に対してのもので、国内サイト事業者に対しての削除要請は少数にとどまるそうです。日本レコード協会は、「国内・海外にかかわらずインターネット上にまん延している違法音楽配信への対策を積極的に展開する」としています。
2014年4月18日金曜日
2013年12月5日木曜日
知財の基礎 著作権法
著作権法に規定する目的
著作権法は,「著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し 著作者 の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ, 著作者 等の権利の保護を図り,もつて 文化の発展 に寄与すること」を目的としている。
「著作物」
○ 意匠登録を受ける権利
× 同一性保持権
○ 公衆送信権
著作者人格権
データベースの著作物と認められるための要件
著作者
映画の著作者になり得る者
※ 映画の著作物の脚本を執筆した脚本家はなれない。
著作権の侵害
著作物を引用するための要件
※ 他人の著作物を引用して利用する場合,その著作権者の承諾を得る必要はない。
二次的著作物
複製権
出版社X社は,漫画家丙が描いた漫画Bの出版を企画しています。漫画Bについて出版権の設定を受けたいのですが,丙は漫画Bの翻案権を丁に譲渡しています。この場合,X社は誰から出版権の設定を受けることができるのでしょうか。
著作権の存続期間
× 公表権
○ 譲渡権
○ 送信可能化権
○ 録音権及び録画権
○ 貸与権
著作権法における登録制度
著作隣接権の存続期間
甲と乙は,2000年5月1日に楽曲を共同で創作し,2000年8月31日に当該楽曲を発表した。その後,甲は2008年12月5日に亡くなり,乙は2012年2月15日に亡くなった。
当該楽曲の著作権の存続期間が満了する時: 2062年12月31日
<事例>
自分のお気に入りの小説家が書いた10作品が収録された短編小説集について,いずれの場合にも,この本の著作権者等の許諾は得ていないものとする。
<事例>
画家甲は,東北地方の冬の海の風景を描いた絵画Aを完成させ,「冬の海」という作品名をつけた。絵画Aを見た乙は絵画Aをたいへん気に入ったため,甲から購入した。
<事例>
バンドXのメンバーである甲と乙は,共同で作詞と作曲を行い,曲Aを創作した。
○ 甲が自作した曲を演奏し,それを甲が録音したもの
× プロの演奏家が演奏した有名なベートーベンの音楽を甲が録音したもの
× 色々な動物の鳴き声を収録した市販のCDを友人から借りて甲が複製したもの
<事例>
パ ソコンメーカーであるX社は,新製品の販売開始にあたり,テクノロジーと日本の伝統文化の融合をイメージしていた。そこで,X社の法務部の部員甲は,ウェ ブサイトの新製品の紹介ページや製品カタログの表紙には,古い寺院の外観や古い彫刻をカメラマン乙に依頼して撮影してもらった写真Aを採用したいと考え た。
自社のヒット商品が紹介された新聞の記事について。いずれの場合についても,この新聞の著作権者等の許諾は得ていないものとする。
著作権法は,「著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し 著作者 の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ, 著作者 等の権利の保護を図り,もつて 文化の発展 に寄与すること」を目的としている。
「著作物」
- 著作物とは,「 思想又は感情を創作的に表現したものであって, 文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」であると,著作権法には定義されている。
- アイデアは,著作物として保護されない。
- 著作物は,創作性がなければならないため,表現に選択の幅があるほど著作物となる可能性が高い。
- 契約によって著作権を譲り受けた場合,著作権の譲渡の登録を文化庁に行わないと,第三者に著作権の譲渡があったときに対抗できない。
○ 意匠登録を受ける権利
× 同一性保持権
○ 公衆送信権
著作者人格権
- 同一性保持権は,著作者の意に反して,その著作物とその題号について,変更や切除などを行うことを禁止できる権利である。
- 著作者人格権は,一身に専属するため,譲渡することはできない。
- 著作者人格権を侵害する行為でなくても,著作物の使用が著作者の名誉や声望を害する場合には,著作者人格権の侵害とみなされる場合がある。
データベースの著作物と認められるための要件
- データベースの体系的構成によって創作性が認められるものであること
- データベースの情報の選択によって創作性が認められるものであること
著作者
- 著作物を創作した者は,その著作物の著作者となる。
- 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物
の著作者は,その作成の時に別段の定めがない限り,その法人等となる。 - 映画の著作物の著作者には,その映画の著作物において複製された小説の著作者が含まれない。
映画の著作者になり得る者
- 映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与したプロデューサー
- 映画の著作物の製作に参加することを約束した映画監督
※ 映画の著作物の脚本を執筆した脚本家はなれない。
著作権の侵害
- 他人の著作物の全体ではなく,一部だけをそのまま利用して作品を創作した場合であっても,その一部に創作性があれば,著作権の侵害となる。
- 他人の著作物と本質的特徴を同じくする作品を,たまたま創作してしまった場合であっても,その他人の著作物の存在を知らなかったならば,著作権の侵害とならない。
- 名誉回復措置請求
- 不当利得返還請求
著作物を引用するための要件
- 引用される著作物が公表されていること
※ 他人の著作物を引用して利用する場合,その著作権者の承諾を得る必要はない。
二次的著作物
- 原著作物の翻訳,映画化,編曲など,原著作物に新たな創作性を加えることにより創作された著作物は,二次的著作物となる。
- 原著作物の権利者から許諾を得て創作された二次的著作物を利用する場合,その二次的著作物の権利者から許諾を受けれても原著作物の権利者からの許諾は必要である。
- 著作権者に無断で二次的著作物を創作したら,著作権の侵害となる。
複製権
- 著作権者は,著作物の複製物を譲渡により公衆に提供する権利を有している。
- 二次的著作物の著作権者は原著作者の許諾なく二次的著作物の複製をすることができない。
出版社X社は,漫画家丙が描いた漫画Bの出版を企画しています。漫画Bについて出版権の設定を受けたいのですが,丙は漫画Bの翻案権を丁に譲渡しています。この場合,X社は誰から出版権の設定を受けることができるのでしょうか。
- 出版権は,複製権を有する者でなければ設定することができません。丙が複製権を有しているので,丙から出版権の設定を受けることができます。
著作権の存続期間
- 法人名義の著作物には,その著作物の公表後,50年経過すると権利が消滅する著作物と70年経過すると権利が消滅する著作物とがある。
- 映画の著作物の著作権の存続期間は,創作後70年以内に公表されないときは,創作後70年を経過したときに満了する。
- レコード製作者の著作隣接権は,レコードに収録されている音を最初に録音して固定した者に発生する。
- 放送事業者及び有線放送事業者の著作隣接権の存続期間は,その放送又は有線放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過したときに満了する。
× 公表権
○ 譲渡権
○ 送信可能化権
○ 録音権及び録画権
○ 貸与権
- 実演家は,期間経過商業用レコードを除いて,実演が録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する貸与権を有する。
- 実演家がパブリックドメインとなった楽曲を演奏した場合でも,その実演に著作隣接権は発生する。
著作権法における登録制度
- 著作物の第一発行年月日を登録しておくことにより,その日にその著作物の最初の発行(公
表)があったものと推定される。 - 無名又は変名で公表した著作物について,著作者の実名を登録しておくことにより,その者が著作物の著作者であると推定される。
著作隣接権の存続期間
- 放送事業者が有する著作隣接権は,その放送が行われた日の属する年の翌年から50年後に消滅する。
甲と乙は,2000年5月1日に楽曲を共同で創作し,2000年8月31日に当該楽曲を発表した。その後,甲は2008年12月5日に亡くなり,乙は2012年2月15日に亡くなった。
当該楽曲の著作権の存続期間が満了する時: 2062年12月31日
<事例>
自分のお気に入りの小説家が書いた10作品が収録された短編小説集について,いずれの場合にも,この本の著作権者等の許諾は得ていないものとする。
- 自宅のプリンタについていたスキャナー機能を使ってすべてのページについてデジタルデータにして,タブレット型パソコンに入れていつでも読めるように持ち歩くことは、著作権が制限され,著作権を侵害する可能性が低いため、許される。
- 子供の誕生日会で,子供の友人も10人ほど遊びに来るので,そのときに私がこの小説を朗読するには、著作権が制限され,著作権を侵害する可能性が低いため、許される。
- これらの10作品のうちの1作品について、わずか8ページほどで完結する話としても、自分のホームページに全文を掲載して紹介することは、許されない。 著作権を侵害する可能性が高い。
<事例>
画家甲は,東北地方の冬の海の風景を描いた絵画Aを完成させ,「冬の海」という作品名をつけた。絵画Aを見た乙は絵画Aをたいへん気に入ったため,甲から購入した。
- 問題(トラブル)が発生する可能性が低いもの
- 乙が甲から絵画Aを購入した価格よりも高い価格で,乙が丙に絵画Aを売ること
- 問題(トラブル)が発生する可能性が高いもの
- より印象的な作品名にするために,乙が作品名「冬の海」を,作品名「ある冬の日」に変えること
- 絵画Aを購入したことを知らせるために,乙が絵画Aを写真に撮り,その画像を自分のブログに掲載すること
<事例>
バンドXのメンバーである甲と乙は,共同で作詞と作曲を行い,曲Aを創作した。
- 甲が有する著作権の持分を丙に譲渡しようとする場合,甲は乙の許諾を得なければ丙に譲渡することができない。
- バンドXのファンである丁が無断で丁のブログで曲Aを流している場合,甲は単独で丁に差止請求をすることができる。
- 乙が死亡し,乙には相続人がいない場合,乙が有する著作者人格権は,自動的に甲に移転されない。
○ 甲が自作した曲を演奏し,それを甲が録音したもの
× プロの演奏家が演奏した有名なベートーベンの音楽を甲が録音したもの
× 色々な動物の鳴き声を収録した市販のCDを友人から借りて甲が複製したもの
<事例>
パ ソコンメーカーであるX社は,新製品の販売開始にあたり,テクノロジーと日本の伝統文化の融合をイメージしていた。そこで,X社の法務部の部員甲は,ウェ ブサイトの新製品の紹介ページや製品カタログの表紙には,古い寺院の外観や古い彫刻をカメラマン乙に依頼して撮影してもらった写真Aを採用したいと考え た。
- 寺院の写真がいまだ撮影されていなかった場合,撮影前に寺院に立ち入り許可をとるべきである。
- カメラマン乙が写真Aの利用について承諾しているとしても,契約書などの文書を交わし,権利義務について明らかにしておくことが望ましい。
自社のヒット商品が紹介された新聞の記事について。いずれの場合についても,この新聞の著作権者等の許諾は得ていないものとする。
- 自社の商品が新聞に取り上げられたことを宣伝したいと思うかもしれません。この場合、自社の商品に関する記事だからといって,この記事の画像データを自社のホームページに掲載してしまうと、著作権の侵害となります。
- 商品の性能を高めるため,この商品を改良することを計画しています。研究開発を目的として、この記事を,研究開発部門のメンバーに参考資料として配付するため,コピーしてしまうと、著作権の侵害となるため、問題です。
- 家族と一緒にこの記事を見るためにコピーしても 「私的使用」にあたり,著作権の侵害となりません。
2013年11月16日土曜日
「Google Books」を巡る著作権侵害訴訟
今回は、インターネット検索最大手の米Googleの書籍全文検索サービス「Google Books」を巡る著作権侵害訴訟について書いてみたいと思います。
Google Booksは、公共図書館や大学図書館の蔵書をデジタル化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービスです。
<時系列>
2005年、図書館の蔵書を電子化し、ネットを通じて検索・閲覧できるようにする事業を開始。米国作家協会Authors Guildや米出版社協会(AAP)は、Google Books(当時の名称は「Google Book Search」)が著作権侵害に当たるとして、Googleを提訴。
2008年10月、Googleが一定の金額を払うことなどで和解に合意した。
2011年、地裁が和解の承認を拒否し、訴訟は振り出しに戻った。
2012年10月、 Googleと米出版社協会(AAP)は、書籍の電子化を巡る訴訟で和解した。AAPと米作家協会がこの事業を著作権侵害だと訴えていたが、まずAAPとの訴訟が解決した。 グーグルはAAPを通じて訴えを起こした米出版大手マグロウヒルなど5社と和解した。この和解で出版社側はグーグルが電子化した書籍を一般公開するか、削除するかを選べるようになった。デジタル化した書籍を自社利用のために受け取ることも可能となった。
2013年9月、審問が開かれた。審問でGoogleは、著作権物が評論、ニュースレポート、授業、研究などに引用される場合フェアユースが認められているのと同様に、Google Booksがスキャンした書籍の一部のみを閲覧可能にしていることも、フェアユースの範囲にあると主張していた。
2013年11月14日、ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所は「Google Booksはフェアユースの範囲」とするGoogleの主張を認める判断を下しました。
<今回の判決内容>
米Bloombergが公開した裁判所の資料によると、Denny Chin判事は今回、「Google Booksは公衆に多大な恩恵をもたらしている」と判断。
「学生、教師、司書などさまざまな人々がより効率的に書籍を見つけ出すための貴重なツールになっている。書籍の入手が困難な人に対して書籍をより手軽に利用できるようにし、著者や出版社にとっての新たな読者と収入源を生み出している。実際、社会すべてが恩恵を受けている」と述べました。
また同判事は、Google Booksでは全文が検索対象になっているものの、検索の結果閲覧できるのは書籍の一部に限られ、すべての内容を読めるようにはなっていないことも指摘しました。
Authors Guildは今回の判決を受けて、「われわれは裁判所の判断には反対意見であり、たいへん失望している」との声明を発表。「Googleは世界中の価値ある著作権付き文学のほぼすべてのデジタル版を未承認で作成し、それを表示することで利益を得ている。われわれの見解では、こうした大量のデジタル化と利己的な利用はフェアユースの保護の範疇を越えている」とし、上訴する意向を示しました。
一方Googleは、「長い道のりだった。われわれは今日の判決を心から喜んでいる」とのコメントを発表しています。
<判決の意義・影響>
仮に判決が確定した場合でも、データが作家らの許可なく売られるわけではないので、現在流通している日本の出版社の電子書籍への影響は限定的とみられています。
米国には、著作物の利用が「フェアユース(公正利用)」であれば著作権者の了解を得なくてもよいという規定があります。グーグルのプロジェクトは商業目的ですが、検索を重ねても全文は表示できないようにするなど、電子書籍ビジネスに悪影響が出ないよう工夫している点が評価されたようです。
訴訟が起きた2005年当時に比べると、現在は電子書籍市場が拡大し、消費者がネット経由で本を買う頻度も増えました。市場環境が変わるなか、「ネット検索で探しやすくなれば書籍が売れて著作者にもプラスだ」と判断した今回の判決は、著作権保護の考え方に一石を投じる可能性もあります。
Google Booksは、公共図書館や大学図書館の蔵書をデジタル化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービスです。
<時系列>
2005年、図書館の蔵書を電子化し、ネットを通じて検索・閲覧できるようにする事業を開始。米国作家協会Authors Guildや米出版社協会(AAP)は、Google Books(当時の名称は「Google Book Search」)が著作権侵害に当たるとして、Googleを提訴。
2008年10月、Googleが一定の金額を払うことなどで和解に合意した。
2011年、地裁が和解の承認を拒否し、訴訟は振り出しに戻った。
2012年10月、 Googleと米出版社協会(AAP)は、書籍の電子化を巡る訴訟で和解した。AAPと米作家協会がこの事業を著作権侵害だと訴えていたが、まずAAPとの訴訟が解決した。 グーグルはAAPを通じて訴えを起こした米出版大手マグロウヒルなど5社と和解した。この和解で出版社側はグーグルが電子化した書籍を一般公開するか、削除するかを選べるようになった。デジタル化した書籍を自社利用のために受け取ることも可能となった。
2013年9月、審問が開かれた。審問でGoogleは、著作権物が評論、ニュースレポート、授業、研究などに引用される場合フェアユースが認められているのと同様に、Google Booksがスキャンした書籍の一部のみを閲覧可能にしていることも、フェアユースの範囲にあると主張していた。
2013年11月14日、ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所は「Google Booksはフェアユースの範囲」とするGoogleの主張を認める判断を下しました。
<今回の判決内容>
米Bloombergが公開した裁判所の資料によると、Denny Chin判事は今回、「Google Booksは公衆に多大な恩恵をもたらしている」と判断。
「学生、教師、司書などさまざまな人々がより効率的に書籍を見つけ出すための貴重なツールになっている。書籍の入手が困難な人に対して書籍をより手軽に利用できるようにし、著者や出版社にとっての新たな読者と収入源を生み出している。実際、社会すべてが恩恵を受けている」と述べました。
また同判事は、Google Booksでは全文が検索対象になっているものの、検索の結果閲覧できるのは書籍の一部に限られ、すべての内容を読めるようにはなっていないことも指摘しました。
Authors Guildは今回の判決を受けて、「われわれは裁判所の判断には反対意見であり、たいへん失望している」との声明を発表。「Googleは世界中の価値ある著作権付き文学のほぼすべてのデジタル版を未承認で作成し、それを表示することで利益を得ている。われわれの見解では、こうした大量のデジタル化と利己的な利用はフェアユースの保護の範疇を越えている」とし、上訴する意向を示しました。
一方Googleは、「長い道のりだった。われわれは今日の判決を心から喜んでいる」とのコメントを発表しています。
<判決の意義・影響>
仮に判決が確定した場合でも、データが作家らの許可なく売られるわけではないので、現在流通している日本の出版社の電子書籍への影響は限定的とみられています。
米国には、著作物の利用が「フェアユース(公正利用)」であれば著作権者の了解を得なくてもよいという規定があります。グーグルのプロジェクトは商業目的ですが、検索を重ねても全文は表示できないようにするなど、電子書籍ビジネスに悪影響が出ないよう工夫している点が評価されたようです。
訴訟が起きた2005年当時に比べると、現在は電子書籍市場が拡大し、消費者がネット経由で本を買う頻度も増えました。市場環境が変わるなか、「ネット検索で探しやすくなれば書籍が売れて著作者にもプラスだ」と判断した今回の判決は、著作権保護の考え方に一石を投じる可能性もあります。
2013年11月14日木曜日
日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料に関する契約方法を巡る訴訟
今回は、日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料に関する契約方法を巡る訴訟について書きたいと思います。 テレビやラジオで放送される音楽の著作権使用料を巡り、独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を受けた日本音楽著作権協会(JASRAC)の審判・訴訟です。
放送局は放送事業収入の1.5%を払えば、JASRACの管理する楽曲を自由に使える「包括的利用許諾契約」を締結することができます。 公取委は2009年にいったんは独禁法違反を認めてJASRACに排除措置命令を出したが、JASRACの不服申し立てを受けて2012年には一転して命令を取り消す審決をしました。
東京高裁判決(飯村敏明裁判長)は、JASRACがテレビ局やラジオ局と結ぶ包括契約が「他の事業者を排除する効果がある」と認定し、独占禁止法に違反しないとした昨年の公正取引委員会の審決を取り消しました。
<争点>
テレビ番組などで使われる楽曲の著作権管理事業を巡り、日本音楽著作権協会(JASRAC)の契約方法が同業他社の新規参入を妨げているか。
問題となったのは、JASRACがテレビ局やラジオ局と結んでいる包括契約。JASRACに放送事業収入の1.5%を支払えば、290万曲近い管理楽曲を自由に使えるので、局側にとっては割安で便利な方法です。
一方、新規参入したイーライセンス(東京・渋谷)の契約は、管理する約5300曲の利用に応じて個別に使用料を受ける形です。同社の楽曲を使うと余分な支払いが生じるため、結果的にJASRACの楽曲しか使われない状態になっている、と訴えました。
他の管理業者には著作権料を別途払う必要があり、経費節約のため一部の放送局が意図的にJASRAC以外の利用を控えていたということです。
<背景>
包括契約はもともとJASRACが音楽著作権をすべて管理していたことから生まれました。どんぶり勘定のほうが放送局にも管理団体にも都合がよかったからです。
ところが演歌からポップスなどへと嗜好が移る中、著作権料の分配方法に疑問の声が上がるようになりました。12年前の法改正で管理業務への新規参入が認められたのはそのためだったのですが、包括制度によりJASRACの独占状態は変わらなかったのです。
2001年の著作権等管理事業法施行で楽曲の著作権管理への新規参入が可能になった後も、JASRACは圧倒的なシェアを持ち続けています。
<今回の提訴>
2009年2月、 公取委は、テレビ局などの放送局が事業収入の1.5%を払えば楽曲を自由に使えるという包括契約は新規参入を阻んでいるとして、独占禁止法違反(私的独占)でJASRACに排除措置命令を出しました。
公取委は、放送局が他の管理事業者の楽曲を使うと、新たな費用負担が生じることになるため、新規業者の参入の妨げになっていると判断。楽曲の使用に応じ た仕組みにするよう求める排除措置命令を出しました。
一方、JASRACは命令を不服として、審判請求しました。
2012年、公正取引委員会は、「違反があったとする証拠はない」として、命令を取り消す審決を出しました(2012年6月12日付審決)。審判で公取委が覆すのは、1994年のエレベーター保守点検を巡る価格カルテル以来でした。
審決は、新規事業者の管理する楽曲を回避したのは放送局1社だけで、JASRACの管理する楽曲と比べても、遜色なく放送局に使われていたと指摘。その上で「他の事業者の活動を排除する効果があるとは断定できない」と結論付けました。
2012年7月10日、音楽著作権管理のイーライセンス(東京・渋谷)は、日本音楽著作権協会(JASRAC)が放送局と結ぶ楽曲利用料の包括契約について、公正取引委員会が出した審決の取り消しを求める訴訟を東京高裁に起こしました。
訴状によると、イーライセンスは、公取委の審決には事実認定に明らかな誤りがあると主張。イーライセンスが管理する楽曲の利用自粛を促す放送局内の文書があるにもかかわらず「(放送局側は)利用を回避していない」とした解釈も誤りだなどとしています。
<高裁判決の分析>
高裁判決は独禁法違反の有無について確定的な判断をしていませんが、JASRACのビジネスモデルに疑問を投げかけ、審理を事実上、公取委に差し戻しました。
判決は、「経費削減の観点から、放送局側が追加負担の要らないJASRACの楽曲を選択するのは自然だ」と指摘しています。一部の放送局でイーライセンスの利用を控えるよう社内通知文書が出ていたことにも触れ、「包括契約は新規参入を著しく困難にした」と結論づけました。
ただ、独禁法違反が実際にあったとまでは認定せず、「独禁法違反の要件に当たるかどうかを判断すべきだ」と公取委に審判のやり直しを求めるにとどめました。
13日、公正取引委員会と第三者として訴訟に参加したJASRACは独占禁止法に違反しないとする公取委の審決を取り消した東京高裁判決を不服として上告しました。引き続き最高裁で公取委の審決の是非が争われ、高裁判決がこのまま確定した場合でも公取委が改めて審判を行うことになるでしょう。問題が決着するまでにはなお一定の時間がかかりそうですね。
放送局は放送事業収入の1.5%を払えば、JASRACの管理する楽曲を自由に使える「包括的利用許諾契約」を締結することができます。 公取委は2009年にいったんは独禁法違反を認めてJASRACに排除措置命令を出したが、JASRACの不服申し立てを受けて2012年には一転して命令を取り消す審決をしました。
東京高裁判決(飯村敏明裁判長)は、JASRACがテレビ局やラジオ局と結ぶ包括契約が「他の事業者を排除する効果がある」と認定し、独占禁止法に違反しないとした昨年の公正取引委員会の審決を取り消しました。
<争点>
テレビ番組などで使われる楽曲の著作権管理事業を巡り、日本音楽著作権協会(JASRAC)の契約方法が同業他社の新規参入を妨げているか。
問題となったのは、JASRACがテレビ局やラジオ局と結んでいる包括契約。JASRACに放送事業収入の1.5%を支払えば、290万曲近い管理楽曲を自由に使えるので、局側にとっては割安で便利な方法です。
一方、新規参入したイーライセンス(東京・渋谷)の契約は、管理する約5300曲の利用に応じて個別に使用料を受ける形です。同社の楽曲を使うと余分な支払いが生じるため、結果的にJASRACの楽曲しか使われない状態になっている、と訴えました。
他の管理業者には著作権料を別途払う必要があり、経費節約のため一部の放送局が意図的にJASRAC以外の利用を控えていたということです。
<背景>
包括契約はもともとJASRACが音楽著作権をすべて管理していたことから生まれました。どんぶり勘定のほうが放送局にも管理団体にも都合がよかったからです。
ところが演歌からポップスなどへと嗜好が移る中、著作権料の分配方法に疑問の声が上がるようになりました。12年前の法改正で管理業務への新規参入が認められたのはそのためだったのですが、包括制度によりJASRACの独占状態は変わらなかったのです。
2001年の著作権等管理事業法施行で楽曲の著作権管理への新規参入が可能になった後も、JASRACは圧倒的なシェアを持ち続けています。
<今回の提訴>
2009年2月、 公取委は、テレビ局などの放送局が事業収入の1.5%を払えば楽曲を自由に使えるという包括契約は新規参入を阻んでいるとして、独占禁止法違反(私的独占)でJASRACに排除措置命令を出しました。
公取委は、放送局が他の管理事業者の楽曲を使うと、新たな費用負担が生じることになるため、新規業者の参入の妨げになっていると判断。楽曲の使用に応じ た仕組みにするよう求める排除措置命令を出しました。
一方、JASRACは命令を不服として、審判請求しました。
2012年、公正取引委員会は、「違反があったとする証拠はない」として、命令を取り消す審決を出しました(2012年6月12日付審決)。審判で公取委が覆すのは、1994年のエレベーター保守点検を巡る価格カルテル以来でした。
審決は、新規事業者の管理する楽曲を回避したのは放送局1社だけで、JASRACの管理する楽曲と比べても、遜色なく放送局に使われていたと指摘。その上で「他の事業者の活動を排除する効果があるとは断定できない」と結論付けました。
2012年7月10日、音楽著作権管理のイーライセンス(東京・渋谷)は、日本音楽著作権協会(JASRAC)が放送局と結ぶ楽曲利用料の包括契約について、公正取引委員会が出した審決の取り消しを求める訴訟を東京高裁に起こしました。
訴状によると、イーライセンスは、公取委の審決には事実認定に明らかな誤りがあると主張。イーライセンスが管理する楽曲の利用自粛を促す放送局内の文書があるにもかかわらず「(放送局側は)利用を回避していない」とした解釈も誤りだなどとしています。
<高裁判決の分析>
高裁判決は独禁法違反の有無について確定的な判断をしていませんが、JASRACのビジネスモデルに疑問を投げかけ、審理を事実上、公取委に差し戻しました。
判決は、「経費削減の観点から、放送局側が追加負担の要らないJASRACの楽曲を選択するのは自然だ」と指摘しています。一部の放送局でイーライセンスの利用を控えるよう社内通知文書が出ていたことにも触れ、「包括契約は新規参入を著しく困難にした」と結論づけました。
ただ、独禁法違反が実際にあったとまでは認定せず、「独禁法違反の要件に当たるかどうかを判断すべきだ」と公取委に審判のやり直しを求めるにとどめました。
13日、公正取引委員会と第三者として訴訟に参加したJASRACは独占禁止法に違反しないとする公取委の審決を取り消した東京高裁判決を不服として上告しました。引き続き最高裁で公取委の審決の是非が争われ、高裁判決がこのまま確定した場合でも公取委が改めて審判を行うことになるでしょう。問題が決着するまでにはなお一定の時間がかかりそうですね。
2013年11月3日日曜日
記事流用と著作権侵害
新聞や雑誌の記事、書籍の一部などをコピーして社内の会議で配ったり、ウェブサイトの記事を社内メールで送ったりすることは日常的にあるはずです。法的には、これらの行為は著作権侵害となります。
この場合、著作権法の例外は、個人での私的使用と公的図書館での複写です。これ以外は原則として、著作権者の承諾が必要になります。 記事の要約も著作権侵害となる場合があります。もとの文書を読まずとも内容がわかるような要約は、著作権法上の翻案に当たる場合があり、著作権者の承諾が必要です(著作権法27条)。
また、記事の「見出し」は著作物として認められていませんが、営利のために転用などをした場合には「法的保護に値する利益を侵害した」として、不法行為(民法709条)になるとの見解が示されています(2005年10月・知財高裁)。
著作権の理解が難しいのは、法律の建前と現実社会での運用が大きくズレているからでしょう。著作権者としては、紙面に「すかし」を入れたり、パソコンでの「コピー&ペースト」をできなくするなどの対策を講じれば、著作権を守れます。ただし、それでは逆に利用が滞り、著作物が流通しないという弊害もある、といえるのです。
著作物の一部が違法コピーされた場合、一般的に損害賠償額は全体からの案分で算定されます。
営利目的で記事を盗用するなどの悪質なケースでは、刑事事件になることもあります。2009年5月には、自分のブログに他人のサイトの文章を無断で掲載していたとして、大阪府の男性が著作権法違反の疑いで逮捕されました。このブログでは、著作権者の度重なる警告を無視したうえで、健康食品の通信販売サイトを紹介し仲介料を稼いでいたということです。
この場合、著作権法の例外は、個人での私的使用と公的図書館での複写です。これ以外は原則として、著作権者の承諾が必要になります。 記事の要約も著作権侵害となる場合があります。もとの文書を読まずとも内容がわかるような要約は、著作権法上の翻案に当たる場合があり、著作権者の承諾が必要です(著作権法27条)。
また、記事の「見出し」は著作物として認められていませんが、営利のために転用などをした場合には「法的保護に値する利益を侵害した」として、不法行為(民法709条)になるとの見解が示されています(2005年10月・知財高裁)。
著作権の理解が難しいのは、法律の建前と現実社会での運用が大きくズレているからでしょう。著作権者としては、紙面に「すかし」を入れたり、パソコンでの「コピー&ペースト」をできなくするなどの対策を講じれば、著作権を守れます。ただし、それでは逆に利用が滞り、著作物が流通しないという弊害もある、といえるのです。
著作物の一部が違法コピーされた場合、一般的に損害賠償額は全体からの案分で算定されます。
営利目的で記事を盗用するなどの悪質なケースでは、刑事事件になることもあります。2009年5月には、自分のブログに他人のサイトの文章を無断で掲載していたとして、大阪府の男性が著作権法違反の疑いで逮捕されました。このブログでは、著作権者の度重なる警告を無視したうえで、健康食品の通信販売サイトを紹介し仲介料を稼いでいたということです。
2013年10月21日月曜日
ネットコンテンツビジネスと著作権
ブログで本を紹介する場合、その表紙画像を載せる行為は、著作権の侵害になるのでしょうか。
法理論的には、著作権者に無断でネット上に作品を載せる行為は、複製権や公衆送信権の侵害に当たります。損害賠償責任が生じたり、刑事事件として立件されたりする可能性もあります。
「引用」だから著作権侵害にならないという人もいるかもしれません。著作権法では、批評などの目的で他人の著作物の一部を引用することが条件付きで認められています。ただ、ブログの批評対象は本の内容であって、表紙ではないから「引用」でないとも捉えられます。
これは、白黒の判別が難しいグレーゾーンです。つまり、法に触れる可能性があるということです。
では、自分の行為がグレーゾーンに該当する場合、すべきかどうかの判断はどうすればいいのでしょうか。
ポイントは2つあります。
① その行為で著作権者の収入機会を奪っていないか。
② 著作権者の感情を極端に害していないか。
著作権者の収入機会を奪う行為、批評を超えて、著作権者や作品の尊厳を傷つける行為は「黒」に近くなります。
著作権者との係争を抱えつつ、全文検索などのビジネスを進めるGoogleやamazonなどの米国企業に対し、コンテンツビジネスではほとんど存在感を示せない日本企業。この差は、グレーゾーンにあえて踏み込むしたたかさを持てるかどうかの違いが一因なのかもしれません。
法理論的には、著作権者に無断でネット上に作品を載せる行為は、複製権や公衆送信権の侵害に当たります。損害賠償責任が生じたり、刑事事件として立件されたりする可能性もあります。
「引用」だから著作権侵害にならないという人もいるかもしれません。著作権法では、批評などの目的で他人の著作物の一部を引用することが条件付きで認められています。ただ、ブログの批評対象は本の内容であって、表紙ではないから「引用」でないとも捉えられます。
これは、白黒の判別が難しいグレーゾーンです。つまり、法に触れる可能性があるということです。
では、自分の行為がグレーゾーンに該当する場合、すべきかどうかの判断はどうすればいいのでしょうか。
ポイントは2つあります。
① その行為で著作権者の収入機会を奪っていないか。
② 著作権者の感情を極端に害していないか。
著作権者の収入機会を奪う行為、批評を超えて、著作権者や作品の尊厳を傷つける行為は「黒」に近くなります。
著作権者との係争を抱えつつ、全文検索などのビジネスを進めるGoogleやamazonなどの米国企業に対し、コンテンツビジネスではほとんど存在感を示せない日本企業。この差は、グレーゾーンにあえて踏み込むしたたかさを持てるかどうかの違いが一因なのかもしれません。
2013年10月20日日曜日
撮影禁止の建物を合法的にブログ掲載する方法
撮影禁止・制限がされている建造物を撮影し、それをブログに掲載したり出版したりした場合、どのような法律的な問題が生じるのでしょうか。
著作権
建造物に著作権が認められるのは例外的。また、仮に著作権が認められても、著作権法46条の規定により、写真撮影して出版物などに掲載しても著作権侵害とはなりません。
「パブリシティ権」の問題
神社仏閣などを撮影し、広告に使うケースを考えてみましょう。神社仏閣の写真が顧客の目にとまり、業者に儲けをもたらす可能性があります。そこで、そのような顧客吸引力を保護するために「パブリシティ権」という概念があります。
しかし、現時点での最高裁判所の判断は、芸能人やスポーツ選手など、人間のみに認めるというものです。神社仏閣のパブリシティ権は法律上保護されていません。
『敷地』管理権の侵害
撮影禁止ルールを破って写真を撮る行為は、神社仏閣の『敷地』管理権の侵害として、問題が処理され得ます。写真撮影を制限する対応は、その神社や寺院などが持つ敷地の管理権(「所有物の使用、収益」)を根拠に許されるわけです。
民法206条は、一般論として「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めています。
地主が自分の土地を使ってトクをしようとする行為は、原則として他の誰にも差し止められません。これは「私的所有権絶対の原則」と呼ばれ、国家にも干渉されない神聖な権利だとされています。
宗教団体が利益を追求しない存在であったとしても、あるいはその建造物が文化や歴史と結びついた公共財であったとしても、敷地を所有していれば、その所有権は絶対であり、敷地内でルールに反して撮影すれば、不法行為として、損害賠償を求められる可能性があります。
ただ、撮影禁止の施設であっても、公道からの撮影であれば、プライバシー侵害など別の問題が生じない限り、法律上許されます。撮影料を請求されても支払うかどうかは自由です。
なお、敷地内から撮影する場合、不法行為の成否は、敷地管理者が看板などを立てて、撮影禁止のルールを明示しているかどうかが分かれ目になります。
撮影禁止の看板が設置されていなかったため、敷地内での撮影が不法行為にならないとされた判例があります。私有地に根を下ろすカエデの大木を、カメラマンが地主に断りなく撮影し、写真集にまとめて出版したケースに対してです。
このケースでは、「撮影には許可が必要」との看板が設置される以前に、カメラマンがカエデの大木を撮影し、土地所有者の許可を得ずに出版したことに対し、原告の土地所有者が所有権の損害だとして、出版差し止めと損害賠償を求めましたが、原告が敗訴しました。
撮影時に看板が設置されていれば、損害賠償が認められた可能性が高いでしょう。
著作権
建造物に著作権が認められるのは例外的。また、仮に著作権が認められても、著作権法46条の規定により、写真撮影して出版物などに掲載しても著作権侵害とはなりません。
「パブリシティ権」の問題
神社仏閣などを撮影し、広告に使うケースを考えてみましょう。神社仏閣の写真が顧客の目にとまり、業者に儲けをもたらす可能性があります。そこで、そのような顧客吸引力を保護するために「パブリシティ権」という概念があります。
しかし、現時点での最高裁判所の判断は、芸能人やスポーツ選手など、人間のみに認めるというものです。神社仏閣のパブリシティ権は法律上保護されていません。
『敷地』管理権の侵害
撮影禁止ルールを破って写真を撮る行為は、神社仏閣の『敷地』管理権の侵害として、問題が処理され得ます。写真撮影を制限する対応は、その神社や寺院などが持つ敷地の管理権(「所有物の使用、収益」)を根拠に許されるわけです。
民法206条は、一般論として「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めています。
地主が自分の土地を使ってトクをしようとする行為は、原則として他の誰にも差し止められません。これは「私的所有権絶対の原則」と呼ばれ、国家にも干渉されない神聖な権利だとされています。
宗教団体が利益を追求しない存在であったとしても、あるいはその建造物が文化や歴史と結びついた公共財であったとしても、敷地を所有していれば、その所有権は絶対であり、敷地内でルールに反して撮影すれば、不法行為として、損害賠償を求められる可能性があります。
ただ、撮影禁止の施設であっても、公道からの撮影であれば、プライバシー侵害など別の問題が生じない限り、法律上許されます。撮影料を請求されても支払うかどうかは自由です。
なお、敷地内から撮影する場合、不法行為の成否は、敷地管理者が看板などを立てて、撮影禁止のルールを明示しているかどうかが分かれ目になります。
撮影禁止の看板が設置されていなかったため、敷地内での撮影が不法行為にならないとされた判例があります。私有地に根を下ろすカエデの大木を、カメラマンが地主に断りなく撮影し、写真集にまとめて出版したケースに対してです。
このケースでは、「撮影には許可が必要」との看板が設置される以前に、カメラマンがカエデの大木を撮影し、土地所有者の許可を得ずに出版したことに対し、原告の土地所有者が所有権の損害だとして、出版差し止めと損害賠償を求めましたが、原告が敗訴しました。
撮影時に看板が設置されていれば、損害賠償が認められた可能性が高いでしょう。
2013年10月15日火曜日
レシピと著作権
1.レシピの著作権
レシピの著作権についてはどのように考えれば良いでしょうか?
レシピは、著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。
もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。
したがって、例えばブログなど、インターネット上で公開されているレシピについて、作成者に無断で写真を流用するような行為は、著作権侵害の可能性があるので、注意が必要です。
2.レシピ本の著作権
会社の栄養士がレシピ本を出版した場合、栄養士は著作権者として印税をもらえるのでしょうか?
まず、レシピ本は著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。
もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。
次に問題となるのは、「職務著作」です。「職務著作」とは、会社の職務として作成した著作物について、法人等が著作権者としての地位を得ることができる制度(著作権法第15条)です。作成したのが個人でも、会社が資金を出してリスクを取ったなら、その成果を会社に帰属させるべきという考え方に基づいています。
類似の制度として、特許法の規定する「職務発明」があります。職務発明の場合、特許はまず発明者個人に帰属し、それを会社に譲渡することになります。一方、職務著作は最初から著作権が会社に帰属します。譲渡する代わりに相当の対価を得られる職務発明と違い、職務著作の場合は会社が作成者に対して特別な対価を支払う義務はありません。
したがって、レシピ本も、社員である栄養士が職務として作成した場合は、法的には印税は会社のもので、分け前を支払う必要はないということになります。
どこまでが職務著作で、どこからが自分のものといえるのでしょうか。
職務著作には、以下の5つの要件があります。
《職務著作の要件》
① 法人等の発意に基づき創作された著作物であること
② その法人等の業務に従事する者が創作した著作物であること
③ その法人等の職務上創作した著作物であること
④ その法人等の著作名義で公表された著作物であること
⑤ その法人等内部の契約や就業規則等に別段の規定がないこと
上記の要件のうち、注意が必要なのは②です。労働法上、派遣社員やアルバイトは会社と雇用関係にありませんが、会社の指揮命令で動いていれば著作権法上、業務に従事する者とみなされやすいです。
④「著作の名義」も、難しい問題を孕んでいます。会社名か個人名、どちらかで発表されていれば著作権者は明確ですが、「○○社××部長○田×朗」のように両方の名が入っていると話がややこしくなります。 ケースバイケースですが、両方の名が入っている場合は、著作の内容についてどちらが責任を取るのかというところが判断の分かれ目になるでしょう。もし自分の著作物であることを示したいなら、自分の名を著者として入れておくべきです。本であれば『これは私の個人的見解であり、所属する組織を代表するものではありません』と一言入れておくと、個人の著作であることがより明確になるでしょう。
レシピの著作権についてはどのように考えれば良いでしょうか?
レシピは、著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。
もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。
したがって、例えばブログなど、インターネット上で公開されているレシピについて、作成者に無断で写真を流用するような行為は、著作権侵害の可能性があるので、注意が必要です。
2.レシピ本の著作権
会社の栄養士がレシピ本を出版した場合、栄養士は著作権者として印税をもらえるのでしょうか?
まず、レシピ本は著作物として認められにくい可能性があります。著作権には、事実、アイデアは保護せず、表現のみを保護するという原則があります。レシピのうち分量や手順については、表現の余地がほとんどなく、事実そのものといってよいでしょう。斬新な調理方法など、料理のアイデアも保護の対象外です。
もっとも、同じ分量や手順でも、個人的なコメントを入れたり、イラストや写真を加えていけば、レシピも表現の一つといえるでしょう。
次に問題となるのは、「職務著作」です。「職務著作」とは、会社の職務として作成した著作物について、法人等が著作権者としての地位を得ることができる制度(著作権法第15条)です。作成したのが個人でも、会社が資金を出してリスクを取ったなら、その成果を会社に帰属させるべきという考え方に基づいています。
類似の制度として、特許法の規定する「職務発明」があります。職務発明の場合、特許はまず発明者個人に帰属し、それを会社に譲渡することになります。一方、職務著作は最初から著作権が会社に帰属します。譲渡する代わりに相当の対価を得られる職務発明と違い、職務著作の場合は会社が作成者に対して特別な対価を支払う義務はありません。
したがって、レシピ本も、社員である栄養士が職務として作成した場合は、法的には印税は会社のもので、分け前を支払う必要はないということになります。
どこまでが職務著作で、どこからが自分のものといえるのでしょうか。
職務著作には、以下の5つの要件があります。
《職務著作の要件》
① 法人等の発意に基づき創作された著作物であること
② その法人等の業務に従事する者が創作した著作物であること
③ その法人等の職務上創作した著作物であること
④ その法人等の著作名義で公表された著作物であること
⑤ その法人等内部の契約や就業規則等に別段の規定がないこと
上記の要件のうち、注意が必要なのは②です。労働法上、派遣社員やアルバイトは会社と雇用関係にありませんが、会社の指揮命令で動いていれば著作権法上、業務に従事する者とみなされやすいです。
④「著作の名義」も、難しい問題を孕んでいます。会社名か個人名、どちらかで発表されていれば著作権者は明確ですが、「○○社××部長○田×朗」のように両方の名が入っていると話がややこしくなります。 ケースバイケースですが、両方の名が入っている場合は、著作の内容についてどちらが責任を取るのかというところが判断の分かれ目になるでしょう。もし自分の著作物であることを示したいなら、自分の名を著者として入れておくべきです。本であれば『これは私の個人的見解であり、所属する組織を代表するものではありません』と一言入れておくと、個人の著作であることがより明確になるでしょう。
2013年10月14日月曜日
動画投稿サイトの視聴と著作権
見逃したドラマを動画投稿サイトで視聴したことはありますか? もし、心当たりがあるなら、今後は気をつけたほうが良いでしょう。ドラマを動画投稿サイトにアップロードすることはもちろん、視聴することも著作権侵害として捕まる恐れがあるからです。
違法アップロードについて
著作権は著作権者に与えられた知的財産権の一種で、さまざまな権利から構成されています。ドラマなどのコンテンツを著作権者の許諾なく動画投稿サイトに投稿すれば、複製権(著作権法第21条)の侵害になります。不特定多数の人が視聴できる状態にすれば、送信可能化権(同法第23条1項)の侵害になります。
違法アップロードはしていないという人も、注意が必要です。違法にアップロードされた動画へのリンクを張るのも、著作権の侵害行為にあたる可能性があります。最近の動画投稿サイトはSNSと連携して簡単にリンクを張ることができますが、それによってアクセスが増えれば公衆送信権(同法第23条1項)の侵害を幇助したとして罪に問われる可能性があります。
もっとも、違法性が高くても警察が動くかどうかは別次元のことです。著作権侵害は、著作権者が告訴しないかぎり刑事罰に問えない親告罪です。通常は、著作権者から通報を受けた動画投稿サイトが削除するなどの対応をするため、告訴に至らない場合がほとんどです。
とはいえ、過去にはYouTubeへの違法アップロードで逮捕された例もあります。
逮捕されるのは、かなり悪質なケースと言われています。何度も削除されたのにしつこくアップを続けたり、コンテンツの発売以前に内容を公開していれば、著作権者としても放置できませんし、警察も動かざるをえなくなります。
視聴者側について
2012年10月1日から改正著作権法が施行されました。違法にアップロードされた著作物と知りながらダウンロードすることは、従来から違法とされてきました。しかし、これまでは罰則がないため事実上、野放し状態でした。そこで、法改正により、有償の音楽や動画を違法な配信と知りながらインターネットからダウンロードする行為に2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることになりました。
違法動画の閲覧は、ダウンロードではないから、「本当に観るだけ」なら、刑罰を科されることはありません。 しかし、自分では「単なる閲覧」と思っている行為が、実態はダウンロードだったとしたらどうでしょうか。
一般に動画サイトの動画は、主にダウンロードとストリーミングの方式があります。ダウンロードは、動画ファイルそのものをハードディスク上にコピーし、後でこれを再生する方法です。 一方、ストリーミングは、動画ファイル自体を入手するわけではなく、サーバーから流れてくるデータをいったんメモリー上に置き、その場で次々に再生し、再生が終わったデータはメモリーから削除される方式です。 後者なら、複製ではないし、ファイルをもらうわけではないので、「本当に観るだけ」といえます。
しかし、最近はダウンロードとストリーミングの良さを組み合わせたプログレッシブ・ダウンロードという技術があります。見かけ上はストリーミングですが、実際にはファイルを裏側でハードディスク上にダウンロードして、複製したファイルを再生しているにすぎません。そのため、「疑似ストリーミング」とも呼ばれています。要は実質的な「ダウンロード」なのです。
実はYouTubeやニコニコ動画は、このプログレッシブ・ダウンロードに当たり、「観るだけ」のつもりがダウンロードになっています。 YouTubeを利用すると、パソコン内のある場所に、視聴した動画ファイルがキャッシュ(一時記録)ファイルという形で保存されます。
これに関して文化庁は、YouTubeでの違法動画の閲覧に伴って手元のパソコンに作成されるキャッシュファイルは、「著作権法47条の8という例外規定が適用され、権利侵害にならないと考えられる」としています。
しかし、文化庁の解釈は裁判所で否定されたこともあり、文化庁が言っているから大丈夫というわけではありません。技術を詳細に検討した結果、裁判所が適用を否定するという可能性があります。
しかも、この例外規定には、あくまでもネット経由で送信されたデータを受信して観る場合という但し書きがあります。 この但し書きは、同じ動画をもう1度再生するときに問題となります。2度目の再生では、YouTubeのサーバーから再度データが流れてくるのではなく、手元のキャッシュファイルが再生されます。これはまさにダウンロード済みのファイルを再生していることになり、例外規定は適用されず、違法になりかねないのです。
本当にプログレッシブ・ダウンロードが対象外ならば、きちんと著作権法に反映させるべきだったのですが、現状は曖昧で場当たり的な規定になっています。 このような曖昧な規定は、警察によって恣意的に運用される可能性もあります。
違法アップロードさえ逮捕例が少ない現状では、視聴によって逮捕されるリスクは低いでしょう。ただ、著作権侵害が横行する状態が続けば、見せしめ的に逮捕 が行われる可能性もあります。例えば違法アップロードを発見して、プロバイダに資料を提出させ、ダウンロードした者を割り出す。その中に“めぼしい人物”がいたら捜索・差し押さえするようなケースです。めぼしい人物とは、有名人、一流企業の社員など見せしめ効果のある人間ということになります。心当たりのある方は、注意するに越したことはないでしょう。 著作権への高い意識を持つことが求められます。
違法アップロードについて
著作権は著作権者に与えられた知的財産権の一種で、さまざまな権利から構成されています。ドラマなどのコンテンツを著作権者の許諾なく動画投稿サイトに投稿すれば、複製権(著作権法第21条)の侵害になります。不特定多数の人が視聴できる状態にすれば、送信可能化権(同法第23条1項)の侵害になります。
違法アップロードはしていないという人も、注意が必要です。違法にアップロードされた動画へのリンクを張るのも、著作権の侵害行為にあたる可能性があります。最近の動画投稿サイトはSNSと連携して簡単にリンクを張ることができますが、それによってアクセスが増えれば公衆送信権(同法第23条1項)の侵害を幇助したとして罪に問われる可能性があります。
もっとも、違法性が高くても警察が動くかどうかは別次元のことです。著作権侵害は、著作権者が告訴しないかぎり刑事罰に問えない親告罪です。通常は、著作権者から通報を受けた動画投稿サイトが削除するなどの対応をするため、告訴に至らない場合がほとんどです。
とはいえ、過去にはYouTubeへの違法アップロードで逮捕された例もあります。
- 2010年6月には『週刊少年ジャンプ』の中身をデジカメで撮影して投稿した男子中学生が逮捕されました。
- 2011年5月には、アイドルグループ「嵐」のDVD映像やバラエティー番組をYouTube上に公開した男性が逮捕されました。
逮捕されるのは、かなり悪質なケースと言われています。何度も削除されたのにしつこくアップを続けたり、コンテンツの発売以前に内容を公開していれば、著作権者としても放置できませんし、警察も動かざるをえなくなります。
視聴者側について
2012年10月1日から改正著作権法が施行されました。違法にアップロードされた著作物と知りながらダウンロードすることは、従来から違法とされてきました。しかし、これまでは罰則がないため事実上、野放し状態でした。そこで、法改正により、有償の音楽や動画を違法な配信と知りながらインターネットからダウンロードする行為に2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることになりました。
違法動画の閲覧は、ダウンロードではないから、「本当に観るだけ」なら、刑罰を科されることはありません。 しかし、自分では「単なる閲覧」と思っている行為が、実態はダウンロードだったとしたらどうでしょうか。
一般に動画サイトの動画は、主にダウンロードとストリーミングの方式があります。ダウンロードは、動画ファイルそのものをハードディスク上にコピーし、後でこれを再生する方法です。 一方、ストリーミングは、動画ファイル自体を入手するわけではなく、サーバーから流れてくるデータをいったんメモリー上に置き、その場で次々に再生し、再生が終わったデータはメモリーから削除される方式です。 後者なら、複製ではないし、ファイルをもらうわけではないので、「本当に観るだけ」といえます。
しかし、最近はダウンロードとストリーミングの良さを組み合わせたプログレッシブ・ダウンロードという技術があります。見かけ上はストリーミングですが、実際にはファイルを裏側でハードディスク上にダウンロードして、複製したファイルを再生しているにすぎません。そのため、「疑似ストリーミング」とも呼ばれています。要は実質的な「ダウンロード」なのです。
実はYouTubeやニコニコ動画は、このプログレッシブ・ダウンロードに当たり、「観るだけ」のつもりがダウンロードになっています。 YouTubeを利用すると、パソコン内のある場所に、視聴した動画ファイルがキャッシュ(一時記録)ファイルという形で保存されます。
これに関して文化庁は、YouTubeでの違法動画の閲覧に伴って手元のパソコンに作成されるキャッシュファイルは、「著作権法47条の8という例外規定が適用され、権利侵害にならないと考えられる」としています。
しかし、文化庁の解釈は裁判所で否定されたこともあり、文化庁が言っているから大丈夫というわけではありません。技術を詳細に検討した結果、裁判所が適用を否定するという可能性があります。
しかも、この例外規定には、あくまでもネット経由で送信されたデータを受信して観る場合という但し書きがあります。 この但し書きは、同じ動画をもう1度再生するときに問題となります。2度目の再生では、YouTubeのサーバーから再度データが流れてくるのではなく、手元のキャッシュファイルが再生されます。これはまさにダウンロード済みのファイルを再生していることになり、例外規定は適用されず、違法になりかねないのです。
本当にプログレッシブ・ダウンロードが対象外ならば、きちんと著作権法に反映させるべきだったのですが、現状は曖昧で場当たり的な規定になっています。 このような曖昧な規定は、警察によって恣意的に運用される可能性もあります。
違法アップロードさえ逮捕例が少ない現状では、視聴によって逮捕されるリスクは低いでしょう。ただ、著作権侵害が横行する状態が続けば、見せしめ的に逮捕 が行われる可能性もあります。例えば違法アップロードを発見して、プロバイダに資料を提出させ、ダウンロードした者を割り出す。その中に“めぼしい人物”がいたら捜索・差し押さえするようなケースです。めぼしい人物とは、有名人、一流企業の社員など見せしめ効果のある人間ということになります。心当たりのある方は、注意するに越したことはないでしょう。 著作権への高い意識を持つことが求められます。
2013年10月1日火曜日
本の「自炊」
自炊代行業
典型的な自炊代行業の利用パターンは次のとおりです。
(1) 蔵書を業者に郵送
(2) 業者が書籍を裁断、スキャンしてPDFファイルなどに電子化
(3) 電子ファイルを納品
個人が機器をそろえて裁断したりスキャンしたりするのは手間なため、1冊100~200円程度の料金で肩代わりしてくれる代行業者のニーズは大きいです。最初から電子書籍で買えば済む話ですが、まだ日本の電子書籍市場は本格的に立ち上がったばかりで、品ぞろえが十分でないことも、背景にあります。
それではなぜ、自炊代行が法的問題になる可能性があるのでしょうか。電子化は著作権法上の「複製」行為です。個人が自ら楽しむ範囲で行う場合は、「私的 複製」として例外的に著作権者の許可なしに行うことが認められています。本の持ち主が自宅で、自分の裁断機やスキャナーを使って、自分で行う限りは何も問 題はありません。しかし、それを業者が代行した場合、「私的複製」の延長線上の行為として合法となるのか、業者による複製であることには変わりがないので 違法とみなされるのかがはっきりしていないのです。
2013年9月30日、顧客からの依頼で本や雑誌の内容をスキャナーで読み取り、電子データ化する「自炊代行」の適否が争われた訴訟の判決で、東京地裁(大須賀滋裁判長)は、「著作権法で認められた私的複製には当たらない」との判断を示しました。その上で、東京都内の代行業者2社による著作権(複製権)侵害を認め、複製の差し止めと計140万円の損害賠償を命じました。
訴えたのは、作家の浅田次郎さんや漫画家の永井豪さんら7人。著作権法は個人利用に限って私的複製を認めており、本の持ち主や家族が「自炊」するのは法的に問題はありません。自炊代行が私的複製に当たるかどうかの初の司法判断です。
判決によると、2社は顧客から送付された本を裁断してスキャナーで読み取り、電子データに変換するサービスを有料で提供していました。
業者側は「顧客の手足として、私的複製を補助しているだけ」と主張しましたが、大須賀裁判長は判決理由で「顧客は本を送付した後の作業に全く関与せず、業者が主体となって複製をしている。私的複製とはいえない」と判断。2社は作家側の警告後も複製を続けており「今後も著作権侵害の恐れがある」として、差し止めの必要性も認めました。
原告弁護団は「無許諾の書籍スキャン事業は違法だと明確に示されたことには大きな意義がある」とコメント。被告のうち、東京都葛飾区の代行業者は「愛読家にとって不当な判決。控訴する」としています。
自分の本を自炊店に持ち込んで、本人が勝手に電子化した場合
では、自分の本を自炊店に持ち込んで、本人が勝手に電子化した場合はどうでしょうか。
著作権法は付則で、公衆利用のために設置された複製機器で利用者が文書などを複製することは私的複製の範囲と、暫定的に定めています。
コンビニエンスストアでのコピーは合法ということです。だから、書籍を自炊店に持ち込んで電子化する行為はコンビニでのコピーと変わりないので、合法となる可能性が高いです。
これに対し、利用者が持ち込んだ本をコンビニの機器でコピーするのとは異なり、施設が所有する本を貸してコピーさせる行為は施設側の関与の度合いが大きくなるので、私的複製の範囲から外れる可能性が高まります。
ただ実際には、多くの図書館では利用者が勝手に図書館の蔵書をコピーするわけではありません。窓口で申請して、「1冊の半分まで」など限られた範囲だけコピーできるルールになっています。図書館の場合はコピー範囲を制限することで、例外的に「利用者の求めに応じ、その調査研究のために著作物の一部分を複写できる」ことが著作権法で規定されているためです。
しかし、図書館でも民間サービスでも、貸し出した書籍を施設内で、利用者が自ら、好きなだけ複製できるようにしても良いかどうかは、判例がないので法的にはグレーな部分が残ります。
同じ「貸したものをコピーさせる」という行為であっても、レンタルCDは法律上問題とはなりません。まず、「貸す」という行為について、著作権法の「貸与権」に基づき、レンタル事業者が著作権団体に著作権料を支払っています。また、個人の段階でも「私的複製」であることに加え、自宅でコピーに使うデジタル複製機器には「録音補償金」という著作権料の一種が販売時に上乗せされています。劣化しないデジタルコピーを作れる機器が出回るようになったことを受け、音楽や映像の私的複製についても著作権者に一定の機会損失の補填をする目的で創設された制度に基づくものです。
最近の主力の携帯用オーディオ機器、パソコンなどの政令対象機器でないものには補償金は上乗せされていないのですが、消費者がこれらの機器で自宅で個人使用目的で複製することは合法です。
文化庁も「コピーガードを外したり、レンタル店の約款に自宅でのコピーを禁じる条項が入っていたりしない限りは違法とはならない」(著作権課)との見解です。
本の裁断だけ業者が行い、スキャナーはレンタルして電子化部分は利用者本人にやってもらうサービス
自炊関連では他にも、本の裁断だけ業者が行い、スキャナーはレンタルして電子化部分は利用者本人にやってもらうサービスなども登場しています。法的に問題となる「複製」行為を業者が行うことを避けるのが目的です。
将来は、本を断裁しなくても自宅で簡単に蔵書を電子化できる機器の販売が盛んになるでしょう。機器を売るだけなら現行制度上は合法だからです。
著作権者と合意を取り付けることで、自炊代行を合法化する動きも
法の隙間を見つけて新たなビジネスを展開する動きがある一方、著作権者と合意を取り付けることで、自炊代行を合法化する動きも出てきました。
著作権者の団体が中心になって2013年3月26日に立ち上げた蔵書電子化事業連絡協議会(Myブック変換協議会)。この協議会では、
(1) 元の書籍を破棄する
(2) 電子化したファイルにIDや透かしを入れて海賊版として流布した際に出元が分かるようにする
など、著作権者に配慮する条件を受け入れる代行業者に対して、作家や出版社からの賛同を募るものです。賛同した作家の著作物については許諾を得たことになり、合法的に自炊代行できる仕組みです。
訴訟で決着させたり、法改正をしたりして合法違法の線引きをしても、時間ばかりかかって権利者と業者や利用者の間の溝が深まるだけであり、関係者の合意に基づく仕組みづくりの方が柔軟で建設的という考えに基づくようです。
典型的な自炊代行業の利用パターンは次のとおりです。
(1) 蔵書を業者に郵送
(2) 業者が書籍を裁断、スキャンしてPDFファイルなどに電子化
(3) 電子ファイルを納品
個人が機器をそろえて裁断したりスキャンしたりするのは手間なため、1冊100~200円程度の料金で肩代わりしてくれる代行業者のニーズは大きいです。最初から電子書籍で買えば済む話ですが、まだ日本の電子書籍市場は本格的に立ち上がったばかりで、品ぞろえが十分でないことも、背景にあります。
それではなぜ、自炊代行が法的問題になる可能性があるのでしょうか。電子化は著作権法上の「複製」行為です。個人が自ら楽しむ範囲で行う場合は、「私的 複製」として例外的に著作権者の許可なしに行うことが認められています。本の持ち主が自宅で、自分の裁断機やスキャナーを使って、自分で行う限りは何も問 題はありません。しかし、それを業者が代行した場合、「私的複製」の延長線上の行為として合法となるのか、業者による複製であることには変わりがないので 違法とみなされるのかがはっきりしていないのです。
2013年9月30日、顧客からの依頼で本や雑誌の内容をスキャナーで読み取り、電子データ化する「自炊代行」の適否が争われた訴訟の判決で、東京地裁(大須賀滋裁判長)は、「著作権法で認められた私的複製には当たらない」との判断を示しました。その上で、東京都内の代行業者2社による著作権(複製権)侵害を認め、複製の差し止めと計140万円の損害賠償を命じました。
訴えたのは、作家の浅田次郎さんや漫画家の永井豪さんら7人。著作権法は個人利用に限って私的複製を認めており、本の持ち主や家族が「自炊」するのは法的に問題はありません。自炊代行が私的複製に当たるかどうかの初の司法判断です。
判決によると、2社は顧客から送付された本を裁断してスキャナーで読み取り、電子データに変換するサービスを有料で提供していました。
業者側は「顧客の手足として、私的複製を補助しているだけ」と主張しましたが、大須賀裁判長は判決理由で「顧客は本を送付した後の作業に全く関与せず、業者が主体となって複製をしている。私的複製とはいえない」と判断。2社は作家側の警告後も複製を続けており「今後も著作権侵害の恐れがある」として、差し止めの必要性も認めました。
原告弁護団は「無許諾の書籍スキャン事業は違法だと明確に示されたことには大きな意義がある」とコメント。被告のうち、東京都葛飾区の代行業者は「愛読家にとって不当な判決。控訴する」としています。
自分の本を自炊店に持ち込んで、本人が勝手に電子化した場合
では、自分の本を自炊店に持ち込んで、本人が勝手に電子化した場合はどうでしょうか。
著作権法は付則で、公衆利用のために設置された複製機器で利用者が文書などを複製することは私的複製の範囲と、暫定的に定めています。
コンビニエンスストアでのコピーは合法ということです。だから、書籍を自炊店に持ち込んで電子化する行為はコンビニでのコピーと変わりないので、合法となる可能性が高いです。
これに対し、利用者が持ち込んだ本をコンビニの機器でコピーするのとは異なり、施設が所有する本を貸してコピーさせる行為は施設側の関与の度合いが大きくなるので、私的複製の範囲から外れる可能性が高まります。
ただ実際には、多くの図書館では利用者が勝手に図書館の蔵書をコピーするわけではありません。窓口で申請して、「1冊の半分まで」など限られた範囲だけコピーできるルールになっています。図書館の場合はコピー範囲を制限することで、例外的に「利用者の求めに応じ、その調査研究のために著作物の一部分を複写できる」ことが著作権法で規定されているためです。
しかし、図書館でも民間サービスでも、貸し出した書籍を施設内で、利用者が自ら、好きなだけ複製できるようにしても良いかどうかは、判例がないので法的にはグレーな部分が残ります。
同じ「貸したものをコピーさせる」という行為であっても、レンタルCDは法律上問題とはなりません。まず、「貸す」という行為について、著作権法の「貸与権」に基づき、レンタル事業者が著作権団体に著作権料を支払っています。また、個人の段階でも「私的複製」であることに加え、自宅でコピーに使うデジタル複製機器には「録音補償金」という著作権料の一種が販売時に上乗せされています。劣化しないデジタルコピーを作れる機器が出回るようになったことを受け、音楽や映像の私的複製についても著作権者に一定の機会損失の補填をする目的で創設された制度に基づくものです。
最近の主力の携帯用オーディオ機器、パソコンなどの政令対象機器でないものには補償金は上乗せされていないのですが、消費者がこれらの機器で自宅で個人使用目的で複製することは合法です。
文化庁も「コピーガードを外したり、レンタル店の約款に自宅でのコピーを禁じる条項が入っていたりしない限りは違法とはならない」(著作権課)との見解です。
本の裁断だけ業者が行い、スキャナーはレンタルして電子化部分は利用者本人にやってもらうサービス
自炊関連では他にも、本の裁断だけ業者が行い、スキャナーはレンタルして電子化部分は利用者本人にやってもらうサービスなども登場しています。法的に問題となる「複製」行為を業者が行うことを避けるのが目的です。
将来は、本を断裁しなくても自宅で簡単に蔵書を電子化できる機器の販売が盛んになるでしょう。機器を売るだけなら現行制度上は合法だからです。
著作権者と合意を取り付けることで、自炊代行を合法化する動きも
法の隙間を見つけて新たなビジネスを展開する動きがある一方、著作権者と合意を取り付けることで、自炊代行を合法化する動きも出てきました。
著作権者の団体が中心になって2013年3月26日に立ち上げた蔵書電子化事業連絡協議会(Myブック変換協議会)。この協議会では、
(1) 元の書籍を破棄する
(2) 電子化したファイルにIDや透かしを入れて海賊版として流布した際に出元が分かるようにする
など、著作権者に配慮する条件を受け入れる代行業者に対して、作家や出版社からの賛同を募るものです。賛同した作家の著作物については許諾を得たことになり、合法的に自炊代行できる仕組みです。
訴訟で決着させたり、法改正をしたりして合法違法の線引きをしても、時間ばかりかかって権利者と業者や利用者の間の溝が深まるだけであり、関係者の合意に基づく仕組みづくりの方が柔軟で建設的という考えに基づくようです。
2013年9月27日金曜日
著作権法違反事例
著作権法違反(複製権・譲渡権侵害)
裁判事例
逮捕事例
著作権法違反(同一性保持権の侵害)
裁判事例
- 2013年9月9日付長崎地裁判決: 長崎地裁(荒木未佳裁判官)は、作者の許可を得ずに漫画の複製データを販売したなどとして著作権法違反罪に問われた元書籍電子化代行業者(25)に対し、懲役2年、執行猶予3年、罰金50万円(求刑懲役2年、罰金50万円)の判決を言い渡した。
- 長崎地裁は判決理由で「(被害を受けた)著作物は多く、刑事責任は軽くないが、代行業を廃業し、被害弁償の申し入れもしている」と述べた。
- 被告人は書籍をスキャナーで電子化する、いわゆる「自炊」の代行業者だった。
- 起訴状によると、被告人は2012年9~10月、自宅で人気漫画「銀魂」などを電子データにして複製し、2013年1月にデータを保存したDVDを1万円で販売。2012年12月と2013年2月には、漫画「ワンピース」などの電子データを、インターネットで不特定多数の人がダウンロードできる状態にした。
逮捕事例
- 2012年5月、人気アニメ「けいおん!」の音楽CDのジャケット画像を無断で複製してステッカーを作製、販売したとして、福岡県警は、3人を著作権法違反(複製権・譲渡権侵害)の疑いで逮捕した。
- 県警によると、被疑者は、漫画キャラクターを車体に描く「痛車」に貼り付けるためのステッカーを販売。2008年から今年4月まで、少なくとも約4500万円を売り上げていた。県警はほかにも無断複製・販売していた可能性があるとみている。
- 逮捕被疑事実は2012年3月5日から同12日までの間、テレビアニメ「けいおん!」の関連音楽CDのジャケット画像3枚を無断で複製し、ステッカーを作製。インターネットのオークションサイトを通じて募った客2人に計1800円で販売し、TBSテレビなどが保有する著作権を侵害した疑い。
- 2012年8月、人気アイドルグループAKB48のメンバーの写真付きライターを無断で複製しインターネットのオークションに出品、販売したとして、北海道警札幌・北署は、男(26)を商標法と著作権法違反の疑いで逮捕した。
- 逮捕容疑は2011年9月4日ごろと12月23日ごろ、AKB48のメンバーの写真が付いたライター2個を男性(48)らに販売した疑い。自宅からメンバーの写真が付いた携帯電話のケースなど、六百数十点が見つかった。
- 北署によると、男は2010年12月ごろからオークションサイトで約300点、約140万円を売り上げていたという。道警のサイバーパトロールで見つかった。
- 2012年4月21日、長野県警塩尻署は、インターネットの無料掲示板に音楽ファイル6曲を違法配信したとして、男(39)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。
- 塩尻署によると「数年前から始め、400曲ぐらい配信した」と供述。配信に使った掲示板には、これまで約60万件のアクセスがあるという。
- 被疑事実は2012年2月3日~3月6日、福岡市の業者が運営する掲示板に長渕剛さんや倖田來未さんらの音楽ファイル計6曲を掲載、誰でも携帯電話に無料でダウンロードできる状態にした疑い。
- 県警のサイバーパトロールで掲示板を発見し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が被害届を出した。
- 2012年5月31日、ファイル共有ソフト「カボス」を使い、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」をインターネットに違法に配信したとして、兵庫県警サイバー犯罪対策課と灘署は、男(44)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで逮捕した。逮捕容疑は2012年4月19日、「ワンピース」の単行本第49巻の約200ページ分の画像ファイルについて、自宅のパソコンでカボスなどを通じ、ネット上で不特定多数が閲覧できる状態にして著作権を侵害した疑い。
- 2012年7月、ファイル共有ソフト「WinMX(ウィンエムエックス)」でアイドルグループ「AKB48」のヒット曲などをインターネット上に不正に公開したとして、福岡県警は、男4人を著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で逮捕、別の男1人を書類送検した。
- 被疑者の1名については逮捕手続きに不備があったとして逮捕の日の夕方に釈放し、3時間後に同じ容疑で再び逮捕した。裁判所に請求した逮捕状の書類を補充するため、いったん取り下げて再請求した際、その経緯の記入を忘れていたという。刑事訴訟規則は逮捕状再請求の場合、経緯の記入を定めている。
- 県警は5人がそれぞれWinMXを使い、計8000曲以上を不正に公開したとみている。
- 2012年9月、山口県警は、ファイル共有ソフトを使いインターネット上で不特定多数の人がアニメをダウンロードできる状態にしたとして、A(40)と、B(24)を著作権法違反の疑いで逮捕した。県警は、広田容疑者が違法に公開した動画は600点以上あるとみている。
- 県警によると、Aはアニメ作品の発売直後に動画をネット上に公開するため、愛好家の間で「神」と、Bは、動画ファイルを圧縮(エンコード)して公開することから「エンコ職人」と呼ばれる。
- Aの被疑事実は2012年9月23日、ファイル共有ソフト「シェア」を使い、アニメ「エウレカセブンAO」の動画データを、ネット上で著作権者の許可なくダウンロードできる状態にした疑い。Bは2012年7月15日、同様の手口でアニメ「マルドゥック・スクランブル圧縮」の動画ファイルを圧縮したデータを、ネット上に公開した疑い。
- 2012年10月、栃木県警は、AKB48メンバーの写真を無断で使った抱き枕カバーを販売したとして、男性(31)を著作権法違反の疑いで逮捕した。自宅に約200点のAKB関連商品を所持しており、販売目的とみて調べる。
- 被疑事実は2012年4月と8月に、写真家に著作権があるAKB48のメンバーAさんとBさんの写真を使った抱き枕カバー1枚ずつをインターネットオークションで販売した疑い。「小遣い稼ぎだった」と容疑を認めている。
- 県警は被疑者が国外で生産された商品を転売したとみて、入手先を調べる。
- 2013年1月24日、長野県警は、映画をネット上に無断公開したとして、男性(63)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで書類送検した。
- 県警によると、男性らはネット上で違法に公開された映画や音楽の情報を交換する「養老会Z」という名前のグループを結成。全国の約300人が加入していた。
- こうした大掛かりなグループが表面化するのは珍しく、県警は創設した男性(49)に「解散届」を提出させたという。
- 送検事実は2011年10月から2012年4月まで、映画「ミッション・インポッシブル」など3作品をネット上に公開し、不特定多数が入手できるようにした疑い。
- 映画や音楽は自分たちが立ち上げたホームページで数日間だけ公開。会員が専用のIDとパスワードを使い、アクセスできるようにしていた。
- 長野県警は2012年11月、有料のテレビ番組を無料で見られるようにした不正な「B―CAS(ビーキャス)カード」を作ったとして、長野県と千葉県の男2人を私電磁的記録不正作出の疑いで逮捕。うち1人がグループの会員だったことから、発覚した。
- 2013年3月、埼玉県警は、動画共有サイトに米国などの映画を無断で投稿したとして、男(45)を著作権法違反容疑で逮捕した。県警によると、視聴する人がサイトの有料会員になると、投稿者に現金化できるポイントが与えられる仕組み。被疑者は「ポイント目的で投稿した」と供述している。
- 被疑事実は、2012年7~8月、動画共有サイトに計3本の映画を投稿し、不特定多数が閲覧できるようにした疑い。「ほかに100本ぐらい投稿した」と話しており、県警は裏付けを進める。
- 2013年10月8日、アイドルグループ「AKB48」のメンバーに関する「週刊文春」の記事を発売前にインターネットの画像投稿サイトに無断で掲載したとして、警視庁生活経済課は、男(44)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで逮捕した。
- 被疑事実は、「週刊文春」2月7日号が報じたAKB48のメンバーに関する記事を携帯電話で接写し、同誌が発売される前日の1月30日に画像投稿サイトに掲載、不特定多数が閲覧できる状態にして著作権を侵害した疑い。
- 「週刊文春」を発行する文芸春秋が2013年8月、警視庁に告訴していた。
著作権法違反(同一性保持権の侵害)
- 2012年9月6日、オンラインゲームの海賊版をインターネット上で公開し、著作権を侵害したとして、神奈川県警は、男(23)を著作権法違反の疑いで書類送検した。同ソフトを利用した東京都内の会社員の男2人も書類送検した。
- 県警によると、オンラインゲームの海賊版の摘発は全国初。県警は海賊版の公開や利用が著作権の「同一性保持権」の侵害にあたると判断した。
- 送検事実は昨年6月、韓国のIT(情報技術)関連会社が著作権を持つオンラインゲーム「タワーオブアイオン」のプログラムを入手、一部を改変した海賊版を作成した上でネット上に公開し、著作権を侵害した疑い。
- 県警によると、男はゲームに登場するキャラクターの移動速度を速めるなどプログラムを改変していた。
- オンラインゲームは一般的に、利用者が運営会社に接続料を支払って遊ぶ仕組み。男は接続料を徴収しない代わりに、利用者に海賊版の運営費や飲食代など生活費のカンパを要請していた。利用者は最も多い時で3千人以上いたとみられ、ネット上の通貨「ウェブマネー」で寄せられた計280万円相当のうち、160万円を現金化して使ったという。
2013年9月4日水曜日
海外の著作権についての詳細の調べ方
2013年9月3日火曜日
クリエイティブ・コモンズ
クリエイティブ・コモンズとは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。
クリエイティブ・コモンズ ライセンスは、コンテンツ作成者が誰かにその作品を使用する許可を与えるための標準的な方法の 1 つです。
CCライセンスはインターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするためのツールです。
CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。
クリエイティブ・コモンズのコンテンツを使用して動画を作成すると、動画プレーヤーの 下に元の動画のタイトルが自動的に表示されます。著作権は所有者が保持し、他のユーザーはライセンスの条件に基づいてその作品を再利用することになりま す。
CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。
クリエイティブ・コモンズのコンテンツを使用して動画を作成すると、動画プレーヤーの 下に元の動画のタイトルが自動的に表示されます。著作権は所有者が保持し、他のユーザーはライセンスの条件に基づいてその作品を再利用することになりま す。
“Some Rights Reserved”
人の手によって生み出されたすべての作品は、著作権で守られているものと、そうでないものの、ふたつにわけることができます。著作権の中間領域を定義するCCライセンスは、“Some rights reserved”、つまり限定された権利のみを主張するライセンス形式を提案しています。CCの目指すのは、 既存の著作権制度のなかで作り手の権利がまもられながら、受け手にも作品を自由に扱う領域を確保することです。
CCライセンスの種類
作品の利用(再配布やリミックス作品の公開、実演等)のための条件は4種類あります。これらの条件を組み合わせてできる基本的なCCライセンスは、ぜんぶで6種類。権利者は、自分の作品がどのよう に流通してほしいかを考え、必要に応じて適切な組み合わせのライセンスを選ぶことができます。
表示
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス。表示—継承
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、営利目的での二次利用も許可されるCCライセンス。表示—改変禁止
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ元の作品を改変しないことを主な条件に、営利目的での利用(転載、コピー、共有)が行えるCCライセンス。表示—非営利
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であることを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。表示—非営利—継承
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的に限り、また改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。表示—非営利—改変禁止
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であり、そして元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス。CCライセンスのしくみ
CCライセンスは三つの要素(コモンズ証、ライセンス、メタデータ)によってその効果を保証しようとしています。
第一に、法律に詳しくない人でもライセンスの主な内容がすぐに理解できる簡 潔な説明文が「コモンズ証」で、同じ内容を法律の専門家が読むために法的に記述した「利用許諾」(ライセンス原文)は、コモンズ証と表裏一体の関係にあり ます。コモンズ証によって、法律の専門家ではない大多数のインターネットユーザーでもライセンスの主な内容をはっきりと理解することができるようにし、ラ イセンスの誤用などを防ぐことをねらいとしています。また、その法的実効力は、クリエイティブ・コモンズ関係の法律の専門家達が各国の著作権法に照らし合 わせて記述した「利用許諾」文によってもたらされています。
そして三つめの要素が「メタデータ」です。メタデータとは、検索エンジンが利用するための、作品そのもの(コンテンツ)に付随する説明的な情報で す。作品をウェブページで公開し、さらにCCライセンスを付ける場合、人間の言語による記述(例「私はこの作品をCCライセンスで公開しています」等)だ けではなく、検索エンジンやプログラムが理解する方式のコードも付与することによって、他のユーザーに作品が正しく検索されやすくなります。
以上の3つの要素によってCCライセンスは「一般的なインターネット・ユーザー」、「法律の専門家」、そして「検索エンジン」が正しく理解できる仕組みをめざしています。
2013年9月2日月曜日
フェアユースとは
米国では、著作権を制限する「フェア ユース」という概念がある。この概念に基づき、著作権で保護されたコンテンツを批評、コメント、ニュース報道、教育、研究、調査で特定の方法により利 用する場合はフェアユースであると認められる場合がある。米国の判事は、以下に参考として示す 4 つの要素に従い、フェアユースであるという主張が有効かどうか判断する。他のいくつかの国にも、米国の「フェアユース」とは異なる条件で適用される 「フェア ディーリング」という同様の概念がある。
フェアユースの 4 つの要素:
1. 利用の目的と特性(その利用が、商用か非営利の教育目的かなど)
裁判所では通常、その利用が「変形的」であるかどうか、つまり、新しい表現や意味がオリジナルのコンテンツに追加されているかどうか、あるいはオリジナルのコンテンツのコピーにすぎないかどうかという点を重視する。2. 著作物の性質
主に事実に基づく作品のコンテンツを利用する方が、完全なフィクション作品を利用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなる。3. 著作権で保護されているその作品全体に対する利用部分の比率
オリジナルの作品から引用するコンテンツがごく一部である場合は、コンテンツの大半を引用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなる。ただし、ごく一部の利用であっても、それが作品の「本質的」な部分である場合は、時としてフェアユースではないと判断されることもある。4. 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する利用の影響
著作権所有者がオリジナルの作品から受けることができる利益を損ねるような利用は、フェアユースであると認められる可能性は低くなる。この要素に基づき、裁判所がパロディを例外としたケースもいくつかある。日本の状況
日本の著作権法においても、著作権の効力が及ばない著作物の利用行為が規定されている(著作権法30条~47条の3)。しかし著作権法における著作権の制限規定は、著作権の効力が及ばない著作物の利用態様を個別具体的に列挙したものである点でそれを一般的抽象的に規定したアメリカ合衆国著作権法におけるフェアユース規定(17 U.S.C. § 107)とは異なる。日本において著作権法30条 - 47条の3によって定められた範囲を超えて著作物を利用した場合に、フェアユースの抗弁によって著作権侵害を否定できるかがしばしば論点となる。著作権法1条(法目的)に見られる「文化的所産の公正な利用に留意」の文言に基づいてフェアユースの抗弁を認める説も存在するが、現在のところそれを認めた裁判例は存在しない。
もっとも権利濫用(民法1条3項)、公序良俗違反(民法90条)、 黙示許諾といった民法上の法理に基づく抗弁によって(著作権の行使を免れるという点で)フェアユースに類似する法的効果が認められる余地はある。ただし権利濫用は基本的に著作権者側の行為態様を、公序良俗違反は国家秩序や社会道徳をそれぞれ問題とするものであるのに対し、フェアユースの場合は著作物の利用者側の事情を問題とするものであるため必ずしも重なり合うものでもない。また黙示の許諾がある場合は著作権者による権利処分があったと認定できる場合であ り、フェアユースの法理と適用場面が重なるわけではない。
日本では、現在までのところ、フェアユース規定は法律化されていない。
2013年9月1日日曜日
著作権とは
どのような種類の作品が著作権の対象となるか?
物理的媒体に記録されたオリジナルの作品を作成すると、作成者は自動的にその作品の著作権を所有することになります。著作権の所有者には、その作品を特定 の方法で使用する独占権が与えられます。次のように、さまざまな種類の作品が著作権保護の対象となります。- 音声と映像の作品(テレビ番組、映画、オンライン動画など)
- サウンド レコーディング、楽曲
- 著作物(講義集、記事、書籍、楽曲など)
- 視覚的作品(絵画、ポスター、広告など)
- ビデオ ゲーム、コンピュータ ソフトウェア
- 演劇作品(劇、ミュージカルなど)
写真や映像は事実を映しているだけともいえますが、構図、撮影対象、背景などに創作性が認められる場合は著作物となります。そのため、一般公募写真、映像などの扱いには慎重な対応が必要になってきます。
著作権を侵害せずに、著作権で保護されている作品を使用できるか?
状況によっては、著作権所有者の権利を侵害せずに、著作権で保護されている作品を使用することができます。重要なことは、以下の場合でも、動画が著作権侵害の申し立ての対象となる可能性があることです。- 著作権所有者への帰属を表示した
- 動画の収益化を無効にした
- YouTube に同様の動画が掲載されているのを見たことがある
- iTunes、CD、DVD などで購入したコンテンツを使用した
- テレビ、映画館、ラジオなどから自分で録音/録画した
- 「著作権を侵害する意図はない」と記載した
著作権と商標の違い、および特許との違いについて
著作権とは、知的財産権の 1 つの形式であり、商標とは異なります。商標は、ブランド名、銘文、ロゴなどの識別名を、他者が特定の目的で使用できないように保護するものです。著作権は、発明を保護する特許とも異なります。著作権とプライバシー権の違いについて
動画、画像、サウンド レコーディングに自分自身が録画/録音されているからといって、そのコンテンツの著作権を持つことにはなりません。たとえば、友だちがあなたとの会話を録画した場合、録画した人がその動画の著作権を所有します。2 人の会話の言葉は、事前に決められていた場合を除いて、動画から独立して著作権の対象にはならないのです。2013年8月4日日曜日
ネットと著作権④
- 掲示板サイトの利用規程は、利用ごとに同意してもらうか、同意したことをログとして保存し、クッキーなどで一度同意していることを確認できると良い。
- 独占的か非独占的かに関わらず、著作権の使用権では第三者による不正使用に対抗しにくい。
- 掲示板の書き込みの無断再利用に対抗するには、掲示板運営者は著作権の譲渡を受けるか、著作権の独占的使用権を得ると良い。
- 投稿者が書き込みを他で利用することを認めたい場合は、投稿者から著作権の譲渡を受けた後、投稿者にその書き込みの使用権を許諾する方法がある。
- 著作権の譲渡を受けた場合、掲示板運営者は書き込みの著作権保有者としての責任を問われる可能性がある。
2013年8月3日土曜日
ネットと著作権③
- 私的複製は、自分自身が使う分を自分自身で複製することを意味する。
- 技術保護手段のあるDVDのコピーは違法。
- オフ会で少人数かつ無償でDVDを鑑賞するのは家庭内に準じて許される可能性が高いが、それを目的に不特定多数を招集してはいけない。
- オフ会の写真を参加者の承諾なく公開すると、肖像権の侵害に当たる可能性がある。
- オフ会の写真を公開するなら顔を隠し、誰だかわからないようにするべき。
- カメラ映像でライブでインターネット配信する場合、顔がはっきりわかるほど鮮明であれば肖像権の侵害に当たる。
- 家庭用ゲーム機のゲームソフトは20歳未満が遊ぶことが多いため、ライセンス契約の表示がない。
- コンピュータソフトウェアのライセンスに同意できない場合は販売店に返品できる。
- 東京リーガルマインド(LEC)不正コピー事件: ソフトを違法にコピーされて損害を受けたとして、米Microsoftと米Apple Computer、米Adobe Systemsが大手資格試験予備校の東京リーガルマインド(LEC)に損害賠償を求めた訴訟。 3社は2000年4月、LECが3社のソフトを違法にコピーして著作権を侵害したとして、総額約1億1400万円の損害賠償を求めて東京地裁に訴訟を起こした。東京地裁は2001年5月、3社の訴えを認めてLECに約8500万円の支払いを命じた。控訴審で、ソフト3社とLECの和解が2002年12月11日に成立した。和解条件は明らかにされていない。 3社が加盟するソフトウェア著作権保護団体・ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)によると、控訴審で東京高裁が勧告した和解案は「一審判決を踏まえたもの」で、「円満に和解した」としている(違法コピー訴訟でMSら3社とLECが和解)。
2013年8月2日金曜日
ネットと著作権②
コピペはどこまでOKか?
第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
- リンクのみの引用は原則として著作権侵害にはならない。
- 見出しも著作物である可能性はあるが、実際の多くの見出しは短く、著作物の要件を満たさない場合がある。
- ニュースサイトの見出し全部を複製するのは、不法行為として損害賠償請求される可能性がある。
- Yomiuri On-Line事件: 自己のホームページ(以下「YOL」)上の記事見出しを不正に使用した、として 読売新聞社が有限会社デジタルアライアンス社を相手取って起こした訴訟。 結論としては、著作権侵害を否定した上で、不法行為の成立を認め、 被告側に損害賠償の支払いを命じた。
- 記事の全文引用は、引用した人の意見が無ければ複製権の侵害にあたる。
- ビジネス書要約事件(コメットハンター事件): ビジネス書などの要約を有料で提供するサービスを行っていた業者が要約された本の著作権者から訴えられた事件。
- 官庁の発表する報告や資料は、出典を明記すれば原則として自由に転載できる。
- リンク先に違法な情報が記載されている場合、リンク単独でも問題があると考えた方が無難。
- FL マスク事件: 画像にモザイクを入れたり消したりすることが簡単にできる画像処理ソフト・FLマスクを販売するとともに、FLマスクによりモザイクを入れ た猥褻画像を提供しているホームページへのリンクをしていたというケースを、猥褻図画公然陳列罪の幇助犯として摘発した。
- リンクとともに違法な行為を助長するような意見を書き込めば、問題になる可能性がある。
- ディープリングは同一性保持権の侵害という考え方もできる。
- 未成年の「犯罪者」に関する情報を掲示板などに書き込むものは少年法の精神に反している。
- 少年法
第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
- 著作権の侵害に、企業サイトと個人サイトの区別はない。
- 個人サイトの運営者が私人の場合、事実であっても名誉を毀損すれば罪になる(刑法230条、231条、233条)。
- 新聞に掲載されている個々の宝くじの当選番号や「3-1」などの試合の得点、レース結果は単なる事実であり、著作権では保護されない。
- 個々の結果は事実であっても、まるごと無断転載すれば複製権の侵害に当たる可能性がある。
- 試合の得点、レース結果の予想は意見である。そのまま転載すれば、著作権侵害又は不法行為による損害賠償を請求される可能性がある。
- 脱ゴーマニズム宣言事件:小林よしのり著『ゴーマニズム宣言』を批判した書籍『脱ゴーマニズム宣言』(上杉聰著)の発刊を巡って争われた事件。漫画において引用が認められる範囲について明確な基準を引き出した。
- パロディは主に公正な引用かどうかが議論される。
- 歌詞の行き過ぎたパロディは翻案権の侵害になる。元歌の品位を落とすかどうかにかかわらず、人格権(同一性保持権)の侵害の可能性もある。
- パロディ曲を人格権の侵害で差し止めや損害賠償の請求ができるのは、人格権を持つ作詞家や実演家のみ。
- キャラクターを模倣した書き込みは、よく似ていれば複製権の侵害、あまり似ていなくても翻案権や同一性保持権の侵害に当たる。
- 政治家などの公人の人格権は一般人よりも小さく評価される。似顔絵は本人が許容する範囲であれば問題にならない。
- スポーツ選手などの有名人の場合、商業的価値を損なうような似顔絵はパブリシティ権の侵害に当たる可能性がある。また、人格権の侵害や侮辱罪に当たる可能性もある。
- 精巧なアスキーアート(AA)は写真と同じ扱いになり、複製権の侵害にあたる。
- 一般に、アニメの決め台詞のような短い文章は著作権で保護されない。
- 決め台詞とアスキーアート(AA)が同時に書き込まれている場合は著作権の侵害に当たるかもしれない。
- いわゆるネタバレは翻案権や公表権の侵害に当たる可能性がある。ファイル共有ソフトで著作物がダウンロードできる情報を掲示板に書くと、書き方によっては問題になる。
2013年8月1日木曜日
ネットと著作権①
著作権の基礎
コンテンツと著作権
- 著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならない。一般に短すぎるものは認められない。
- 投稿者が明示されない2chのような掲示板の書き込みでも著作物になりうる。
- 著作物とは言えない書き込みの集まりでも、スレッド全体でストーリーになっているなどの創作性があれば、共同著作物になる可能性がある。
- 著作権は原則として、創作後、著作者の生存期間+死後50年間存続する。ただし、法人の著作権は原則として公表後50年(映画の著作物は70年)。
- 絵画の単純な機械的な複製など、撮影者の個性がない写真に著作権は発生しない。
- オリジナルの著作権が消滅していても、新たに撮影した写真に個性があれば、撮影者の著作物になる。
- 著作者の権利には、著作人格権と著作権(著作財産権)がある。
- 一般的に著作権と言えば財産権を指す。
- 著作権に含まれる複製権などの権利は譲渡できるが、著作人格権は譲渡できない。ただし、特定の遺族は一定の条件で人格権を行使できる。
- 発明は著作権ではなく特許で保護される。
コンテンツと著作権
- 引用は、引用元が「主」で引用が「従」でなければならない。
- 引用は、カギ括弧で囲むなどして引用であることがわからなければならない。
- 引用か「パクリ」は、形式や割合で決まるのではなく、文脈における必要性など、Case-by-caseで判断される。
- スレッドが共同著作物だとすると、著作者全員の同意がなければ共同著作権を行使できない。
- ホテル・ジャンキーズ事件: ホームページ上の掲示板に書き込まれた投稿文章に著作物性が認められるかが争われた裁判事件で、投稿文章がその表現および内容に照らして、筆者の個性が発揮されているといえる場合には著作物性が認められる、と判示された(2002年4月東京地裁)。
- 翼システム事件: 1996年(平成8年)にシステムジャパンを相手に自社の自動車整備業用システムのデータベースを複製しており著作権侵害または不法行為であると主張、損害賠償を求めた。2001年(平成13年)に東京地方裁判所の中間判決で著作権侵害には当たらないと判断されたものの不法行為を構成するものと認められた
- 掲示板の過去ログの転載や「まとめサイト」は、複製権や公衆送信権を侵害している可能性が高い。
- 日本国外にサーバーがあったとしても、日本でアップロードすれば日本の法律が適用される。万国著作権条約。
- 掲示板の運営者は、過去ログの無断転載について、損害賠償請求できる。
- 著作権と商標権は別の制度。
- 法律上商標を登録できることと、社会的にその商標が受け入れられるかは別の問題。
- 著作権者が不明の場合、文化庁に著作権使用料相当額を供託することで、作者不明の著作物を利用できる制度がある。
- 国旗や国章など、公的なマークなどは商標登録できない。
- 映像表現の利用による翻案権侵害の成否 -NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」事件- 〔知財高判平成17年6月14日平成17年(ネ)10023号(東京高裁平成17年(ネ)486号)、 判時1911号138頁(控訴棄却)(東京地判平成16年12月24日、平成15年(ワ)25535号(請求棄却)、 最三決平成17年10月18日平成17年(オ)1414号、平成17年(受)1646号、(上告棄却))〕この事件は,映画「七人の侍」の脚本家兼監督である 故黒澤明の相続人が,NHKの大河ドラマ 「武蔵 MUSASHI」第1回について,同番組の脚本 等が「七人の侍」の映画の脚本及び映画そのものを無断で 翻案したと主張して,著作権侵害等を理由に損害賠償請求 などを求めた事件です。 ちなみに「武蔵 MUSASHI」の原作は吉川英治の 「宮本武蔵」です。 結論としては,原告側の請求が棄却されました。
- 著作権を侵害しているかどうかは、その著作物の外面的な表現に加えて、内面的な表現(本質的特徴)がどこまで似ているかで判断される。
- キャラクターなどが商標登録されている場合、著作物を真似ることは商標権の侵害にもなる。
- ネットコミュニティーで生まれたキャラクターの著作権を主張することは、通信記録などの客観的証拠が必要。
- 原作の著作権が消滅していたとしても、翻案した作品にオリジナリティがあれば新たな著作物として保護される。
- 歌手や演奏者、レコード会社や放送局など、著作物を再現することに関わる人には、複製権や送信可能化権といった著作隣接権が認められている、
- 別の著作物を参考にする場合、原作の表現との同一性が高ければ複製、ある程度感じられれば翻案、全く感じられなければ独自創作になる。
2013年5月1日水曜日
釣りゲーム、グリーの敗訴確定 DeNAの著作権侵害なし
今回は、 携帯電話向け釣りゲームを模倣されたとして、ゲームサイト運営のグリーが同業のディー・エヌ・エー(DeNA)など2社に配信差し止めや損害賠償
を求めた訴訟について書きたいと思います。
問題となったのは、DeNAが2009年にモバゲーで配信を始めた「釣りゲータウン2」。グリーは2007年配信の同社の「釣り★スタ」に似ていると主張していました。
<グリーとDeNAの訴訟を巡る主な流れ>
2007年5月 グリー、「釣り★スタ」配信開始
2009年2月 DeNA、「釣りゲータウン2」配信開始
2009年9月 グリー、DeNAなどを相手に「釣りゲータウン2」の著作権侵害訴訟を東京地裁に提起
2011年11月 グリー、DeNAに対し取引妨害を理由に東京地裁に訴訟を提起
2012年1月 DeNA、グリーに対し損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に提起
2012年2月 DeNAなど2社に配信差し止めなど求める東京地裁判決
2012年8月 一審・東京地裁判決を取り消す知財高裁判決
<裁判の要点>
一審・東京地裁判決は
(1) 水中だけが真横から描かれている点
(2) 画面の中心に同心円がある点
(3) 黒い魚影と釣り糸がある点
などが両ゲームで共通すると指摘して著作権侵害を認め、DeNAなどに約2億3千万円の賠償を命じていました。
これに対し、二審・知的財産高裁は、両ゲームの共通部分は「表現上の創作性がない」と判断。「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として、著作権侵害には当たらないとしました。
上告審で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は、グリーの上告を退ける決定をしました。DeNAによる著作権侵害を認めず、 グリーの逆転敗訴とした二審・知的財産高裁判決が確定しました。決定は16日付でした。
<一審・東京地裁判決>
今年2月の一審・東京地裁判決は「携帯向け釣りゲームは多数あったのに、水中に同心円を置き、魚の位置で釣り糸を巻くタイミングを表現したゲームはなかった」として著作権侵害を認定、DeNAなどに2億3千万円の支払いを命じました。
<二審・知的財産高裁>
控訴審でDeNA側は「共通部分はありふれた表現で、創作的表現とは言えない」などと反論していました。
判決理由で高部真規子裁判長は、グリー作品の表現上の本質的な特徴が、DeNA作品から直接感じられる場合に著作権侵害に当たると指摘し、両社のゲームを比較検討しました。
魚を引き寄せる場面について(1)水中だけ真横から描かれている(2)画面のほぼ中央に三重の同心円がある(3)黒い魚影や釣り糸が描かれている――など両作品には共通部分はあるが「表現上の創作性がない」と指摘。その上で「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として著作権侵害には当たらないと結論づけました。
ゲームの操作手順なども共通していますが、「実際の釣り人の一連の行動に沿って構成したもので、ありふれた表現にすぎない」と判断しました。
問題となったのは、DeNAが2009年にモバゲーで配信を始めた「釣りゲータウン2」。グリーは2007年配信の同社の「釣り★スタ」に似ていると主張していました。
<グリーとDeNAの訴訟を巡る主な流れ>
2007年5月 グリー、「釣り★スタ」配信開始
2009年2月 DeNA、「釣りゲータウン2」配信開始
2009年9月 グリー、DeNAなどを相手に「釣りゲータウン2」の著作権侵害訴訟を東京地裁に提起
2011年11月 グリー、DeNAに対し取引妨害を理由に東京地裁に訴訟を提起
2012年1月 DeNA、グリーに対し損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に提起
2012年2月 DeNAなど2社に配信差し止めなど求める東京地裁判決
2012年8月 一審・東京地裁判決を取り消す知財高裁判決
<裁判の要点>
一審・東京地裁判決は
(1) 水中だけが真横から描かれている点
(2) 画面の中心に同心円がある点
(3) 黒い魚影と釣り糸がある点
などが両ゲームで共通すると指摘して著作権侵害を認め、DeNAなどに約2億3千万円の賠償を命じていました。
これに対し、二審・知的財産高裁は、両ゲームの共通部分は「表現上の創作性がない」と判断。「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として、著作権侵害には当たらないとしました。
上告審で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は、グリーの上告を退ける決定をしました。DeNAによる著作権侵害を認めず、 グリーの逆転敗訴とした二審・知的財産高裁判決が確定しました。決定は16日付でした。
<一審・東京地裁判決>
今年2月の一審・東京地裁判決は「携帯向け釣りゲームは多数あったのに、水中に同心円を置き、魚の位置で釣り糸を巻くタイミングを表現したゲームはなかった」として著作権侵害を認定、DeNAなどに2億3千万円の支払いを命じました。
<二審・知的財産高裁>
控訴審でDeNA側は「共通部分はありふれた表現で、創作的表現とは言えない」などと反論していました。
判決理由で高部真規子裁判長は、グリー作品の表現上の本質的な特徴が、DeNA作品から直接感じられる場合に著作権侵害に当たると指摘し、両社のゲームを比較検討しました。
魚を引き寄せる場面について(1)水中だけ真横から描かれている(2)画面のほぼ中央に三重の同心円がある(3)黒い魚影や釣り糸が描かれている――など両作品には共通部分はあるが「表現上の創作性がない」と指摘。その上で「具体的な表現は異なり、全体から受ける印象も異なる」として著作権侵害には当たらないと結論づけました。
ゲームの操作手順なども共通していますが、「実際の釣り人の一連の行動に沿って構成したもので、ありふれた表現にすぎない」と判断しました。
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